【サンセットオーバードライブ】レビュー 動かしているだけで楽しい壮快感に全振りのハチャメチャ押し寄せ系アクション

Xbox One専売タイトル『サンセットオーバードライブ』をクリアし、実績も埋めたのでレビュー。気がついたら50時間以上も遊んでいました。飛んだり跳ねたり滑ったりしながらクリーチャーやギャングどもを爆発四散させて大暴れしてるだけなのですが、それがとにかく楽しくてキモチイイのだから仕方ない。

ボク自身、Xbox Oneを買うキッカケになったのがこの『サンセットオーバードライブ』です。口実ともいいます。なんといってもXbox One専売タイトルですからね。仕方ない仕方ない。

新しいハードを買って1発目に買うタイトルというものは否応なしに記憶に残るものですが、本作もバッチリ脳に焼き付けられました。新世代機のスタートに相応しい派手な花火といえるでしょう。といっても、Xbox One本体は海外発売から1年遅れなので、スタートというにはどうにもアレですが。

公式サイト:Sunset Overdrive

壮快感に全振りのオープンワールドアクション

Sunset Overdrive 壮快感全振りのアクション

『サンセットオーバードライブ』はオープンワールドのアクションゲームです。サンセットシティと呼ばれる街を舞台に、「OD’d」と呼ばれるクリーチャーやギャングやロボットなどと戦う、という内容です。ゲームの進行は、マップ上に設置されたアイコンの場所へ行き、クエストを受けて進めるという、このジャンルならお馴染みの流れになっています。

本作の最大の特徴はアクション。主人公はガードレールや電線の上をグラインドで滑るように高速で移動し、車の上で跳ねてビルの屋上まで飛び上るという、ハイスピードで高機動な超人なのです。自動車を盗んで走り出す必要などありません。スピードもさることながら、道に沿って進む必要すらないわけです。目標地点まで”直進”でまっしぐらです。

このジャンプやグラインドのアクションはかの名作『ジェットセットラジオ』(JSR)を思い出す人も多いでしょう。実際、『JSR』に近いプレイ感を持ち、さらに磨き上げられた感触で『JSR』に対するリスペクトも感じます。さらにこちらは壁を走るウォールランもあり、広い街中を自在に飛び回れるようになっていますね。

さまざまなアクションがカンタンな操作で繰り出せるのも特徴。グラインドできるガードレールや電線などの判定がゆるめに設定されており、ボタンを押すタイミングもゆるゆるなので、適当に操作しているだけでも飛んだり跳ねたりが楽しめるようになっています。

『JSR』と違うのはシューター要素。銃火器を用いて大量のクリーチャーやギャングやロボットと戦うことになります。前述のようにジャンプやグラインドで飛んだり跳ねたりしながらの戦いになるのですが、照準はゆるく設定されており、正確なエイムは必要とされていません。適当に引き金を引いて撃ちまくっていけば、バンバン敵を倒せるようになっています。

グラインドで滑っている様子をみていると『JSR』ですが、ライフルやグレランで敵をドッカンドッカンする様子は『ライオットアクト』を思い出させます。超人的なパワーでビルの屋上から屋上へと飛び移り、銃火器で敵をなぎ倒すところは『ライオットアクト』に近い感触です。そこに『JSR』の移動手段が追加されたような印象。

『サンセットオーバードライブ』のアクションは、移動も戦闘もとにかく壮快感重視で操作にストレスがありません。そして、ほぼすべての要素がゲーム開始直後から使えるため、最初からクライマックスのノリで楽しむことができるわけです。ゲーム的な段取りとか上達感よりも、とにかく気持ちよくなってよ!という意図が伝わってきます。動かしているだけで楽しいとはこういうことだとばかりであります。つまるところ、最初から最後までずっとこの楽しさと気持ちよさが続くのが『サンセットオーバードライブ』なのです。

変な人ばかりでメタネタも飛び出す愉快なストーリー

新作のエナジードリンク「オーバーチャージ」を飲んだ多くの人々がクリーチャー化してしまったサンセットシティ。”見えない壁”で世界と隔離されてしまった街において生き残った人々はというと、日本かぶれのモノノフ集団からRPGを愛するファーガシアの民まで、なんだか変な人ばかり。

変なキャラクターたちが繰り広げるのは愉快なストーリー。命の危険を感じる状況にあっても悲壮感はなくひたすらに愉快。なんかもう助けなくてもいいような気がしますが、彼らとの協力なくしてサンセットシティからの脱出は叶わないのですから仕方ありません。


変な人筆頭のハードコアさん。ハードコァ!

どんなにおかしなことがあっても「ゲームだから」の一言で片付けられるのが本作のステキなところ。ゲームシステムの説明をはじめる天の声に「誰だアンタ」と聞いても「その方が都合がいいんだからいいだろ」で一蹴。街の外には「INVISIBLE WALL」と書かれた見えない壁。(見えるけど) 戦いに挑む仲間へ主人公がかけた言葉は「リスポンできっから心配すんな」であり、本当メタメタ。ドラゴンボールでもとにもどれるから気にすんな並ですが、実際にリスポンできるんだから問題ないですね。ショットガンで爆発四散してるけど問題ないのでしょう、たぶん。

ストーリーのクエストでやっていること自体はお使い的な内容ですが、ネタがあまりにも多く詰め込まれていて退屈しません。ただ、音声吹き替えではなく字幕のみなので、激しいアクションの最中には台詞を拾いきれなかったりするのが残念なところ。

クリア後もボリュームは十分すぎるほど

そんな愉快なストーリーはまっすぐ進めれば10時間程度でクリア。腹八分で終了してしまう印象です。しかし、クリア後もまだまだ遊べるコンテンツが用意してあるのが本作。実績のコンプリートを目指して遊び尽そうとすれば、いつの間にか50時間経過していたりもするわけです。

