【電撃文庫 FIGHTING CLIMAX】どこらへんが格ゲー初心者向けでどこらへんがそうじゃないのか

電撃文庫のキャラクターを集めたお祭り系格闘ゲーム『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』。最近の格ゲーにしてはシンプルな操作で派手な動きができるため、初心者向けとしても評価の高い本作ですが、多くにシステムがあるためやり込みで差がつくところはキッチリできてます。そんな『電撃FC』がどんな感じのゲームなのか、ざっくりご紹介。

PS3版『電撃FC』、はじめました。アニメ視聴はそこそこ(といっても観ている人からみれば少ない)、ライトノベルはまったく読まないボクですが、ゲームとしての触り心地の良さから遊んでいます。

大抵のキャラは「見たことあるけどよくは知らない」程度。原作アリのゲームとなると「あのキャラを出せ」「このキャラいないのかよ」みたいな”アレ出せコレ出せ系”の話はよくみるわけですが、元ネタが天下の電撃文庫なので、範囲が広すぎて話のネタは尽きそうにありませんね。ゲーム中の原作再現もよくできているようなので、それだけに動かしてみたい欲求が湧き出るというものでしょう。

『電撃FC』をやってる理由はといえば、ぶっちゃけてしまえば「このゲームはボクでも勝てる!」なんですけど。いや、だってそこ重要でしょ?勝てるといっても現状はランクマッチで勝率5割付近をいったりきたりしている程度ではあるのですが、5割もあれば十分楽しめます。十分すぎるほどです。

巷でも「格ゲー入門にもってこい」と評判の『電撃FC』、どのへんが初心者向けなのか、また、どのへんがそうではないのかを書いていこうと思います。

公式サイト:電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 公式サイト

『電撃FC』のこのへんが初心者向け

・操作がカンタン

格ゲーといえば複雑な操作を連想されがちですが、『電撃FC』はかなりシンプルに落とし込んでいます。レバーでのコマンド入力による必殺技はありますが、いわゆる「昇竜」コマンドは存在しません。また、ボタンを連打するだけで自動でコンボをしてくれる「連打コンボ」もあり、操作の簡略化という意味では「P4U」シリーズに近い方向性です。

「P4U」と違いのは、連打コンボが実戦レベルの火力を持っている点です。連打コンボの〆に超必殺技を出すだけで(その時点で連打コンボじゃないけど)十分すぎるほどのダメージが出せます。「P4U」の連打コンボは威力が控えめで、それだけでは勝つのはムズかしく、「初心者でもある程度戦えている感」を出すための舞台装置だったのですが(ゲージとかバーストとかへのボーナスはありますけど)、『電撃FC』の連打コンボは本当に「勝たせるため」のシステムだという印象です。

連打コンボを卒業して自力でコンボをするにしても、他の格ゲーに比べてカンタンな部類といえるでしょう。似たようなコンボレシピが多くのキャラに流用できるため、身内でワイワイ遊ぶキャラゲーとしてもうまくできているように感じます。

電撃FC コンボ自体は難易度低め

・上達の次のステップがわかりやすい

始めたての時期に忘れがちなのがサポートの存在。ボタンを押すだけで出せるはずなのに、自分のキャラクターを操作するのに夢中になってしまい、ついつい存在を忘れがちです。しかし、自分以外のキャラクターが援護してくれるサポートシステムは非常に強力です。類似システムをもった多くの格ゲーがそうであったように。

使用回数に制限のある切り札も最初のうちは使いどころがわからず、かかえたままやられてしまいがちです。でもサポートにしろ切り札にしろ、非常に強力なので当然相手は使ってきます。なので、「あ、これ使えばいいんだな」っていうのがとてもわかりやすい。格ゲーに限った話ではないのですが「次に何をすればいいのか」が明確かどうかは本当大事です。

・切り札など勝ちを拾いやすいシステム

前述の連打コンボに加えて、切り札やインパクトブレイク(4A+B)といったカンタンかつ非常に強力なシステムがあります。切り札はキャラによって性能が異なるものの、多くはアーマー付きの中段(しゃがみガード不可)で体力の3割近くを奪うという反則級の強さ。なのにボタンを押すだけで出せる。使用回数に制限があるとはいえ、使わない手はありません。

インパクトブレイク(4A+B)はアーマー付きの中段技。ヒットすれば空中コンボに移行できるし、空中のコンボも連打である程度やってくれるというありがたい仕様。アーマー付きなので多少強引に出してもなんとかなるのありがたい…ようで、相手にやられるとありがたくない…。

全キャラしゃがみA攻撃が下段なので、それと対になる選択肢である中段技がカンタンかつ強力というのはデカイ。このあたりをキッチリガードできる人が最初の壁になりますね。というか、ボクはなってます…。

