『グランブルーファンタジー: リリンク』をクリアしたのでレビュー。あ、いや、クリアしたというか、クリア後も延々と遊んでしまったというか…。ストーリー自体は15時間くらいで終わらせていたはずなんですけど、究極武器を最終覚醒させるまでやっていたら100時間を超えてしまってました。ついでに全員分の究極武器も手に入れたのですが、「これ終わんないな?」ということに気付き、一旦ここでレビューを書いておこうと思った次第。マジでナンボでも遊べちゃうわこれ。
公式サイト:https://relink.granbluefantasy.jp/
ちなみに、このレビューを書いている時点での使用キャラクターはこんな感じ。どこまでも続いていたダメージ上限との戦いにも終止符が打たれ、あとはⅤ+のジーンにいい感じのスキルがつかないかなーというくらい。精神一到にポーション所持数がついてくれたのはラッキーでしたね。
あと究極武器、本当に全員揃えたぜ!という証拠も。揃えただけなんですけどね。…えっ? ここからすべて最終覚醒まで? はっはっはっ、ご冗談を。
やっとでたぜリリンク
本作はあの「グラブル」を題材にしたアクションRPGです。発表から発売までずいぶん時間がかかっていた印象ですけど、やっと発売されました。経験上、開発に時間がかかりすぎたゲームというものは警戒してしまうのですが、『リリンク』に関しては杞憂でした。凄まじい完成度になっています。
サイゲームスといえば、革新的なアイデアで勝負するメーカーではなく、既存のモノのクオリティをガチガチに盛って勝負をしているメーカーという印象だったのですけど、今回はまさにそんな感じ。クオリティでブン殴る系の極致。ストーリー、アクション、そしてエンドコンテンツ。すべてに渡って行き届いた”質”でブン殴られます。すごいぜ。
リリンクは大体こんな感じのゲーム
まず最初に、アクションRPGとしてどんな感じなのか、ざっと説明しましょう。本作はストーリーを主軸として進めていくタイプで、プレイヤーは操作キャラクターの他に3人の仲間(CPU操作)を連れて冒険します。メインストーリー以外にもクエストカウンターから受注するタイプのクエストが多数あり、こちらはオンライン協力プレイに対応。最大4人による共闘が可能です。
プレイアブルなキャラクターについては公式サイトに記載がありますが、最初から使用可能なのは主人公といつもの面子(カタリナ、ラカム、イオ、オイゲン、ロゼッタ)で、それ以外はゲームを進めることで手に入るチケットで解放していく仕様です。ガチャじゃなくサプチケ方式だぜ、ひゃっほい!また、主人公の性別については本家「グラブル」と同様、ゲーム中にいつでも変更可能となっており、性能の差もありません。見た目の違いのみ、ということですね。
キャラクターごとの性能は大きく異なります。誰を使うかでゲームの印象もかなり変わってくるんじゃないでしょうか。たとえば、ラカムとオイゲンはどちらも銃の使い手ですが、バリバリ撃ちまくれるラカムに対し、オイゲンは単発のライフルを使用し、TPSのように自力で狙いをつけて撃てたりします。ちなみにボクは最初フェリを使用し、ストーリー終了後からはジータをメインに使っていました。
この世界、マジ「グラブル」
ゲームを開始してすぐにわかるのがビジュアルのすごさ。「グラブル」の世界が3Dで形作られているわけですが、これがとにかくすごい。解釈一致の嵐。本家「グラブル」で美しく描かれていた背景の、その先が世界として拡がっているんですよ! そしてそこを走り回れる。すげぇ…ってなります。マジで。
特に最初の街に足を踏み入れたときはマジで感動しました。「本当にグラブルだ…」ってなりましたからね。いやそんなの当たり前じゃんと思われるかもしれませんけど、これは決して当たり前の所業じゃないですから! 建物や樹木、モブおじなどのパーツをただなんとなく並べただけではこうはならないでしょうし。いったいどんな魔法が使われているのやら。
本家を知らなくてもたぶん大丈夫
そんな「グラブル」のアクションRPGになっているわけですが、ストーリーは完全にオリジナルのもの。『リリンク』の舞台はゼーガ・グランデと呼ばれる新たな空域で、新規のストーリーが描かれています。なので、本家のストーリーを知らなくでも大丈夫。世界やキャラクターの設定などについては序盤にざっと説明もありますしね。
一応、本家「グラブル」との繋がりを推測するなら、カタリナがアレスを召喚していたりグランサイファーが瘴流域を越えられる艇だと言われたりしているので、時系列的には第2部は終わってそう? でもその割にはゴブリンに殴られただけで吹っ飛ばされたりするので、”弱くてニューゲーム感”あります。習得したジョブやリミテッド武器はどこへおいてきちゃったんですか団長さん。もしかしてアニメ時空のグラン君みたいにガチャ縛りでここまで来た…? まぁ細けぇことはいいでしょう。
ともあれ、ストーリーは大体いつもの「グラブル」です。まさに王道って感じ。蒼の少女ルリアと彼女をつけ狙うアヴィア教団、仲間たちとさまざまな島を冒険し、星晶獣とバトル…。ああ…「グラブル」っぺぇ…ってなります。いやでも今回はルリアが離脱してる期間も結構あるし、いうほどいつものじゃないかも? とはいえ、”ノリ”は完全にいつものやつです。安心。
セリフが繋ぐストーリー
ストーリーは会話シーンだけでなく豪華なカットシーンを交えて描かれるのですが、それだけではなく、移動中やバトル中にもガンガン展開していきます。走っていても戦っていてもキャラクターたちがしゃべるしゃべる。どんだけセリフの量あんの!?ってくらいしゃべりまくります。これによってカットシーンとアクションシーンがシームレスに繋がっているかのような感覚を味わえます。ここは物量で圧倒してる感じがしますね。
