劇場版ペルソナ3の第2章「Midsummer Knight’s Dream」を観てきたので感想とか(※ネタバレあり)

劇場版ペルソナ3の第2章『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream』を観てきたので感想など。サブタイトルどおり、本編の夏ごろのストーリーを追う内容になっており、クオリティは前回よりも上がっている印象。本記事はネタバレを含むので見たくない人は見ないようにお願いします。

劇場版「ペルソナ3」 公式サイト

6月7日から公開された『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream』を観てきました。公開2日目の日曜日ということで劇場はほぼ満席。前回よりも人が増えてるような印象でした。男女比はざっと半々といったところで、さすがの女性人気の高さ。

上の画像は来場者特典の色紙とスーパーP3シール。色紙のサイズは小さめですが、しっかりと色紙です。シールは3枚入りで、全30種類のうち週間で10種類ずつ中身が変更されていく仕組みです。これは前回と同じですね。

アトラス製RPGが大好きでペルソナシリーズも大好きなボクは当然「P3」もプレイ済み。そんな人間の感想です。上映前に「ネタバレ厳禁」と釘を刺されていますが、本記事はネタバレを含みます。メギドラオン覚悟の行為です。ネタバレを見たくない人は即座にブラウザを閉じていただきますようお願いいたします。映画を観てから戻ってきていただけると幸い。

※以下ネタバレを含みます。注意。

映画『PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Dream』予告編 – YouTube

P3本編の7月から10月までを圧縮した第2章

前回の第1章は「Spring of Birth」というサブタイトルで4月から6月あたりまでを収録していましたが、今回の第2章は「Midsummer Knight’s Dream」、7月から10月の上旬あたりまでが入っていました。夏なのに10月?と思いましたが、最近の日本は10月に入っても半袖で過ごせるくらいですからね。夏です夏。たぶん。

「P4」のアニメとは違い、劇場版「P3」ではサブキャラクターとのコミュイベントは触れず、メインストーリーのみで進行していますね。さすがにそこまでやっている尺がないのでしょう。というか、それでも急ぎ足に感じてしまいそうになるほどの圧縮度です。なので、非常に密度の高い90分になっていますね。

具体的には、ラブホイベント、屋久島旅行、ストレガ登場と妨害、天田コロマル荒垣参戦、クラブの電気系ボス、夏祭り、ルーレットのボス、そして天田と荒垣のあのイベント、というところまで。キービジュアルはアイギス推しで夏らしい屋久島イベントがイメージされている感じでしたが、前半はアイギスメイン、後半は天田と荒垣メイン、といった構成ですね。夏編でそこまで進めちゃうんだ、と思ったのですが、おそらくあと2回(秋編、冬編)で完結させるにはそのくらいのペースが要るのかも。

朗らかなムードに少し影を落とすアイギス編

いきなり例のラブホシーンからはじまるわけですが、ボス・ラヴァーズとのバトルにスタッフクレジットをのせて進むプロローグは非常にカッコイイ。前回はナビ役だったのでバトルシーンがなかった美鶴は特に気合い入れてカッコよく描かれていた印象ですね。

ラヴァーズの影響でゆかりにビンタをもらう主人公や、屋久島でナンパ大作戦を展開する男性陣など、前半はやわらかく明るいムード。「P3」ってどうしても仲間同士のギスギス展開が印象深いので、こういった明るい展開はホッとしてしまいますね。

屋久島イベントから登場するアイギスは第2章のキービジュアルとして推されているとおり、ここからしばらく大活躍。最初の戦闘でもチャリオッツ+ジャスティス戦でも派手なバトルシーンを見せてくれます。やっぱ機械なので人間離れした動きをさせても問題ない、ってのがデカイのでしょう。

バトルだけでなく、日常シーンでも好待遇な印象。初期のアイギスの「~であります」口調とか、「なるほどなー」とか、キービジュアルにつられてアイギス目当てて観に行った人は大満足なのではないでしょうか。

とはいえ、そんなアイギスの活躍もオルギアモードのオーバーヒートと共に終了。物語のメインはカストールを引き連れて助けに現れた荒垣先輩へバトンタッチされ、後半戦に突入するわけです。サブタイトルのKnightがやってきたって感じですね。

全体的に明るい空気の前半ですが、ストレガの暗躍とか、彼らと裏で取引している荒垣とか、ほんの少しずつ影を落とすシーンが挿入されていて、先の展開に不安を感じさせてくれるのですよね。特に、シャドウとの戦いに明け暮れる生活に充実感を見出した主人公が、影時間やタルタロスを消滅させるという戦いの目的に疑問を感じ、迷いはじめるわけですから、本当に不安。

この主人公の心の動きはゲーム本編ではあまり描かれていなかった部分だと思います。これはプレイヤーではなく「結城理」としての描写であり、今後全編に渡ってテーマになってくる部分なのでしょう。死をも恐れないほど空っぽだった結城理が、充実した時間を手に入れ、大切な仲間と結ばれることで、生を実感し、死を恐れるようになる。そうなったときに運命の選択が訪れる、という流れになってきそうですね。

天田と荒垣がメインの後半戦で一気に曇らせ展開

屋久島旅行の裏側で、影時間の最中に荒垣先輩に助けられる天田、という、ちょっと記憶にない展開。さらにここから天田が荒垣に懐くというもっと記憶にない展開に。正直自分の記憶にも自信がないのですが、ゲーム本編で天田が荒垣に懐く展開とかありましたっけ…。最初から殺すつもりで加入してきていたような…。

