実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』感想

観てきました。押井版のアニメをリスペクトしつつゴージャスに実写化した内容で、難解さもなくめっちゃわかりやすくなったハリウッド版といった印象でした。実写化というと一歩引いてしまう人もいるでしょうが、これはかなりうまくいっていると思うので原作を好きだった人にはぜひ観ていただきたい次第。少佐の名前とかバトーの顔とか、序盤は「えっ?」ってなるのですが、話が進むにつれて「おっ!」となるようにできていました。

今回は吹替版を選択。というのも、吹替がアニメと同じキャスティングになっていると聞いたからです。おかげで登場人物の姿カタチが実写に変わっていても、誰が誰だか即判別できました。ビートたけしの演じる荒巻のみ、日本語音声の英語字幕で彼自身の声となっています。日本人なのだからそりゃそうだと思うかもしれませんが、桃井かおりは別の方が声を当てていたりする。なんにせよ、荒巻だけが「攻殻」というか完全にたけしでした。

見所はサイバーパンクなエセジャパンがゴージャスな映像で実写化されているところ。背景の変な日本語が目に入るとそっちに気を取られて集中できなくなったりするわけですが、「イノセンス」のロゴがちらりと映った次のシーンでバトーの犬が実写で登場したりするので油断できません。ただ、この手のエセジャパン描写にありがちなダサい日本語フォントだけは勘弁していただきたかった。

原作の再現という意味ですごくよかったのがゴミ収集車から水上での光学迷彩バトルにかけてのシーン。特に光学迷彩カッパを羽織ったゴミ収集員が水たまりの上を駆けていく、それをマンモス住宅の上から見下ろす少佐の画は印象的でした。あと多脚戦車との戦いでムキムキマックスになる少佐。どちらも押井版『ゴースト・イン・ザ・シェル』で特に印象深かったシーンなのでバッチリ実写化されててよかった。

逆に原作と全然違うやんけ!となるのがたけしの演じる荒巻。原作では法の下に裁きを下す頭脳派でしたが、今回は鉛弾で正義を示す武闘派になっております。たけしをキャスティングしたからこうなったのか、こういうことをしたかったからたけしをキャスティングしたのか。ともあれ、ごちゃごちゃ言わず実弾で制裁するのはハリウッド的といえばそうなのかもしれない。…ボクはハリウッドをなんだと思っているのだろう。

お話がめちゃくちゃわかりやすくなっているのもハリウッド的、と言っていいのでしょうか。わかりやすい悪役を投入することで非常にわかりやすいストーリーになっていました。といっても、テーマの中軸は押井版と変わっていません。全身を義体化した主人公を通して人間のアイデンティティーを問う内容ですからね。人間とは何か?何があれば人間と言えるのか? その解答が「ゴースト」と呼ぶべきものなのは同じですが、その解釈がやや独自なところは押井版への返答ということなのかもしれません。

最後にちょっとネタバレになってしまいますが少佐が「ネットは広大だわ」してくれなかったのは気になるところではあります。ミニヨハンソンが「ネッ広」してくれるのかとワクワクしていたので。しかし、あのセリフってインターネットが普及する前の時代、ネットワークが人の革新に繋がると夢見ていた時代だからこそなんですよね。すでに手のひらサイズのデバイスで誰もがネットワークに常時接続している時代に言っても仕方のないセリフであるようにも思えます。そういう意味では「ネッ広」しないのは妥当だったのかも。現実がSFを追い越しているわけですが、押井版からもう20年以上だもんなぁ。

そんなわけで時代の流れをしみじみ感じてなんだか辛いんですけど、当時リアルタイムで観た人は今回の実写版で同じ気持ちになりましょう。

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