【ペルソナQ】レビュー 「世界樹の迷宮」でもあり「ペルソナ」でもある3Dダンジョン探索RPG

やっとクリアできたのでレビュー。「世界樹の迷宮」に「ペルソナ」を融合させた結果、従来の「世界樹」シリーズとはかなり趣の異なるダンジョン探索型RPGに仕上がっています。「世界樹」ファンと「ペルソナ」ファン、どちらとっても新しいRPGになっているのではないでしょうか。

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マップを埋めたり依頼を消化したりしていたので、終わってみれば1周だけで70時間オーバー。スキル構成の自由度が高いので育成も楽しく、ペルソナ合体やらスキルカード抽出やらでズルズルと時間が経過していてこんなにも長時間に。個人的に「1周クリアするまでは攻略サイトを見ない」というプレイスタイルなので、謎解きにもかなりの時間をとられたのもあります。

そんな感じで、1周クリアしたところでのレビューになります。ストーリー的なネタバレはできるだけ避ける方向で。

探索よりも謎解きのダンジョン

地図を描きながら3Dダンジョンを探索する、という基本システムは「世界樹」シリーズから継承しているものの、『ペルソナQ』では探索よりも謎解きの印象が強くなっています。探索しているというよりはパズルを解いている感じ。オートマッピング設定が導入されたこともあり、地図を描きながら探索するというより、できあがった地図とにらめっこしながらパズルを解いている印象ですね。

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特に、マップ上に表示される強敵「FOE」を避けて進むことを要求されるケースが多くなっています。FOE回避がダンジョンのメインといってもいいんじゃないでしょうか。といっても、単調になっているわけではなく、FOEの動きのバリエーションは豊富なのでどの階層でも頭を捻り続けることになります。

後半になればなるほど、マップの地形やギミックと組み合わせてFOEの回避方法を考えさせられるようになってきます。といっても、理不尽なことはありません。最初にFOEのパターンやギミックを見せておき、次にFOEが増えたり地形が変化したりと、徐々にムズかしくなっていくのです。基本を学ばせた後で応用を解かせていく、という非常に親切な作りになっているわけです。

FOE回避を中心としたパズル要素だけでなく、場所によってはなぞなぞ的な謎解きもあります。知らないと解けないほどではなく、カンタンすぎてあくびがでるというほどでもなく、個人的には丁度いい難易度でした。謎が解けて頭に電球が点く瞬間は大変気持ちがいいものです。

こういった謎解き要素の強さは好みの分かれるところかもしれません。なぞなぞはともかく、FOEについては倒して進むのもアリっちゃアリなのですが、今回のFOEはダンジョンに入りなおすたびに再配置されてしまうので、強引な突破はほとんど許されていないといっていいでしょう。なので、本当にパズル要素が強いダンジョンになっています。

弱点を突く「ペルソナ」と搦め手の「世界樹」が融合したバトル

「ペルソナ」と「世界樹」の2作品の融合をもっとも強く感じられるのがバトルです。弱点を突くことでアドバンテージをとる「ペルソナ」と、搦め手や連携などが強い「世界樹」がうまいこと組み合わさった感じ。

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プレスターンではなくターンベースになったことで、弱点を突いて行動回数を増やす「ワンモア」ではなく、次のターンにコストゼロでスキルが撃てる「ブースト」に変化しています。そもそもスキルの消費コストがかなり大き目に設定されているので、弱点を突き続けてブースト状態を維持することがバトルの基本になっています。

ブーストがあるためか、大抵のバトルは2ターン以上かかる調整になっています。要するに全体的に敵が硬めです。なので、バトルが長引きやすいのですが、そうなると活躍してくれるのが敵の弱体やバッドステータス付与の”搦め手”。毒や睡眠だけでなく、封じ系のスキルなどが非常に強力なのは「世界樹」っぽいですね。

