【ドラゴンズドグマ ダークアリズン】2周目クリア後レビュー 黒呪島はハクスラ的な裏ダンジョン

『ダークアリズン』最大の追加要素である「黒呪島」を2周クリアしました。難易度は本編クリア後推奨の裏ダンジョン的なもので、周回してハクスラ的に遊べる場所でした。

CAPCOM:Dragon’s Dogma DARK ARISEN (ドラゴンズドグマ ダークアリズン) 公式サイト

『ドラゴンズドグマ ダークアリズン』は、前作の内容はそのまま、さらに新規要素を追加した、いわば「完全版」といった内容になっています。追加されている要素は、これまでDLCで配信されたゲームモードや装備品と、日本語ボイス、そして新マップ「黒呪島」。今回は、完全新規要素となる「黒呪島」に焦点を当ててレビューしていきます。

いわゆる完全版商法な流れなので、正直あまり気乗りしなかったのですが、プレイしてみればやっぱりおもしろい。『ドラゴンズドグマ』のコアである「ポーン」と「アクション」は変わらずなので、無印『ドラゴンズドグマ』が楽しめた人なら『ダークアリズン』も変わらず楽しめるんじゃないかと思います。

「黒呪島」は本編クリア後の裏ダンジョン

「黒呪島」は、高難易度であると再三忠告されますが、実際にかなり厳しい難易度です。本編を2周クリアし、実績(トロフィー)をコンプし、そしてエヴァーフォールを周回したりウルドラを撃破したり、それだけやり込んで装備を整えていても、なおキツイと感じるくらい敵が強いのです。

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登場する敵も新しい敵がほとんどなのですが、どの敵もデカイ、硬い、イタイと強烈なヤツばかり。「黒呪島」へ踏み込んだ当初、この敵に対してどうしてやろうかと頭を抱えるほど厳しい戦いになっていました。

しかし、「黒呪島」で拾える装備品は、これまた新規のものが多く、しかも本編で最高の装備をさらに上回る性能をもっています。また、今回新たに追加された装備の「上位アップグレード」を利用して、限界を超える威力を手に入れることができます。

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なので、最初は厳しい戦いになり、命からがら逃げ回りつつ装備を拾い集めていくことになります。装備が整ってくると、あんなに怖かった敵をザクザク斬り倒せるようになります。それはもう信じられないくらいに。

もともと、このゲームはレベルよりも装備品がモノをいうので、新しい敵と新装備の追加により、無印『ドラゴンズドグマ』をやりこんだ人でも、成長が実感できるような作りになっているのですね。

「黒呪島」は、本編よりも強い敵、強いアイテムの転がっている、クリア後の裏ダンジョンのような場所なのです。本編シナリオの序盤から挑むことはできますが、内容はクリア後のお楽しみといっていいでしょう。

周回してナンボの遊び方はハクスラ的

「黒呪島」で拾える新しい装備品は、呪われた状態になっているため、そのままでは使えず、中身もわかりません。入り口のNPCに鑑定してもらって、はじめて中身がわかるようになっています。ダンジョンからたくさん持ち帰って、ワクワク鑑定という流れになります。

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装備品の「上位アップグレード」には、これまで同様、素材アイテムが必要になるのですが、素材アイテムは「黒呪島」のアイテムがほとんど。なので、ダンジョン内で敵と戦ったり、探索したりすることになります。

より強い装備品を求めるなら、ボスのドロップやボス部屋の先にある宝箱を狙うことになるので、結局は島1周マラソンをすることになったり、宿屋で時間を流してはボスを叩いたりすることになります。

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周回してアイテムを集めて強くなっていく、という流れは、ハクスラ的なものに近いと思います。本編でも、エヴァーフォールでそれっぽいことをやろうとしていたんじゃないか、という片鱗を見せていましたが、「黒呪島」がその完成形なんじゃないかと。

「黒呪島」は2周目以降は敵の配置が変化し、さらの難易度が上がります。また、ラスボスも、2周目からは第2形態が存在するため、まさに2周目からが本番といったつくりでもあります。

