『Super TIME Force』はかわいいピクセルスタイルの「魂斗羅」風2Dアクションシューター。激しい弾幕なのに当たれば即死というハードな内容ですが、死んでしまっても大丈夫。ちょっと時間を巻き戻してやれば、生前の自分と一緒に戦えるので、繰り返していれば自分の大軍で敵を圧倒できるのです。
はじめて『Super TIME Force』を見たとき「多人数で遊べる「魂斗羅」かー」と思ったものです。かわいらしいピクセルスタイルのビジュアルに目を惹かれ、わらわらと動き回る大勢のキャラクターを見れば、そう思ってしまうのも無理はないでしょう。でもこれ、1人用のゲームなんです。
画面中にあふれる多数のプレイヤーキャラクターを操作しているのはすべて自分1人。どういうこと?と思われるかもしれませんが、時間を操作できるタイムトラベラーな『Super TIME Force』にとっては造作もないことなのです。
時間を戻して自分のゴーストと一緒に戦う
ゲームは、ジャンプ&ショットのオーソドックスな2Dアクションですが、本作を特徴づけているのが「タイムアウト」システム。プレイヤーが任意のタイミングでゲーム中の時間を巻き戻してリスタートできるようになっています。さらに、巻き戻す前に操作していたキャラクターはそのままゴーストとして残るので、これを繰り返していると、どんどんキャラクターが増えていくわけです。
「タイムアウト」は死んでしまった場合も発動します。ちょっと時間を戻してリスタートになり、たとえば3秒後に死ぬ自分と共闘できるわけです。といっても、見殺しにする必要はありません。自分を殺すはずだった敵を先回りして倒してしまえば、自分を救うこともできるのです。SFでは歴史改変として大騒ぎになりそうな流れですが、『Super TIME Force』にとっては些細なことです。
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自由に時間を巻き戻せるならやりたい放題のイージーモードなんじゃないの?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。無敵の『Super TIME Force』にも天敵が存在するのです。それは制限時間です。
時間に追われるタイムトラベラーたち
本作はどのステージでも制限時間が設けられています。制限時間はかなり厳しめの設定になっており、急いでいても間に合わないくらいです。じゃあどうすればいいのか、といえば「タイムアウト」を使うわけです。
1人で敵を倒して弾を避けながら進むと時間がかかってしまいますが、複数のキャラクターをうまく使えばすばやく切り抜けることができるわけです。たとえば、スナイパーを使って遠くの敵を倒して「タイムアウト」、シールドを使って敵の弾を防いで「タイムアウト」、そしてその間を駆け抜ける、という感じ。1人で協力プレイをやってるようなものですね。
他にも、脇道に置いてあるアイテムを取り入ったら時間をロスしてしまうので、アイテムは過去の自分にまかせて「タイムアウト」し、新たな自分はまっすぐ進む、なんてこともできます。過去の自分と役割分担をして進むわけです。じゃあ過去の自分はどうなっちゃうかって?気にしなくてもいいでしょう、今の自分は生きてるんだから。
ボス戦では、純粋に火力を上げるために何度も「タイムアウト」することになります。人数をかけて火力を集中させないと時間的に間に合わないからです。単に火力アップのためだけでなく、ボスの左右に分かれた弱点を左右から撃つ、なんてこともあります。ただのゴリ押しになってしまう場合もあるのですが、それはそれで楽しいですね。ワーワー感あります。
時間を戻せるといっても残機30人の制限もあるので、あまり無計画に「タイムアウト」を繰り返しているとゲームオーバーになってしまいます。とはいえ、制限時間に余裕のあるステージ序盤にのんびりしすぎると、あとあと時間が足りなくなってしまうので、「タイムアウト」は計画的に使う必要があるのです。一見するとノリで死んだり生き返ったりしている『Super TIME Force』ですが、実はけっこう戦略性があったりします。
時間を自在に操れるくせに最大の敵が時間だなんて、なんだか妙な話ですが、制限時間がなければ「タイムアウト」を使う必要性が薄まり、チマチマと1人で寂しく進めるゲームになりかねません。なので、この制限時間で縛る調整は大正解であると感じます。
パロティてんこ盛りのタイムトラベル
本作は全7ステージで構成されています。ステージ1と最終ステージは固定ですが、それ以外は自由に選択できる「ロックマン」方式です。それぞれのステージの舞台は時代別になっており、恐竜の時代から世紀末、西暦3072年までバリエーションは豊か。
どのステージでも小ネタがふんだんに散りばめられており、パロディのお祭り状態。たとえば、199X年ステージはモヒカンとタイヤのヒャッハー感あふれる世紀末になっており、ステージ開始直後には犬を連れた青年が歩いているなど、マッドでマックスな世界になっております。このむせかえるほどの世紀末感。
こんな感じでどのステージもネタがてんこ盛りです。すべてあげるとキリがないほどパロディが詰まっている感じ。
「ロックマン」のようにステージクリアごとに武器が増えたりはしませんが、ステージ中で襲われている人を助けることで仲間になってくれます。彼らは放っておくと殺されているので、助けてしまうのは重大な歴史改変のような気がするのですが『Super TIME Force』にとっては人手の確保の方が大事なのです。
ちなみに、襲われている人々もネタだらけ。たとえば、西暦3072年ではテレビから出てくる貞子に襲われ中のおっさんとか。このおっさんも放っておくと殺されてしまいますが、助けると仲間として使用可能になります。バスローブのおっさんなんていらない…と思うなかれ、彼はライトセーバーを投げるフォースの使い手です。
こうしてどんどん増えていくキャラクターは個性的で尖ったヤツばかり。人間じゃないヤツも混ざっていますが、地球の平和のためには関係のないことなのでしょう。たとえ歴史改変のために地球が壊れてしまったとしても、地球のためには仕方のないことなのです。
密度の濃い時間を
本作は3~4時間程度でクリアできます。アイテムやキャラクターを収集したり、クリア後に解放されるハードコアモードに挑んだりするなら、まだまだ遊べる感じ。増やしたキャラクターを使って以前のステージに挑めば、また違った攻略も見えてきますし。
とはいえ、ボリュームが少なめなのは否めません。1つ1つのステージが短めなんですよね。でも、制限時間を軸に調整されているので、1ステージをあまり長くすると、いくら「タイムアウト」で時間を戻せても、ステージ後半になってからは取り返しのつかない詰み状態に陥る可能性もありそうですし。
ステージが全体的に短めな分、ギュッと凝縮されている感じはあります。敵やボスの攻撃も、ステージごとのギミックもパロティも、短いステージの中に押し込められているので、それだけ密度が高くなっているように感じます。なので、短いながらも満足感が高いのですよね。もう1回遊ぼうかなと思わせてくれる、ちょうどいい長さであるとも思います。
そんなわけで『Super TIME Force』、2011年にタイトルが発表されてから延期を重ねてやっとのことで配信されたわけですが、期待通りかそれ以上のクオリティに仕上がっていました。時間をかけられているだけあって、細々としたところまで(主にパロティとか)実によく作り込まれています。
「魂斗羅」風のレトロスタイルな2Dアクションシューターに、時間操作システムのスパイスを上手に混ぜた結果、新たなゲームプレイを生み出しているわけですが、新旧の融合という意味では1つの理想形となっているのかもしれません。ただの足し算ではなく、うまーく組み合わせることに成功しているのではないかと。
『Super TIME Force』はXbox One、Xbox 360でXBLAとして配信中。お値段は1,543円で国内のマーケットからも購入できますが、日本語にローカライズはされておらず、英語のみなので注意。
公式サイト:SUPER TIME FORCE
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