【真・女神転生4】ストーリーと世界観を考察してみた(※ネタバレ注意)

いろいろと情報が細かく散りばめられていて一見しただけでは全容がつかみにくい本作。時系列を追って考察してみました。

真・女神転生4 | シバ山ブログ

※タイトルのとおり、ネタバレ全開でいきますので注意。

『真4』のストーリーや世界観は、メインクエストの流れに沿ってまっすぐに走っているだけでは、全容がつかみきれません。周回プレイを前提としているためか、パズルのピースは、かなり細かく砕かれて散りばめられているようにみえます。そのぶん、3周目になってもまだ新しい発見があるのですけどね。

『真4』の世界を紐解くためには、まず、ゲーム本編の開始前にさかのぼり、東京と東のミカド国がどういう流れで現状になっているのかを考察するところから始めましょう。

時系列でみる東京と東のミカド国

東京では、25年前に天井が出現しているわけですが、天井の上にある東のミカド国は、建国から1492年。この時点で意味がわからないかもしれませんが、東京と東のミカド国では、「時間の流れが違う」という事実があります。このことは後で考察するとして、この事実を踏まえた上で、それぞれの場所における出来事を時系列順に並べると、以下のようになると思います。

25年前(西暦2012~2013年)

・「悪魔召喚プログラム」が配布される (霞ヶ関ブリーフィングルームより)
・東京に「悪魔」が出現 (霞ヶ関ブリーフィングルームより)
・新宿御苑に「箱舟」が登場、天使により子ども達が連れ去られる (新宿御苑の男より)
・「悪魔討伐隊」が組織される (霞ヶ関ブリーフィングルームより)
・「箱舟」が飛び去る (新宿御苑の男より)
・前世の主人公とマサカド公により東京に「天井」が形成され、ミサイル攻撃から守られる (ツギハギより)

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20数年前

・天井の上に箱舟が着陸、子どもたちと天使たちにより千年王国の建設が始まる
・大天使3人が東京に攻め入り、新宿御苑で悪魔との戦いに敗れ幽閉される (新宿人外ハンター商会より)
・デモニカを持つ少年「アキラ」が箱舟で連れ去られた姉を追って天井を目指す (フジワラより)
・アキラが天井の上に到達
・アキラに続き、東京の人々が天井を目指すが天使たちと戦闘になる (オベリスクの碑文より)
・アキラは天使たちに協力して東京からの攻勢を撃退、ナラクを封印 (オベリスクの碑文より)
・アキラが「東のミカド国」を建国、初代ミカド国王「アキュラ」となる (オベリスクの碑文より)
・アキラが「サムライ」を組織 (オベリスクの碑文より)
→以降、東のミカド国は王政のもと、平和な日々が1500年近く続く

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現在まで

・東京では「悪魔召喚プログラム」と無限発電炉「ヤマト」を掌握した阿修羅会が台頭する
・時期不明・フジワラは人外ハンター商会を設立(フジワラより)
・時期不明・ガイア教団の設立

・阿修羅会が逆さヒルズ建設、「赤玉」を生成して悪魔と交渉を開始
・リリスがスカイタワーにメデューサを配置?
・「黒きサムライ」として「リリス」が東のミカド国へ侵入

→ゲーム本編へ

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大体こんな流れになっているかと。では、上記の流れをもう少し詳しく考察していきましょう。まずは時間の流れの違いから。

時間の流れの違う東京と東のミカド国

25年前に東京の上空できた天井の上に成り立つ東のミカド国が、建国から1492年。つじつまが合っていないようにも見えますが、サムライの1人の台詞が、2国間で時間の流れが違うことを感じ取っています。

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東京にほんの数日間滞在していたサムライが、東のミカド国へ帰ってくると、子どもが見違えるほど大きくなっていたというのです。このことからも、東京と東のミカド国の間で時間の流れがまったく違っていることは明らかです。

ちなみに、東京での25年が東のミカド国での1500年くらいと考えると、およそ60倍の差があります。東京で1日過ごすと、東のミカド国では2ヶ月経過することになるので、数日の経過でも子どもが成長していたのがわかります。

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そういえば、東京にいる間もウーゴから通信で普通に会話していましたが、どうしてウーゴの言葉が60倍速の早口にならなかったのでしょう? 「ガントレット」に時空を調節する機能があると考えるべきか、「細けぇことはいいんだよ!」と考えるべきか。実際、主人公たちがこの時間の流れの差を感じ取っている描写はほとんどないんですよね。