敵の死体によって発生する「死体沸き」による強力な敵の登場は、周回プレイを作業にさせないためのランダム要素なのでしょう。同じマップを周回していても、毎回違った体験になることが多いですね。

即死による難易度調整とポーンの相性が悪い

敵が強く、即死級のダメージを食らうことも日常茶飯事の「黒呪島」ですが、文字通り即死の攻撃をもつ敵も登場します。「死体沸き」で登場する死神「デス」とラスボスの「ダイモーン」がそれですね。

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プレイヤーが連れて歩けるNPC「ポーン」は、体力がなくなって倒れても、そばへ駆け寄ってボタンを押すだけで起こすことができますが、上記2体の即死攻撃はそれを許さないものになっています。即死というか、即ロストといった方がいいでしょうか。転落死と同じような扱いになるので、雇用したポーンの評価をできず、その場で解雇になってしまいます。

手塩をかけて育てたポーンが、他の誰かに借りてもらえて、評価を受けて帰ってくる、というのは『ドラゴンズドグマ』のコアとなる部分だと思うのですが、即ロストのせいで、この楽しみがかなり奪われています。事実、ポーンが評価なしで帰ってくることがめっちゃ増えました。

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ロストする機会を増やすことで、雇用期間が短くなり、雇用の機会を増やそうという狙いもあるのかもしれませんが…。ポーンが評価を下されて帰ってくる、評価が高くても低くても、それは人が下したもので、そこにゆるいつながり、コミュニケーションがあったはずです。毎回のように評価なしで帰されると、ゆるいつながりがあまり感じられなくなってしまったように思います。

それにしても、短期雇用を増やして雇用機会を増やそうとか、なんだかしょっぱい現実を垣間見ているような気がしないでもない。たぶん何の関係もないですけど。

新しい舞台だが使いまわし感も

完全に新しい舞台となる「黒呪島」では、新しいシナリオが用意されています。覚者とポーン、ドラゴンをめぐる輪廻については本編で説明されていますが、その世界観を汲んだものになっていて、予想以上にしっかりした出来でした。

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ラスボスをめぐる悲しい物語なのですが、ラスボス戦のBGMも物悲しく、バトル中に台詞が流れる演出もかなりいいですね。最初は読む暇ないですけど。2周目以降にしか出てこないラスボス第2形態にもちゃんと専用のBGMが用意されているのも驚き。第1形態とは違って勇ましい曲になっていて、こっちもいい曲なので、ぜひ2周目を進めてもらいたいですね。

と、新規要素目白押しなのですが、「黒呪島」内でマップの使いまわしが目立ちます。ダンジョンの奥に進んでいたはずが、最初の方で見たことある部屋が出てきたりすることが多く、ちょっと混乱します。ここは残念なところ。「黒呪島」は現実ではない場所、という設定らしく、歪んでいるとの説明は一応ありますけど…。

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新しい敵も、既存の敵を大きくしたり色が違ったりするものが多く、やや使いまわし感があるのは否めません。といっても、キメラ並みのサイズを誇るガルムが、実は狼系だったなんて、パッと見では気付かないですけど。

もっとドラゴンズドグマの世界で遊ぶための1本

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『ダークアリズン』は続編というより、本編の拡張版といった内容です。無印をやりこんでいて、「もうやることなくなっちゃった」とか「もっと強い敵はいないものか」といった要望に応える、クリア後の裏ダンジョン「黒呪島」が本体といっても過言ではないでしょう。

あれだけやりこんだゲームで、まださらに成長を実感できるものになっているので、無印をやりこんだ人向けなのかもしれません。まさに「完全版」という内容なので、これから初めて『ドラゴンズドグマ』に触れようという人も、間違いなく『ダークアリズン』ですね。というか、いまとなっては無印の存在価値が…完全版商法の傷跡ですね…。

本編をやり込んで「もう敵はいない」と思っているそこのアナタ、ちょっと「黒呪島」へ行ってみませんか。敵のあまりの強さに、こんなはずじゃなかったと感じた後、さらなるパワーアップで強敵をボコボコにできるようになっている、という明快な内容になっております。

ドラゴンズドグマ:ダークアリズン
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