盛り上げポイントモリモリバトル
本作をプレイしていると特に感じるのは演出の強さ。バトル中にいくつも”盛り上げポイント”があり、プレイヤーのテンションを上げてくれます。たとえばチェインバースト。味方と奥義を繋いでいくと発生する強力な攻撃で本家「グラブル」にもあるやつですけど、『リリンク』だとキャラクターが声を揃えて叫ぶんですよ。「煌めけ!!アセンション!!!」みたいに。これがマジでカッコイイしテンション上がるんです。
それから「リンクタイム」も。敵を攻撃することでスタンゲージ(青いゲージ)が溜まっていき、マックスになると強力な「リンクアタック」が発動できます。ボタンを押すだけですっ飛んでいって大ダメージを与えられるので超強力。さらにリンクアタックやその他もろもろの行動によって上昇する「リンクカウンター」が100%なると、次に全員でリンクアタックをしたときに「リンクタイム」が発動。敵がスローになるわアビリティのクールタイムが大幅短縮されるわのフルボッコタイムが始まります。これもテンション爆上がりですね。
他にも敵のオーバードライブ状態が解除されるブレイクなど、盛り上がりポイントがいろいろ用意されているんですよね。どれも派手で格好良く見せてくれるのでテンションも上がります。やっぱ演出って大事やなって思いますね。にしても、こうして見ると、チェインバーストにせよリンクアタックにせよ、盛り上がるポイントは「共闘が成功したとき」になっている感じでしょうか。しかもその共闘の成功はシンプルで簡単、かつバトル中に必ず訪れるんですよね。上手いこと調整されてるなぁ。
アクションはマジで快適
こういった派手な演出とは裏腹に、アクションの基本はかなりオーソドックス。2種類の攻撃ボタンとジャンプ、ガード、回避が基本なので、3Dアクションとしては意外なほどフツー。ただ、遊びやすさという点ですさまじく上手に作られています。
たとえばカメラ視点。移動中は近めの視点ですがバトルが始まると引いたアングルになります。と、ここまでは他のゲームでもよく見るやつですけど、本作では場合によってはめちゃくちゃ引きます。そんなに引いていいんかい!ってくらい引いてくれます。でもおかげで見やすいし状況を把握しやすいんですよね。
それから敵の攻撃のわかりやすさ。攻撃の予兆がこれでもかというくらいわかりやすくなっているので、攻撃のチャンスと回避に徹する場面が明確です。たとえば本家でもお馴染みのオーバードライブ状態。もうこれでもかというくらいビカビカとオーラを発してくれるのでわかやすいったらないですし、一旦ノーダメージの衝撃波でこちらを吹っ飛ばすことで「さぁここから敵のターンですよ」と告げてくれもする。なんという親切設計。
他にも攻撃の予兆が地面に赤く表示されたりするのはこの手のゲームではお馴染みですが、本作では二重の円により攻撃の範囲とタイミングの両方がわかるのもありがたいですね。
他にもいろんな工夫がなされているとは思うのですが、個人的に特にありがたかったのは上述の点。単に派手なだけでなく、ストレスなく遊べるように作られているところもクオリティの高さを感じます。マジで隙がないぜ、このゲーム。
特盛りエンドコンテンツ
こんな感じであらゆる面でハイクオリティな本作ですが、もっとも恐るべきはエンドコンテンツ。冒頭にも書いたとおり、ストーリーそのものは15~20時間くらいで終わるのですが、そこから先がまだまだある感じ。オンラインでクエストを周回しつつキャラクターをひたすら強化していくわけですけど、このあたりの作りも凄まじく上手なんですよね。
まずエンドコンテンツへの誘い方が上手。最初はストーリーの後日談的なエピソードを導線として引っ張るんですよ。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ストーリーはいわばノーマルエンドっぽく終わり、そこからさらにトゥルーエンドを目指せそうな誘導がされるんですよね。となると、やるしかねぇ、ってなるわけですよ。
それで誘導されるのがクエストカウンターから受けるタイプのクエスト群です。元々こういったクエスト自体はメインストーリーと並行してプレイすることになるのですが、クリア後はこっちがメインになる感じ。
クエストはCPUの仲間を引き連れて1人で挑むこともできますが、オンラインで他プレイヤーと協力した方が圧倒的に楽。なので、ここからはオンラインがメインになってきます。本作のオンラインはスタンプや定型文によるコミュニケーションはあるものの、基本無言でいいし(デフォルトで設定されてる自動メッセージはあるけど)、終わったら即解散なので気楽にやれます。
ちなみにオンラインの環境ですが、マッチング時にちょくちょくエラーが出るケースがあるものの、概ね良好です。(Steam版) また、ひとたびマッチングしてクエストが始まってしまうと、まったくラグを感じないような、快適なプレイができています。この手のゲームにありがちな、同期がズレてワープしているような人や敵も見かけませんし、マジで快適。一体どんな魔法が使われているのでしょうか。ともあれ最高です。
で、クエストをこなすことで後日談のストーリーも進むわけですが、それが終わってもまだまだ続くんですよ。そこから高難度クエストがジャンジャカ追加されていくからです。どこまで続くんだこれは…ってくらいあります。最後の方がガチでムズかしいやつもあるので、歯ごたえも十分。よくあるパターンとして、強いボスと強いボスが同時に出てくるやつ。そりゃムズいよね、ってなります。でもここまで来たら止まるわけにはいかねえ、ってなるんですよねぇ。もう世界とか仲間とかどうでもいい、目の前の強敵に勝ちたい…!
