【書籍】物理学、まだこんなに謎がある

人類の科学っていまどのくらいのところにいるんだろう?どのへんまでわかっていて、どのへんまでわかっていないのか。そこらへんのことが気になっていたので読んでみました。

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本書は、科学で解くことができる問題や、原理的に解けない問題、もう少しで解けそうな問題、ヒトの手に負えない問題について考える本です。

現代の科学は、いまのところどこまで到達しているのか。無理と分かっている方向とか、もうちょっとで突破できそうな問題とか。 この本では、そんなことを、やさしく、読みやすいカタチで扱ってくれています。 この本を読んで、「人類の科学すげえ!」って思うのか、「あれ?意外とたいしたことない…?」って思うのかは読んだ人次第。

地球外生命探査

いまのところ、地球以外の星で生命を確認できた例はありません。 さすがにこの広い宇宙に誰もいない、ってことはないよね?ということで、地球外生命の探査を続けている人々がいます。 この分野は、タコみたいな火星人が考えられていた時代からすれば、無人探査機キュリオシティを送り込むところまでは到達できているわけです。 といっても、火星に火星人はいそうもありません。がんばれば微生物が見つかるかもしれないけど。

では、文明をもっている知的な生命はいるのどのくらいだろうか? ということで、銀河の異星文明の数を見積もる方程式を発表したのがフランク・ドレイク名誉教授。 有名なドレイクの方程式だが、あてはめる数はあてずっぽうにならざるを得ないので、真に受けるような答えは出てこなさそう。 ドレイクさんはこの方程式で「銀河の異星文明は10個」って答えを出してるけど、人類と出会うことを考えると、絶望的な数字なのかもしれない。

参考:異星文明の存在確率を導く方程式のおはなし | シバ山ブログ

力学とカオス理論

ニュートンが万有引力の法則を発見してからずいぶん経っています。 太陽も月も地球も、引力にひかれあって周っている、ってことは学校でも習うことです。
でも実はこのニュートン力学、「太陽と地球」とか「月と地球」とか、2つの天体では位置や速度や軌道を計算できるのですが、 「太陽と月と地球」みたいに3つの天体が絡むと、計算できなかったりします。これを3体問題といいます。

3体問題はすごく根の深い問題で、結論をいってしまうと、解決は原理的に無理、ということになってしまいます。 どうしてか、というと、絡み合う要素が多すぎるからです。 厳密な答えを求めようとすればするほど、考慮すべき要素がどんどん増えていくわけです。

じゃあスーパーコンピュータに全部突っ込んで計算すればいいじゃん?と思うかもしれないけど、じゃあ「全部ってどこからどこまで?」ということになってしまう。 さらにいうと、要素が細かくなればなるほど、ほんのわずかでもズレたら、あとあと大きな差になっていってしまう。 これがカオス理論

天気予報も、詳細なデータを元に長期予報をしようとしても、蝶がはばたくだけで竜巻が発生したりしなかったりしてしまう。 宇宙は天気よりもはるかにカオスなわけだから、いくらがんばっても計算しても予測なんかできない。 厳密でなければできるけど、科学の限界の1つのラインがここなのでしょう。

参考:天気の長期予報ができないのはカオスだから ちゃんとした理論ですから! | シバ山ブログ

相対性理論とタイムマシン

相対性理論によれば、光速に近い速度で走る乗り物の中なら、時間の流れがゆっくりになります。 乗っている人からすれば普通にすごせているのだけど、降りてみたら浦島状態になるわけです。 光速の99.9999%の乗り物で5秒たてば、外界は1時間経っていますからね。 なので、光速に近い乗り物を作ることができれば、未来へいくことはできるのかもしれません。 といっても、乗っている人が無事ですむような加速方法が必要ですが…

じゃあ過去へ行くことはどうか?というと、こちらもやっぱり厳しそうです。 STEINS;GATEでも助手が解説してくれていた、コスミック・ストリングというひもを用いる方法なんかが考えられてはいるものの、そもそも、このひもの存在が確認されていません。 否定的な意見としては、ホーキング教授の時間順序保護仮説とか、祖父殺しのパラドクスとか。

夢がないわけじゃないけど、正直かなり厳しそう、というのが現状でしょうか。 机の引き出しから青いネコ型ロボットが出てこないことも、不可能であることを示す理由なのかもしれません。

量子力学

原子や電子や分子など、ミクロの世界から、この世界を解き明かそうというのが量子力学。 こういった超小さい粒子は観測するのが困難です。

人間の目は光に対する感覚器ですから、モノに光を当てないと見ることはできません。 で、小さな粒子に光を当てるってことは、粒子に光の粒子をぶつけることになってしまうのです。 光の粒子が当たることによって、観測したかった粒子に光のエネルギーが加わってしまうので、正しく観測できないわけですね。

例えば、粒子を壁に向かって飛ばしたら、壁のこのへんにぶつかった、ということは観測できます。 でも、壁にぶつかるまで、どのような軌道を飛んでいたのかはわからないわけです。

そんなわけで、粒子の動きを直接観測できないから、脳内でいろいろ考えることになります。 壁のこのへんにぶつかった、という結果に対してつじつまが合うようにいろいろ考えるわけですね。 この観測の問題が、シュレディンガーの猫であったり、多世界解釈なんかに発展していくのですが、結局のところ、ミクロの世界のルールはまだまだ把握できていない、ということです。

天文学・宇宙物理学

宇宙の謎として1番大きいのは、何といってもダークエネルギーダークマターでしょう。 人の目にみえず、あらゆる観測手段を使っても認識できない未知のエネルギーと物質が大量にあるわけですから。 宇宙の74%はダークエネルギー22%はダークマターといわれています。われわれを含む普通の物質は4%しかありません。

見えないものがそんなにあるなんて、何かの間違いじゃないの?と思いますが、もちろん科学者の人々も疑いました。 でも、疑いに疑った挙句、やっぱ目に見えない何かがあるっぽい、というのがいまの流れのようです。 宇宙のほとんどを占めているダークなんとかとは一体何なのか、それを知ることができるのかどうかすら、現時点ではわからないようです。

参考:

とある宇宙(コスモ)の暗黒物質(ダーク・マター) いやいや真面目な話です | シバ山ブログ

宇宙は暗黒エネルギー(ダーク・エネルギー)で満たされていた… いえいえ真面目な話です | シバ山ブログ

世界の謎はまだまだ多い

地球が回っているとわからなかった時代からすれば、いまは世界について知識も理解も深いように思っていたけど、この本を読めば、まだまだなんだなーと思わされてしまいました。 といっても、これまで人類が取り組んできたことの功績は素晴らしいものだと思うけど。

自分が生きている間に、この世界のことが解明されるわけじゃなさそうだと思うと、ちょっと残念な気分にもなる。解明できないと決まったわけでもないけど。 カオス理論によれば、未来の予測はできないわけだしね。

物理学、まだこんなに謎がある (BERET SCIENCE)
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