小説『The Division Broken Dawn』紹介と感想 エージェントなら読んでおきたい2作のゲームを繋げる物語

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小説『The Division Broken Dawn』を読んだので感想など。ボクはエージェントとしてワシントンD.C.へ行く気満々だったので、ゲーム『The Division2』製品版とほぼ同時に発売された小説を読む時間があるかどうか怪しいし、あまり買う気はなかったのですが、書店で手に取って気が変わりました。それは裏表紙に書かれたあらすじに見知った名前を見かけたからです。その名は「エイプリル・ケーラー」、そう、"サバイバルガイド"のあの人です。

「サバイバルガイド」の続きにして完結編

前作『The Division』に存在したいくつかの収集要素のうち、とりわけ印象的だったのがサバイバルガイドでした。サバイバルガイドとは、『ニューヨーク崩壊』(New York Collapse)という書籍の余白に書かれたエイプリルの手記で、彼女がアウトブレイク後のニューヨークで生き抜いていく様が綴られています。

『The Division』でのサバイバルガイド。プレイヤーとは違った視点の物語になっている。

手記では単に隔離されたマンハッタンの絶望的な状況が描かれているだけでなく、隔離直後に目の前で殺害された夫についての謎や『ニューヨーク崩壊』に埋め込まれたメッセージなど興味深い内容が記されており、本編とは別軸の物語が展開している仕組みになっていました。謎を追ってダークゾーンへ踏み込むところで終わってしまうため、残念ながらエイプリルの物語は未完だったのですが、今回の小説がその完結編といっていい内容になっています。

裏切り者の第一波エージェント・アーロン・キーナーと鉢合わせていたりもするエイプリル。

ちなみに、『ニューヨーク崩壊』はエイプリルの手記付きのものが実際に出版されたそうです。英語のみで日本では発売されていないようですが、見た感じめちゃくちゃ雰囲気のある一品ですね。この『ニューヨーク崩壊』を書いたアレックス・アーヴァインはゲーム内のサバイバルガイドを手掛けた人でもあり、今回の小説『Broken Dawn』の作者その人でもあります。エイプリルにスポットが当たるのも納得ですね。

複数の視点で描かれるマンハッタンの外の世界

さて、『Broken Dawn』のキーパーソンは間違いなくエイプリル・ケーラーなのですが、物語は彼女の視点だけには留まりません。彼女を含めて4つの視点から展開することになります。夫の死の謎を追うエイプリルを追いかけるディビジョンエージェント・アイク・ロンソンと彼に疑念を抱いて追いかけるエージェント・アウレリオ・ディアス。彼らは隔離されたマンハッタンを出て外の世界を旅することになるわけですが、それとは別に『The Division2』の舞台となるワシントンD.C.の様子を描くためにアウトブレイクを生き延びた子供たちの1人・ヴァイオレットの視点があります。

小説は『1』と『2』を繋ぐための物語であるため、時系列は春。4月から5月にかけての話になっています。エイプリルだから春というわけではなく。いや、もしかしたら…いやいやそんなまさか。

まず序盤では冬を超えて落ち着きはじめたようでまだまだそうでもないマンハッタンのその後から描かれていきます。マンハッタンでエージェントとして戦っていた人にとっては馴染みのある場所なので、非常に想像しやすいことでしょう。ダークゾーン内の描写など「ああ、あの教会あたりかぁ、あそこネームドいるよなー」みたいになります。アウレリオは『1』のプレイヤーに近い立場(というかほぼそのもの)なので、彼の視点で描かれるマンハッタンはめっちゃわかりやすいですね。

マンハッタンに通い詰めたエージェントならどのあたりで話が展開しているのかが把握しやすいはず

物語の中盤からはマンハッタンを出てミシガンを目指す旅になります。エイプリルと2人のエージェントが三者三様に移動していくわけですが、やはり注目すべきはマンハッタンの外の世界が描写されていることですね。アウトブレイクのグラウンドゼロであるマンハッタンに比べれば幾分マシではあるものの、それでも相当ダメージを受けている様子がうかがえます。ゲームでは極限の閉鎖環境における人の悪意や狂気との戦いが描かれていたのですが、外の世界では善意により助けられていく描写が多いのが印象的。

中盤の旅パートはGoogleマップを片手に読むのがオススメ。細かい道筋はともかく、各場所の位置関係が把握できているかどうかで理解度が大きく変わると思います。地元のアメリカ人ならスラスラ頭に入ってくるのかなと思いますが、登場人物のエージェントですら聞いたことのない町も出てくるので、マップは必携かと。

ニューヨークからワシントンD.C.へ受け継がれるバトン

そして終盤はいよいよミシガンへついてからのクライマックス。ネタバレはしたくないので詳しくは書きませんが、エイプリルの追っていた夫の死の真相をはじめ、怒涛の展開が待っています。特に"アレ"の登場でピンチに陥る展開はすごくUBIのゲームっぽい。ともあれ、ここからワシントンD.C.の『2』へと繋がっていく展開は実に見事。どうして『2』の舞台がワシントンD.C.なのか?という疑問の答えが書かれています。

発売前のPVでも印象的だったエアフォースワンの墜落現場。小説でも出番アリ。

全編にわたってワシントンD.C.の様子がヴァイオレットの視点で挿入されます。マンハッタンほどではないにしろ、厳しい状況であることは変わりなく、むしろディビジョンやJTFの支援が足りていない民間人が自ら銃をとって戦わなければならないのでもっと辛い感じかも。こちらは『2』を少しプレイしてから読むとわかりやすいかもしれません。ヴァイオレットたちが避難しているキャッスルってゲームだと…、ってなりますし。小説で奮闘する市民たちを見た後だとゲームで彼らを無視できなくなること請け合い。

エージェントなら読んで損なし

『The Division』というゲーム自体、アウトブレイク発生後の世界とディビジョンという設定がすでにストーリーの8割くらいという感じでしたが、小説においてもあくまで世界を見せることが中心であって、派手な物語を見せようという印象ではありません。とはいえ、ゲーム中で未完だったエイプリルの物語が完結すると同時に、彼女の手により『2』へバトンが受け渡されていく様は一読の価値アリ。また、これからワシントンD.C.での任務に就くorすでに就いているエージェント諸氏にとっても、前日譚としての『Broken Dawn』を知っているかどうかで舞台や人々への印象が変わることと思います。

というわけで、エージェントのみなさんは携帯電話と同じく収集品の一環だと思ってぜひ読んでおきましょう。

ワシントンD.C.での新たな戦いの理由は『Broken Dawn』にある。

 

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