他にも、メンバーの攻撃に続いて攻撃したり、1列のダメージを肩代わりするスキルなど、パーティの連携を重視したスキルも多数あります。個々のキャラクターのスキル構成だけでなく、パーティ全体としてのスキル構成が重要になってくる感じもすごく「世界樹」っぽい感じですよね。

ザコ戦の1戦1戦をじっくり戦っていくような調整になっているのですが、その一方でハマ系ムド系の即死魔法を弱点とした敵が多くなっていたりもします。全員でハマ系ムド系を撃ちまくれば1ターンで終わることも珍しくありません。というか、これが1番楽な攻略方法なのではないでしょうか。

ボクも楽なのでガンガン使っていたのですが、「弱点を突くのが基本なんだからこれは基本通り」と思う反面、「本当にこんな戦い方でいいのだろうか」とやや不安も感じていました。その不安が的中したのか、終盤では闇属性弱点なのにムドオンがさっぱり命中しないという敵も登場し、開発者から「甘えてんじゃねえ!」と頭を叩かれている気分でしょんぼり。救済の1つではあるけど、それでクリアはさせてやらんというメッセージなのかもしれません。

ともあれ、弱点を突くためにスキルを撃ちまくる「ペルソナ」的なところと、パーティ全体での連携や搦め手が強い「世界樹」的なところが組み合わさったバトルになっています。

スキル構成の自由度が高いので育成も楽しい

「P3」と「P4」のキャラクターが勢ぞろいしているので、パーティの編成を考えるだけでも迷ってしまうのですが、キャラクターごとの性能の差はそれほど大きくないので、好きなキャラクターで編成してしまって問題のない調整になっています。これはクロスオーバー作品としてうれしいところですね。ここでキャラ差を埋めているのが「サブペルソナ」と「スキルカード」の存在です。

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『ペルソナQ』では、原作とは違ってキャラクターの全員がメインとサブの2種類のペルソナを装着できるようになっています。また、ペルソナから抽出した「スキルカード」を使うことで、任意のスキルを各キャラクターに習得させることも可能になっています。なので、足りない能力を補ったり、長所を伸ばしたりと育成の幅が広がっています。おかげでキャラごとの性能差はあまり感じられないのですが、かといって個性がないわけでもないくらいの調整になっています。

自由度が高いが故にスキル構成を考えている時間は非常に悩ましく、楽しいものです。とはいえ、ペルソナの育成には経験値稼ぎという時間のかかる作業が待っているわけで、それは楽しくない悩みです。しかし、『ペルソナQ』は稼ぎに対して寛容になっているのです。

「世界樹」シリーズではゲーム内時間の経過によりFOEやボスが復活するため、宿屋に泊って時間を進めつつボスを狩る、なんて稼ぎ方がありましたが、『ペルソナQ』ではダンジョンに入りなおすだけですぐ復活してくれるので、経験値稼ぎがすごく楽。アイテムの採掘ポイントも同じようにダンジョンに入りなおすだけで復活するので、お金稼ぎもすごく楽。稼ぎが楽なのでスキル構成の検討をじっくり楽しめるというものです。

カンタンにレベルが上がってしまってはゲームの寿命が縮んでしまうのでは?と懸念されるかもしれませんが、経験値やお金を渋る時間稼ぎなど、そもそもあまり愉快なことではありません。なので、育成のメインをスキル構成の検討に置き、各種稼ぎは短くカットした調整はとても評価できるのではないでしょうか。

キャラクターの魅力を推し出したストーリー

ペルソナ2作品のキャラクターがクロスオーバーするイベントシーンは見ていて非常に楽しいです。「このキャラはこのキャラに対してこういうこというよね」ってイメージがそのまま表現されている感じなので、「P3」「P4」が好きな人にとってはキャラゲーとしてもかなり楽しめるんじゃないでしょうか。