騎空士ならば限界を突破せよ
となると、人は強さを求めるようになります。もっと強くなって強敵どもをブッ飛ばしたい…サクサク周回したい…! 本作、そういった願いに応えるための懐もめちゃくちゃ深くなっております。実のところ、ここがもっとも「グラブル」を感じるところかもしれません。
キャラクターの強化の基本はレベルとスキルツリー的なやつです。これらは普通にプレイしていれば自然と上がっていくのですけど、エンドコンテンツで主役になるのは武器と「ジーン」です。武器はそれ自体にレベルがあるタイプで、素材を集めてさらに上限を突破していく、といったやつです。特定の武器についてはこの上限がたっぷりあるため、楽しい素材集めが始まります。マグナアニマ…銀天の輝き…あぁ、やっぱ「グラブル」だこれ!ってなります。
それから「ジーン」ですが、こちらはアクセサリ的なものと言えばいいのでしょうか。ステータス上昇や各種の能力強化のついたアイテムですね。1つ1つの効果は大きくありませんが、複数装備することで(最大12個)効果が重なって段違いに強くなれる、といったものです。本家「グラブル」でいうと武器についていたスキルに当たるものですね、あれが独立してる感じ。ジーン1つ1つにもレベルがあり、素材を使って強化が可能。ということで、こちらも楽しい素材集めです。いっぱい銀天集めようねぇ、うんうん。
こういったキャラクターの強化について上手に作られてるなと感じるのは、短期的ゴールと長期的ゴールを自然と意識させるような作りですね。短期的ゴールとはすなわち、武器なら次の上限突破、ジーンなら次のレベルといったところで、長期的ゴールは武器なら最終段階まで解放すること、ジーンなら12個揃えて理想のビルドを作り上げることになるでしょう。ゴールがあまりに遠いとやる気を失ってしまいますけど、常に短期的ゴールが目の前にあるので、モチベーションを維持しやすいんですよね。「とりあえずこのジーンのレベルを上げて…」とかやってるうちにずぶずぶハマってる。まったくよくできた沼だぜ、ここは。
さらに言うと、この沼って底がないんですよ。というのも、ランダムにジーンを生み出す「ジーン錬成」やランダムな素材やジーンの出る「遺物」の鑑定、そしてキャラクターにランダムな強化をつける「限界突破」などが最終的な”伸びしろ”として用意されているからです。どれもこれもランダムだからどこかで妥協しないとゴールできないんですよね。長期的ゴールがわかりやすいと書いておきながらなんですけど、最後の最後はガチャだぜ! あぁ、お空の世界は厳しい。
こんな感じでナンボでも遊べるわけですが、難点を申すなら、キャラクター1人を仕上げるだけで大変なので、複数のキャラクターを育成するのはちょっとしんどすぎるのでは、ってことでしょうか。あの武器の強化をもう1度…?みたいになりますからね。とはいえ、魅力的なキャラクターが多くてあいつもこいつも育ててみたくなるからこその悩みではあります。それこそオンラインで他の人が使ってるのを見ると自分もやりたくなりますからね。隣の芝が多すぎる。仕上げるまでの過程をまた楽しめるぞい、と考えればいいだけのことかもしれません。
おいでよ!お空の沼
そんなわけで『グラブルリリンク』、すごいゲームです。本家「グラブル」ファンはもちろん、アクションゲームが好きなすべての人にオススメしたい1本となっております。普通にストーリーを楽しむだけでも十分すぎるほど元は取れますし、そこまで遊んだのならきっとエンドコンテンツも楽しめることでしょう。あとは快適で楽しい沼にずぶずぶとハマっていくだけです。楽しいぞ。いやほんとマジで。
Amazon:GRANBLUE FANTASY: Relink(PS5・PS4)