なぜ時間の流れが違っているのか

さて、時間の流れが違うことはわかりましたが、ではどちらの時間の流れが正であるのか? 東京がスローになっているのか、東のミカド国が早送りになっているのか。これは明確に描写はされていませんが、おそらく前者、東京の中だけ時間の流れが違っているのではないかと考えています。

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ここからはかなり憶測になってしまうのですが…時間の流れを変えている原因は、おそらく無限発電炉ヤマトではないかと考えています。ヤマトは東京の電力をまかなう装置ですが、もともとブラックホールを生成する粒子加速器であり、別世界に飛ばすことさえできる機械です。時空を歪めて時間の流れを変えてしまうくらい、やってしまいそうなモノです。というか、ヤマト以外にそれほどの力をもった装置が見当たりません。

時間の流れが変わったのは、25年前に天井ができたタイミング。天井ができたことにより、東京は外界と完全に遮断されてしまい、一旦は電力が絶たれたと考えられます。そこで発電手段としてヤマトを起動させ、電力を得たものの、副作用として時間の流れをゆがめているのではないかと推測しています。

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ヤマトがいつ誰が何の目的で開発したものなのかは不明です。しかし、市ヶ谷駐屯地の地下にあるため、軍用の施設であった可能性が高いでしょう。その名のとおり、本当に発電炉として開発され、緊急用に設置されていたのかも。

時間の流れの違いは、天井の内側だけのため、東京の外側の世界では1500年以上経過していると考えられます。つまり、東京だけが浦島太郎状態であり、西暦でいえば3500年とかそんな状態ではないかと。

さて、時系列にそってもう少し詳しくみていきましょう。

25年前 天井が出来るまでの東京

東京における25年前の状況は、霞ヶ関の悪魔討伐隊ブリーフィングルームで記録を閲覧することができます。記録によると、悪魔召喚プログラムは、PCやスマホのアップデートなどに乗じて混入し、無差別にバラまかれています。その後、突然の悪魔の出現に混乱したようですが、政府の呼びかけて悪魔討伐隊が組織されています。

悪魔討伐隊は、A国製、つまりアメリカ製の「デモニカスーツ」を装備した精鋭部隊だったようです。『ストレンジジャーニー』にも登場したデモニカスーツですが、この世界でも南極のシュバルツバースに向けて調査隊が派遣されたのかどうかは不明。

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東京に悪魔が出現した時期、新宿御苑にて天使たちが「箱舟」を建造していたようです。天使たちは、「選ばれた民」である子どもたちを連れ去り、箱舟に乗せていたようですが、警察などは関与しなかったもよう。この箱舟が飛び去った後、東京に「天井」が形成されます。

東京の天井は、前世の主人公とマサカド公がミサイル攻撃から守るために作ったもの。ミサイル攻撃とは、おそらく砂漠の東京で、天使たちが人類を破滅させたのと同じ手口であると推測されます。人類は自らが作った兵器を天使に操作されて壊滅することになります。東京の外側の世界の壊滅については、東京の上空にある東のミカド国に他国が干渉してこないことからも推察できます。

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前世の主人公というのは、スティーヴンやツギハギの言葉から。プレイヤーである主人公に前世の記憶はありませんが、前世からかなりのヒーローであったことがわかります。

東のミカド国の成り立ち

天使たちの作った箱舟に乗って飛び去った子どもたちは、やがて東京の天井の上に着陸し、天使たちの主導のもと、神の国が建設されます。選ばれた民による、永遠の安寧が約束された千年王国ですね。

しかし、選ばれなかった民も、前世の主人公とマサカド公の作り上げた天井により、足元に生き残ることになってしまったことは、天使たちにとって誤算だったはず。そこで、4大天使のうちの3人が東京へ攻め入り、新宿御苑付近で悪魔と戦闘になったようですが、悪魔に破れ、幽閉されることになります。

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一方、東京では、デモニカを持つ少年・アキラが、箱舟で連れ去られた姉を追って天井を目指します。このときはまだ、メデューサもミノタウロスもいなかったため、スカイタワーからナラクを通過して天井の上に到達できたものと考えられます。

アキラから「天井の上に行く」という発想を聞いたフジワラは、悪魔討伐隊とともに天井の上を目指しますが、天使たちと交戦状態になったようです。このことは、東のミカド国のオベリスク碑文に書かれています。この時点で悪魔討伐隊が正式に機能していたかどうかはわかりませんが、悪魔を従えて戦えるまともな戦力は、悪魔討伐隊の隊員だったものくらいでしょう。ツギハギも元悪魔討伐隊ですし。

そして、天使たちにアキラが協力し、東京からの侵攻を撃退することに成功します。アキラはナラクに封印を施し、ミノタウロスを配置することで国交を途絶。天井の上に東のミカド国を建国し、初代国王アキュラとして名を残すことになります。