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バトル中のボイスもキャラ同士の掛け合いや敵に対するコメントなど、かなりのバリエーションがあります。「新・世界樹の迷宮」でもバトル中のボイスはありましたが、さらにしゃべるようになった感じですね。「新・世界樹」と同様、混乱したときや眠ってしまったときの専用台詞もあります。たとえばP4主人公が眠ると「ごめんなさい…プリン…食べました…」と寝言で誤ったり、混乱すると「菜々子ぉぉー!」といいながら殴りかかってきたり。

コミカルにデフォルメされたキャラクターたちで、明るく愉快なパートが多くなっているのですが、それだけでは終わらないのが「ペルソナ」っぽいですね。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、明るさの中にも一寸暗い部分をじわじわと見せておいて、一気に叩き落としてくる、とか。オカルトっぽい雰囲気を混ぜてきたりするところなんかも、いかにも「ペルソナ」。

ストーリーに関してちょっと気になったのが終盤のクライマックスからラストまでの部分。ダンジョン探索型RPGなので、どうしてもじっくりと少しずつ進めることになるため、クライマックスで盛り上がった気持ちをラストバトルまで持っていけなかったんですよね。「P4」では連れ去られた菜々子を追うところから救出、さらには犯人の処分まで、気持ちを高めたまま一気に進められたりもしたわけですが、『ペルソナQ』ではそうもいかなかった感じ。

個人的に「P3」「P4」の本編進行中に『ペルソナQ』の世界に迷い込んでいる設定上、あの結末はある程度予測できるものではあったのですが、時系列の隙間に新しい物語を挿し込んでいくスタイルはなんだかガンダムみたいになってきたなと思ったり。もう1年戦争に隙間ないよ!って状態になる前に、「P3」「P4」を超える新たな「ペルソナ」の登場が望まれます。

強くてニューゲームのカタルシス

クリア後はいわゆる”強くてニューゲーム”が用意されています。レベルや装備、ペルソナ全書などを引き継いでスタートできます。引き継がない選択肢もありますが、70時間のプレイ内容を捨てるなんてとんでもない。ボクにはそんなことできません。全部持っていきます。

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ここまで『ペルソナQ』は頭を捻って解くパズルだの、じっくり戦うバトルだの、育成が楽しいだのと書いてきましたが、強くてニューゲームはこのすべてをぶっ壊す要素になっています。FOEを避ける必要がないからパズルにならないし、ザコ敵なんてオートバトルでもいいし、育成なんてしばらくやる必要もないし。一歩ずつちびちび進めるゲームが全力で爆走するゲームに早変わりです。

1マスも無駄な場所がないほど作り込まれたマップも、スキル構成を考えて戦うバトルも、ラスボスを倒した2周目のプレイヤーの前では無残に破壊されてしまいます。でも、そんな破壊がめっちゃ楽しい! 謎解きもバトルもあんなに苦労したからこそ、すべてを破壊するのが楽しくて仕方ないのです。強くてニューゲームはこうでなくては。

そんなわけで現在2周目を爆走しているわけですが、主人公が変わると途中のイベントシーンもかなり変わっていることに気付けます。校内散策でのイベントも全然違っていたり。そもそも通常バトルのBGMが違っていたりもするので、クリアした人はぜひ2周目もやってみましょう。

「世界樹」と「ペルソナ」の見事な融合

「世界樹の迷宮」は初代から少しずつ変更を加えてきているものの、柱となるシステムはそれほど変わっていなかったのですが、今回「ペルソナ」とコラボレーションすることで、大きな変化が生まれたのではないでしょうか。それは、「ペルソナ」シリーズが「P3」で大きく方向転換したときほどの変化ではありませんが、『ペルソナQ』が従来のシリーズに比べて、かなり毛色の違うタイトルになったことは疑いありません。単に「ペルソナ」のキャラクターや世界観を重ねただけでなく、バトルや育成などのプレイ感にも色濃く反映されているため、本当に2作品が融合したコラボレーションになっているのです。

すでに次回作を予感させるティザーサイトがオープンしていますが、今回の『ペルソナQ』の存在が今後の「世界樹」シリーズに与える影響にも期待したいところです。

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