メインストーリー以外の要素は、サブクエスト、チャレンジ、収集品、キャラカスタマイズ、オンライン、などです。サブクエストはメインと同じように愉快な人と愉快なエピソードが楽しめるというもの。チャレンジは、さまざまな条件でのタイムアタックやスコアアタックなど。収集品はオープンワールドゲームのお約束で、キャラのカスタマイズは装備や衣装からスキルセットまで。そしてオンラインは8人での共闘ができるお祭りモード。

ボリュームのバランスはストーリーとそれ以外で半々という印象ですが、プレイ時間で考えると半々どころかそれ以外の方が圧倒的に長くなりますね。やり込み要素のようなものですから、腹八分のところから満腹になるまでお好みで遊べると考えればよいでしょう。そのための選択肢が豊富というわけです。

ボクはといえば、ストーリークリア後「もう少し遊んでみようかな」くらいの気持ちで遊んでいたら、いつの間にか実績を意識しはじめてしまって50時間も経過しているハメに。実績を埋めようとしたのは久しぶりの気がします。なんというか、埋まりそうだから埋めたくてたまらなくなる感じ。

チャレンジのゴールド判定は達成できそうで達成できない、ちょっと達成できる、くらいのちょうどいい塩梅なので、あれよあれよとハマってしまった印象かも。普段なら見向きもしない収集品も、移動アクションの楽しさとマップに表示されていることから集めてしまった感じ。手が届きそうなところに設定されると手を伸ばしてしまうものなんですよね。そんな実績にオレ様が釣られクマーみたいな。

ただ、これらのやり込み要素については終始楽しめたかといえば、そうでもありません。ゲーム序盤からほぼ全力ですべてのアクションが遊べるが故に、最後までやってることが同じになってしまうのが悲しいところ。また、キャラのカスタマイズが煩雑なのは次回作での改善を期待したいですね。特に通貨が2種類ある必要性はまったく感じませんし。開発中にいろいろな仕様をつけたり外したり改変したりする中で現在の仕様になっているとは思われますが、もうちょい整理できるんじゃないかと。

ちなみに、海外レビューで絶賛されていた本作ですが、いまになって読み返してみると「ストーリークリアしたくらいの1番楽しい時期に書いたんだろうなぁ」と推測してしまいます。裏を返せば、腹八分くらいでクリアになるのが好評を得るカギなのかもしれません。

参考:Choke Point | 『Sunset Overdrive』海外レビュー

8人で大暴れできるオンラインにこそ新世代機を実感

最大8人で一緒に遊べるオンラインモード「カオス自警団」は対戦ではなく協力モード。協力といっても、スコアを競争するような内容になっており、殺伐とはしていないけどワイワイやれる感じですね。オマケくらいの内容ですが、このお祭り感は体験しておく価値アリ。

オンラインの流れは、まずさまざまな条件を達成する5つのミッションをクリアし、最後に「夜警」ミッションをこなす、というもの。前座となる5つのミッションは、規定の敵を倒したり、モノを運んだり守ったりとバリエーション豊富な内容。そしてこれらのミッションで獲得した「カオス度」のパーセンテージにより最後の「夜警」の難易度が上昇していきます。

「夜警」はウェーブ形式で襲い掛かる敵からオブジェクトを防衛するディフェンス系のルールです。出てくる敵の数がハンパではなく、敵の硬さや強さもオフラインの比ではありません。なので、全員が全力を尽くして戦うことになります。オンラインモードの本懐はここにあるといっても過言ではないでしょう。

防衛するルールではあるものの、実際のところは8人による破壊と蹂躙だったりします。すさまじい数で容赦なく襲い来るクリーチャーどもを思う存分叩きのめす内容であり、まさにこのゲームのテンションがマックスになる瞬間。8人によるバカげた火力による戦いは防衛というよりお祭り騒ぎです。ワッショイワッショイ。(といっても、最終エリアの夜警だけは真に防衛ゲームっぽい難易度ですけど)

多数の敵と多人数で戦うため、炎に電撃に爆発にエフェクトだらけでワケがわからなくなるほどですが、それでも大きな処理落ちなどもなく、ラグもさほど感じないのがスゴイところ。『デッドライジング』のような数の敵が『Left 4 Dead』のように元気に走ってくるところを派手に出迎えてやるわけですが、特に問題なく遊べてしまうのは次世代機のパワーを感じずにはいられません。

概ね楽しいオンラインモードですが、あえて言わせてもらうと、実績でカオス度1625%とかいう運ゲーは勘弁してください。みんなで楽しく暴れられるのがオンライン夜警だと印象付けておいた上で、最後のエリアだけは力押しでは防衛しきれない調整になっているのはコンセプトが一貫していないようにすら感じます。エンドコンテンツとして長期間遊ばせるための仕様なのかもしれませんが、気持ちよくクリアして終わりというわけにはいかなかったのでしょうか…。(商売的には)いかないんでしょうね…。

動かしてるだけで楽しいアクションとして貴重な1本

新規タイトルとして惜しいところもありますが、総じてみれば細かいところです。細けぇことはいいんだよ。とにかく飛んで跳ねて滑ってヘアスプレーボムで花火を打ち上げてやればそれでいいんですよ。『サンセットオーバードライブ』はそういう「動かす楽しさ」と「壮快感」を全面に押し出し、カタチにできたタイトルではないかと。

そんなわけで、「あー、なんか気軽にできるアクションゲームないかなー」という人はぜひやってみましょう。えっ、Xbox Oneなんてもっていない? 本体ごと買いましょう。

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