『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』感想 退職した人を無理やり連れ戻して働かせちゃダメ絶対

ようやっと『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』観てきました。本作は「スター・ウォーズ」のスピンオフですが、時系列はEP3とEP4の間で新旧三部作を繋ぐエピソードとなっており、実質EP3.5…いやEP3.9くらいの内容となっています。中間というかEP4の前日譚というのが正しいかも。端的に言えば、EP4冒頭でレイア姫の手にしていたデス・スターの設計図が彼女の手に届くまでを描いた作品です。ジェダイの活躍する時代ではなくフォースもライトセーバーもほぼ出番がないのですが、それでもめちゃおもしろい作品になっております。

既存作品の間の時代を埋める物語ということは、最初から結末が決まっているということでもあります。「ガンダム」で言えば、1stとZの間である「0083」の立ち位置。奇しくも主人公の愛称が「スターダスト」なんですけれども、別に玉砕覚悟で星の屑を見せようってわけではなく、むしろデス・スターを宇宙の藻屑に変えるキーパーソンであります。そういや前年のEP7に続いて女性主人公ですね。なんにせよ、設定の雁字搦めのなかで窮屈な物語づくりになったのでしょうけれども、それを見事にカタチにしてみせてくれたんじゃないでしょうか。

ライトセーバーがなければカンフーすればいいじゃない

ジェダイがいない時代だからフォースの力もライトセーバーもない。だったらカンフーすればいいじゃない、とばかりにドニー・イェンが棒切れ1本でストームトルーパーを薙ぎ倒していく姿はめちゃカッコイイ。終盤のブラスターが激しく飛び交う戦場ではさすがにカンフーは許されなかったようで、まるで戦争映画のような…というよりアクション映画における特殊部隊(=ぷち強いやられ役)による泥臭い地上戦へ変貌していくわけですが、だったら空戦すればいいじゃない、とばかりに大量のX-WINGとTIE-Figtherが投入された大空中戦が繰り広げられる。おかげで地味な印象はまったくないです。

あと、ジェダイがいなくてもロボはOK。EP7のBB-8に続き、今回もK-2SOという魅力的なロボキャラが登場します。全体的にシリアスで緊張感のあるシーンが続くので、彼の存在は一服の清涼剤。何度もクスリとさせられました。

中間管理職はつらいよ

にしても今回の話、帝国サイドから見るとなんともやるせない。クレニック長官って、デス・スターの開発を嫌がって退職した技術者を無理やり職場に復帰させたらプロダクトに秘密裏に罠を仕掛けられた挙句、敵対組織に情報漏洩されてるんですよね。嫌々働かせるのはよくないですね本当に。

この後、盗まれた設計図を取り返すためにベイダー卿が動くことになるんですけど、これって上司として部下のケツを拭いてるわけですよねぇ。ミスした部下を切り捨てるのではなく「ちゃんと最後までやり遂げなさいよ」って方針が裏目に出たわけだから仕方ないんですけれども。中間管理職ってつらい。でも帝国って「恐怖で支配する」ってのがコンセプトですから、クレニック長官としては社訓に従っただけで彼自身の責任でもない気がする。組織の運営において恐怖政治はダメっすね。

レイア姫もいるよ! いるよ…

最後にデススター設計図がレイア姫の手に渡り、希望の未来へレディゴー!ってなわけですが、ちょうどキャリー・フィッシャーの訃報を耳にした後だったので、なんだかしんみりしてしまいました。ここからジャバを絞め殺すために大冒険が始まるというのに…。すでにEP8の撮影は終えていたそうですが、その先はどうなることやら。ただ、『ローグ・ワン』においてもすでに故人がCG処理で登場したりしているので、レイアはこれからも「スター・ウォーズ」の中で生き続けるのかもしれません。なんか湿っぽくなってしまいましたが、前年のEP7に続き『ローグ・ワン』も大当たりなのでぜひ観ましょう。

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