【Call of Duty:Ghosts】シングルキャンペーン クリア後レビュー いつものCoDだけどちょっぴり光る新しさも

「Modern Warfare」シリーズから登場人物や世界観を一新した「Ghosts」でも派手な演出と展開の「CoD」は健在。今回はさらに豊富なステージのバリエーションで攻め立てられます。

CoD:GHOSTS コール オブ デューティ ゴースト オフィシャルサイト | SQUARE ENIX

毎年この時期になるとお馴染みとなった「Call of Duty」シリーズの新作。今年は、これまでの「Modern Warfare」シリーズが3部作として完結したためか、「Ghosts」シリーズとして新たな展開を迎えています。

登場人物も世界観も一新してはじまった「Ghosts」ですが、全体的な感触としては、良くも悪くもいつものCoDだな、という印象です。FPSというジャンルの根本は割かしシンプルなもので、ともかく主観視点で銃撃戦なわけです。それだと単調になってしまうので、派手な演出や展開を活かして他のタイトルと差別化を図っているのが「CoD」なんですが、今回も演出の強さは健在。映画の主人公体験、ともいうべきコンセプトもそのまま引き継がれています。

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とはいえ、「MW3」や「BO2」あたりですでにマンネリを感じていたのも事実。ドカーンと爆発があったら吹っ飛ばされつつ暗転、耳がキーンとなって朦朧としながら立ち上がって走り出す…、なんていう一見派手な展開も、あまりに何度も見てしまうと、退屈な体験と化してしまっていたのです。

で、「Ghosts」ではどうかというと、確かに上記のような爆発展開がないわけではありません。もうお約束として定着しており、当たり前のように流れていきます。しかし、「Ghosts」では、プレイヤーを飽きさせないための工夫として、演出だけに頼らず、別の方向性の模索が進んでいるように感じられました。

それがステージのバリエーションです。

Ghostsたるもの、たとえ火の中水の中

FPSは銃の撃ち合いの繰り返しなんですが、それだけだと退屈させてしまうため、ちょっと変わったステージやギミックを挟むことは珍しくありません。「CoD」シリーズもそうです。過去のシリーズにもさまざまなステージがありました。

今回「Ghosts」では、特にステージのバリエーションに力が入っているような印象を受けます。特殊なシチュエーションというだけではなく、水中や宇宙など、操作からして変わってしまうレベルで変化がつけられています。

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地上での派手な銃撃戦とはうってかわって、ゆったりめの地味な戦いに感じるかもしれませんが、合間合間に差し込まれるとうまく緩急がつく結果を生み出すのです。ずっとこんなステージばかりが続くと退屈でしょうけど、スローボールも使いどころによっては効果的、ってことですね。

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冷静になって考えてみると、宇宙まで行って撃ち合いなんかするもんかね、「ここで撃ち合ったら俺もお前もタダじゃ済まないからやめておこうぜ」ってなるんじゃないかな、と思ったりもしますが、これFPSですもんね。引き金ひかなきゃはじまりません。ギャルゲーでさえない主人公が何故かモテモテなのを深く考えても仕方ないのと同じようなものなんでしょう。

また、ステージのバリエーションとして、今回特に目についたのは乗り物ステージです。

壮快感重視の乗り物ステージ

水中や宇宙がスローボールなら、乗り物ステージは150キロの剛速球。細かいことを気にせずに撃ちまくり、破壊の限りを尽くす壮快感に全振りしたような調整になっています。

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ヘリステージではロックオンミサイルと機銃を撃ちまくりながら、敵に狙われたらフレアーをまく、というシンプルなものですが、とにかく気持ちよくバンバン撃たせてくれます。

戦車のステージも同じように、主砲が当たれば一発でドカンです。正面装甲が厚い?背面や側面を狙わないといけない? そんなことは知ったこっちゃありません。主砲をドーンと撃って当たればドカーンです。だってそっちの方が気持ちいいじゃん?というInfinity wordの声が聞こえてきそうです。

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昨今、ライバルシリーズと位置付けられている「Battlefield」シリーズが「CoD」シリーズを意識しすぎているといわれることもよく目にしますよね。今回はそれとはまったく逆で、「CoD」が「BF」に対する返答を示したのかもしれません。とはいえ、「CoD」は「BF」と違って、乗り物はあくまでオマケ扱いですから、こういった調整も可能だった、ってことなんでしょうけど。

個人的には「CoD」では銃撃戦がやりたいのであって、乗り物なんてどうでもいいよ、と思っている節もあったのですが、終わってみれば戦車ステージが1番楽しめたという結果に。もちろん、他のステージがダメだったという意味ではなく。

ステージのバリエーションとして、特に水中や宇宙、乗り物を挙げてみましたが、歩兵で戦うステージもバリエーションに富んでいます。「レインボーシックス」を彷彿とさせる高層ビルでのラぺリングや、まったく指示のない状態でのドキドキステルスなど。

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反面、「BO2」で多数目についた未来兵器による戦いは少なくなった印象。ビックリドッキリメカではなく、あくまでステージで勝負をしている感じですね。確かに、ライリー君を操作するようなシーンもあるっちゃありますけどね。

ストーリーはやや地味め?物語のはじまりを思わせる内容に

「CoD4」からはじまる「Modern Warfare」シリーズは「MW3」により完結しているので、「Ghosts」は完全に新しいストーリーになっています。登場人物も世界観もすべて新しくなっています。

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ここで詳しい解説はしませんが、世界を巻き込んだ大きな戦争の中で、個人的な小さな戦いを含めて展開していく感じは、いかにも「CoD」といった印象。

ラストシーンは誰もが「えっ」となることでしょう。ここから「Ghosts」シリーズがはじまるのだという第一部としてのストーリーを思わせる幕切れでした。個人的な感想をいってしまうと、不死身のプライス大尉みたいな人を敵に回すとこんな感じになっちゃうんだな、というストーリーなのかなと。

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発売前から人一倍(?)目立っていた軍用犬のライリー君は期待以上のかわいさでした。見た目はでっかいシェパードでいかついですが、中身は完全にわんこ。だた、思ったよりも出番が少なかったことが心残りです。

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開発中にスタッフの間でも、彼の扱いについて揺れていたことが伝えられていました。しかし、安易なお涙ちょうだい要員にはならず、本当によかったと思う次第。

「Ghosts」はほんのちょっと新しい「CoD」

そんな感じで、キャンペーンモードはいつもの「CoD」でありつつも、バリエーションを増やして完成度を高めたような内容でした。さすがにこれだけシリーズを重ねていると、新たな要素を追加するのにも小慣れてきた印象かも。

登場人物も世界観も一新したとはいえ、やっていることは「いつものCoD」です。プレイしていても「すげえ!新鮮!」なんてことはありません。しかし、相変わらずであるからこそ、FPSのキャンペーンとしての安定感は抜群。

「Ghosts」はいつもの「CoD」にちょっぴりスパイスを混ぜて、一歩進んだ「CoD」といえるかもしれません。けれども、進む方向はいままでとあまり変わっていないため、まだまだマンネリを打破するのは難しそうです。過去シリーズが作り出した衝撃を、自らの手で打ち破る日は、果たしてやってくるのでしょうか。

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