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神ではなく、王が民を主導する国家の建設は、天使たちの望むところではありませんが、4大天使のうち3人がいない状態ではコントロールしきれなかったのではないかと推察します。3人を救出するにも、そもそも3人がかりで負けた相手にガブリエル1人で挑んでも勝機があると思えませんし、ナラクは封印され、東京からの侵攻がひとまず食い止められているため、王政に対して手出しできなかったのではないでしょうか。主人公たちが3人を救出した後は、即座に王家を追放してますし。

また、アキラは悪魔召喚プログラムを用いて戦う「サムライ」を組織していますが、これも東京からの侵攻を防ぐためだったのかもしれません。サムライの使っている魔法の篭手「ガントレット」は、悪魔討伐隊のデモニカスーツのものと同型のようです。霞ヶ関の悪魔討伐隊基地でのバロウズの反応がその証拠かと。

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東のミカド国にデモニカを開発する技術はないため、おそらく天使たちと悪魔討伐隊との戦いの中で得た戦利品のデモニカを、サムライの間で代々受け継いでいるのではないでしょうか。

東京の人間であるアキラが、なぜ天使の側について戦ったのかは不明。目的であった姉と再会し、姉を守るために天使の側で戦ったとも考えられますが、時間の流れが違うため、そもそも姉と再会できたかどうかすら不明です。ロウ世界である砂漠のアキラはカオス的な考えを持ち、カオス世界である爆炎のアキラはロウ的な考えを持っており、世界に均衡をもたらす役割のようですが…。ギャビーの外見がアキラの姉を模したものだった、と考えれば、彼女に従って戦ったとも考えられますが、これはまったくの憶測。

現在に至るまでの東京

東京でもっとも力をもっているのが阿修羅会で、それに反旗を翻しているのがガイア教団。どちらにも組しないが、悪魔を使役する力を持って活動しているのが人外ハンター。おおまかにはこんな感じの勢力で構成されています。

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阿修羅会は悪魔召喚プログラムを掌握しているようです。悪魔討伐隊が壊滅した東京では、悪魔召喚プログラムをスマホで使うのが普通のようですが、スマホが大量にあったはずの秋葉原は、阿修羅会によって爆破されています。また、悪魔討伐隊の装備がある霞ヶ関も阿修羅会によって抑えられており、悪魔に対抗する手段は彼らの手中にあるといっても過言ではないはず。

東京の電力をまかなっている無限発電炉ヤマトも阿修羅会の手にあり、実質東京で権力を握っているのは彼らといってもいい状態でしょう。また、かつて悪魔討伐隊が使役していた「必殺の霊的国防兵器」も彼らの手中にありますが、それを使って天使や悪魔と戦った悪魔討伐隊が壊滅しているため、自分たちで戦って未来を勝ち取とうろは考えていないようです。

阿修羅会は「赤玉」を使って悪魔と交渉し、人間の生活を守ろうと考えています。また、大天使マンセマットと繋がりをもっていたり、封霊塔カゴメの警備をしていたりと、さまざまな部分で悪魔と交渉しており、戦い以外での解決を模索している感じ。タヤマの「ユートピア」構想ですね。

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ガイア教団の設立時期は不明ですが、平和な時代に「力こそ正義!」みたいな宗教が流行るとも思えないので、勢力を伸ばしたのは悪魔が出現し、天井が現れた後でしょう。リリスがユリコとして教団のトップに立った時期も不明。リリスが自らの考えを説いて人を集めたのか、それとも自らの考えに近い集団を見つけて乗っ取ったのか。

スカイタワーの展望台にいるメデューサですが、彼女は主人公との戦闘中にタヤマの手先が云々と言い出すので、タヤマと敵対する勢力が配置した悪魔のようです。都庁のクエビコのように、タヤマを嫌う悪魔もいるようですが、リリスがここを通過してナラクへ向かったのですから、リリスの手のものと考えるのが妥当ではないでしょうか。といっても、その先のミノタウロスをどうやってスルーしたのかは謎ですが。

さて、ゲーム本編は、リリスが黒きサムライとして東のミカド国に潜入し、悪魔を出現させるところかは始めるわけです。ナラクを封印し、停戦状態にあった東京と東のミカド国が、再び戦争状態に突入しそうなところで、主人公たちが介入することになります。東京と東のミカド国の時間の流れの違いさえ理解してしまえば、思ったよりシンプルな流れかも。

※2014/2/28追記
世界観の解説本が登場したそうです。
オールカラーで情報量も多そうですが、どうなんでしょう。

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