命の恩人である荒垣先輩を慕ってモジモジしながら夏祭りに誘う天田とか、もうなんだかよくわからない絵面だったわけですが、ゲーム本編をプレイ済みの人間からすれば、この2人の間柄を知っているので、この後めっちゃ突き落とされるのだろうとワクワク、いやビクビクしながら見ることになります。夏祭りで花火を見ながら母親との思い出を聞かされる荒垣先輩とかマジ白目だったはず。

で、予想通り天田君が荒垣先輩の過去に気付いちゃうわけですよ。一見すると明るいシーンだったのに、裏に潜んでいた影が全部ひっくり返って出てくる瞬間なわけで、キター!って感じですよ。身内でギスギスしやすいP3メンバーの中でも本気の殺意をむき出しにするのはここくらいなので、P3屈指の印象深いシーンなんですよね。

PVでもわかると思いますが、荒垣に殺意を向ける天田役の緒方さんの演技は迫真すぎてマジすごい。荒垣先輩が逝った後、地面を殴りながらむせび泣くところなど、劇場内から息をする音すら消えるほど。ゲーム経験者ならこの結末は知っていたわけですが、これだけの熱演を見せられると圧倒されます。

という感じで第2章は荒垣先輩のお葬式シーンで幕。順平が他の生徒に怒りを露わにするシーンはあったのに、真田の授業サボってラーメン食ってきた下りが入る前に終わっちゃったので「あれっ?」という印象。次回の第3章の冒頭であのシーンをやられると、その後スクリーンが曇って見えなくなっちゃうかもしれないのですが…。

そういえば、「ペルソナQ」でのP3組は荒垣を含むフルメンバー状態なのですよね。全員が揃っている時期は9月から10月頭までの1ヵ月程度、ちょうどこの映画の時期ってことになります。台風が来た日に物語が始まっているので、9月17日から18日なんですけども。天田と荒垣の絡みが少ないような気がしないでもないのですが、母の墓前で覚悟完了した後じゃしょうがないですね。

コロマルさんのマスコット化が激しい

PVにも登場し、カッコよくケルベロスを召喚していたコロマルさんも今回からの参戦。ボクの大好きなキャラクターでゲーム本編でもかなりお世話になりました。なのですが、カッコイイ見せ場はほとんどなく、犬としてかわいらしさを振りまくマスコット的なポジションになっていました。ゲームでやや大きな犬といった印象だったのですが、映画では普通の柴犬サイズでモフモフ感もアップ。こちゃかわいい。

ゲーム本編では単独で神社を守ってシャドウと戦っていたところをパトロール中の真田に助けられた、という展開だったと思うのですが、映画では主人公と天田に助けられる展開に変更。なので、たった1匹で巨大なシャドウに立ち向かうコロマルさんの勇姿が初めて映像化です。あふれる男気に涙せよ。

また、ゲームでは重傷のために病院送りになっていたコロマルさんですが、映画では軽傷のようで、寮で手当てを受けて即戦線に復帰するため、タフネスも上がっているのでしょうか。もしかしたらゲーム版では真田がタルンダとかしている間に余計なダメージを食らっていたのかもしれません。

こうしてゲーム版よりもほんの少し早めに加入してくるコロマルさんですが、ここから活躍するシーンがほとんどありません。PVで流れているケルベロス召喚のシーンは訓練と称したザコ戦で、その後のボス戦ではガス吸って痺れてるだけだったり、爆風で順平のついでに吹っ飛ばされて寝ていたりと、いいとこナシ。

ゲームではあんなに頼りになったコロマルさんですが、映画では登場回からチャオズ扱い。涙を禁じえません。天田にエサをもらったり、荒垣先輩にモフられたりと、かわいらしさは全開のコロマルさんですが、それってもうタダの犬なのでは…。

この後ゲーム本編でも大きなイベントなどはなく、覚醒イベントもないコロマルさんですから、登場回の今回を逃してしまうと活躍の場がなさそうで心配です。本編をこれだけ圧縮して駆け足で進んでいるのだからなおさら。といっても、ゲームで目立ったシーンもないのだから、特に見せ場がなくてもそれはそれで原作通りなのかも。

全体的なクオリティは前作以上

前回よりも楽しめた、というのが第2章の感想です。特にバトルシーンが改善されているように感じました。というのも、前回ラストのバトルシーンは何回も追い込まれて何回も立ち上がるような展開で、ややしつこく感じてしまったのですが、今回はピンチと打開のメリハリが利いていた印象。

ただ、前述のコロマルさんがすでにチャオズ化しそうな件と同じく、キャラクターが多いのでフルメンバーで描かれるバトルシーンは大変そう。ゲームと違って全員で行動しているのでバトルにも全員が参戦するわけですが、全員に見せ場を与えているとダレるでしょうし、だからといって端っこで早々に転がってしまうのも悲しい。次回以降はこの辺がポイントになるんじゃないでしょうか。

次回の第3章は秋編「Falling Down」ということですが、どのへんまで進むのでしょうか。そういえば荒垣の葬式に遅れてやってくる真田のイベントって確か真田の覚醒イベントなんですよね。あのシーンを敢えて今回から外したということは、第3章は全員の覚醒イベントをやる感じなのかもしれません。となると、アイギスが覚醒する年末あたりまでやって、運命の選択あたりで幕、って流れかも。わかりませんけど。

最後に、「P3」はゲームでやってるから映画館に行く前にネタバレ見ても平気、と思っているアナタ。「ペルソナQ」をプレイ中であれば、劇場で公開中に映画館へ行きましょう。冒頭の館内マナー説明が「ペルソナQ」をやっていればニヤニヤしっぱなしの内容になっています。映画館のマナーの注意なので、後々販売されるディスク版には収録されないかもしれませんよ。一見の価値アリなのでぜひ劇場で観ておきましょう。

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