・飛んでいい

『電撃FC』は対空技があまり強くないため、ぴょんぴょん飛べます。空中ガードはあるのに空中投げはないので空中にいること自体が結構強い印象。初心者はジャンプを多用する傾向が強い印象なので、ジャンプが強いのは初心者にとって追い風になるんじゃないかと。

もちろん、ただなんとなく飛べばいいというわけではありません。上手い人ほど飛ぶ間合いや2段ジャンプの使い方などが違いますからね。さらにいえば、飛んでくるのは相手も同じなので諸刃の剣でもあるでしょう。とはいえ、自分のジャンプをひたすら落とされてやられてしまうよりは断然いいと思います。

・重量級投げキャラがいない

『電撃FC』には、身体がでかくて動きが鈍くてコマンド投げをもっている、いわゆる「投げキャラ」がいません。この手のキャラが好きな人には申し訳ないですが、いないものはいないのだから仕方ありません。

こういった投げキャラはゲームのセオリーとは違った戦いかたをしなくてはいけなくなることが多いです。なので、いつもどおりの戦い方をしてしまうと、あっさりやられてしまうことも珍しくありません。ネットでみかけるキャラランクでは下位に位置していても、初心者にとっては大きな壁になりがちです。

しかし、『電撃FC』にはいまのところそういう投げキャラはいません。セオリーの外側にいる初心者キラー的なキャラがいないことは、結構デカイんじゃないかなと思います。あっ、桐乃氏その切り札やめt

『電撃FC』のこのへんがムズかしい

・システムが多くセオリーが把握しにくい

ゲームシステムが多くてもすべてのシステムを使う必要はないでしょう。しかし、多くのシステムが絡み合った結果に生まれるセオリーは理解しておく必要があります。が、独力でそこまでたどり着くのはかなりムズかしいのではないかと。

『電撃FC』におけるセオリーは、「いかにゲージを回すか」というところに焦点があり、「ゲージのためにブラストを吐いて、ブラストのためにゲージを吐く」みたいな流れになっているようです。いわゆる”バースト”的なシステムは「攻撃を食らっている最中に使うもの」というイメージがありますが、本作ではむしろその使い方が不正解に近いのです。

現在ではネット上の情報や動画などから他人のプレイをみてセオリーを学ぶことはできます。なので、ランクマッチをやっていてもほとんどの人が上記のセオリーを知っている動きになれています。ネットで情報をみていなくても、オンラインの対戦相手がやってくるのでそこから学ぶこともできるでしょうけど、こちらはサポートや切り札ほどわかりやすいステップアップではないかなと思います。

・状況判断が大変

操作がカンタンでコンボもカンタンならどこで差がつくのかといえば、コンボ選択でしょうか。このゲーム、コンボはカンタンだけどコンボ選択は本当にムズかしい。

理由は、状況を判断するための情報が多いからです。体力とゲージとブラスト(バースト的なモノ)の3種類だけでも大変ですが、『電撃FC』ではさらにサポートと切り札もあります。普通、コンボ選択といえばコンボ後の状況重視かダメージ重視のどちらかを選ぶ感じですが、これだけ判断材料が多いと状況ごとの最大ダメージを毎回選べる人はそうそういないでしょう。

また、本作ではダウンと奪えるコンボ〆技が大抵ゲージ消費を必要とする点もコンボ選択のムズかしさに拍車をかけているんじゃないかと。ちなみに、このダウンが奪いにくいっていう点は初心者に優しいところではあります。1回転ばされると起き攻めされて立ち上がれずに死亡、ってケースが減りますし。もちろん、上手な人はキッチリゲージを管理してダウンをとってくるわけですけれども。

こういった状況判断によるコンボ選択は『電撃FC』において、やり込みでもっとも差がつくところではないでしょうか。最初のうちはとりあえずダメージ重視のコンボを完走させるところから、慣れてきたら状況重視でダウンを奪う方向にシフトし、倒しきれる状況を見極めて最大を叩き込めるように練習していくことになるでしょうけど、切り札のパワーアップ中はサポートキャンセル無料とか絡むとやっぱかなりムズかしいです。

敷居は低くともハードルは低くない塩梅

『電撃FC』は格ゲー入門用としてさまざまな工夫をこらしつつ、やり込みによる差がつく深さを備えたタイトルになっているのではと思います。何より、対戦が成り立つまでは早い、ってのがいいですね。コンボゲーではコンボができるようになるまで土俵にあがることもできませんし、かといって差し合いゲーだと目に見えないところの力量差がでやすいですし。

そんなわけで『電撃FC』、ボクもしばらく遊んでいこうと思います。家庭用版は発売されたばかりで、ランクマッチを同じくらいの強さで検索しても勝率9割超えの猛者を当たったりする混沌ぶりですが、ボクは元気です。

電撃文庫 FIGHTING CLIMAX
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