最近はどこもかしこもゾンビゾンビで怖くもなんともなくなってしまった。もっと怖さを感じたい人には「DEFCON」をオススメしたい。怖さの方向性は全然違うけれど、こんなに怖いと思えるゲームはなかなかないはず。
「DEFCON」とは、戦争への準備態勢を5段階に分けたアメリカ国防総省の規定のこと。平時はDEFCON5、数字が下がるにつれて危機的な状態を示す。DEFCON1では核兵器の使用が許可されるともいわれている。
今回紹介するゲーム「DEFCON」は、核戦争をテーマにした極めて不謹慎なゲームであるともいえる。とはいえ、映画のように格好いい軍隊も出てこなければ迫力のある映像もない。あるのは、記号的に表示された世界とユニット、そして重苦しい空気だけだ。
静かで重厚なアンビエントをBGMに核ミサイルが飛び交い、淡々と人が死んでいく世界は背筋が凍るほど恐ろしい。核兵器の着弾地点でも、「2.2M DEAD」といったシンプルな表示がされるだけで、それ以上も以下もない。記号的なグラフィックで詳細な描写が、かえって想像力を刺激するのだ。
降り注ぐ核の下で生き残った人は何を見ているのか、前線でたった1機生き残った爆撃機のパイロットは何を思うのか、ボロボロになった世界の中、それでもまだ核ミサイルを発射する潜水艦の中では何が起こっているのか。淡々と進む戦争の中、そんなことを想像せずにはいられない。どんな化け物より恐ろしいのは人間であるということを嫌というほど感じさせてくれる。
ゲームの内容はRTSで、最大6人まで対戦が可能となっている。各陣営ごとにユニットを操作して勝利を目指すわけだが、最大の特長はDEFCONの存在。ゲーム開始時はDEFCON5なのだが、時間とともにレベルが上がっていく。危機的状況になれば、ユニットに下せる指示もより攻撃的なものとなっていく。DEFCON2までは小競り合いが繰り広げられる感じだ。
また、「ROLLING DEMO」が用意されているので、ゲームをせずに眺めていることもできる。なにかと忙しいRTSだが、世界観をじっくり見てみたい方はこちらがオススメ。
DEFCON1が発動されると、核兵器の使用が可能となる。当たり前だが破壊力は絶大だ。
DEFCON1発動とともに発射された核兵器が降り注ぐ。死亡した人数はケタ違いの多さだが、表示そのものはシンプルで淡々としている。
核ミサイルの軌道はときに美しくもみえる。しかし、その下には恐怖しかない。
DEFCON1発動からしばらくすると、各陣営とも一気に戦力を奪われ、戦闘も散発的なものになる。やがて残り時間が表示され、制限時間到達時のスコアにより勝利が決まる。
都市にカーソルを合わせると、生存者と死亡者の数を見ることができる。終わり際は世界中のどの都市も、死亡者数の方が圧倒的に多い状況となっており、ゾッとする。
「DEFCON」はPC用ゲームだけど、Mac用とLinux用も用意されている。体験版もあるので、興味がある方は1度試してみてはいかがでしょうか。