劇場版【ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉】感想 ※ネタバレあり

新時代の扉、開いてきました。いやぁ~大変うまぴょいでしたね。そもそも前作(といって差支えないはず)の『Road to the Top』の時点で「ほぼ劇場版じゃん?」と思っていたのですが、こっちは本当の劇場版。アレを越えるものがお出しされてくるとは…。もちろん、スクリーン&大音響という特大バフを受けているわけではありますけれども、それでもこれまでの映像作品の中で最高峰のものになっていることは間違いないでしょう。これはマジで最強、掴んでます。

※以下、ネタバレありの感想になります。気になってるけどまだ観られてない人、こんなもの読んでないで劇場へGO! 観てきた人、一緒に楽しもうぜ!

公式サイト:劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』 公式サイト

ポッケとタキオン、そしてフジキセキ

今回はジャングルポケットを主役において2001年クラシック戦線を題材にしたストーリーになるということで、ライバルとしてアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、そしてダンツフレームがピックされている…と思っていたのですが、フタを開けてみたらポッケとタキオン、そしてフジキセキの物語だった、という印象です。

特に個人的に印象的だったのはフジキセキ。これまでのアニメやゲームにおける彼女は女の子にモテる王子様タイプで、格好良くてやさしい先輩キャラって印象だったんですよね。それが今回の劇場版では、望んだレースに出走できなかった過去を引きずっている姿が描かれていて、キャラクターとしての深みがガツンを増したように感じました。こんな完璧そうに見える先輩にもおつらい過去があるんだな、と。タナベトレーナーの話を影でこっそり聞いてるフジキセキが座り込んじゃう描写、胸がキュッと締め付けられるようで…とてもつらい。すごくいいシーンですよね。

史実におけるフジキセキはジャングルポケットと「騎手・調教師・担当厩務員・馬主がすべて同じ」だそうで、そこがウマ娘においてはポッケの憧れる先輩となり、同じトレーナーの下で鍛えられることになっているのでしょう。ここまではなるほどそりゃそうよね、くらいなんですけど、ここからさらにタキオンと結びつけてくるんですよね。圧倒的な実力があり将来を期待されながら早期にリタイアすることになってしまった、という共通点で。そうきたかァァァ~~!ってなりました。

叶わなかった「夢」を引きずる人たち

ウマ娘って「夢」を軸にしてくる話が多いと思ってるんですけど、そういう意味ではタキオンにフジキセキ、それにタナベトレーナーも含めて「叶えられなかった夢を引きずってる人たち」だと思うんですよね。それをポッケが救っていく物語なのだと解釈してます。だからポッケ、タキオン、フジキセキのお話だったという印象になりました。主役のポッケはともかく、タキオンやフジキセキの「過去の引きずり方」というか、その見せ方というか、そのへんすごくいいですよね。

たとえば、フジキセキが自分のエゴだと理解しながらもポッケに日本ダービー制覇を託すシーンとか、本当にポッケが勝利してタナベトレーナーと顔を見合わせて固まっちゃうシーンとか。いいよね…。単にポッケに背負わせるだけでなく、苦悩していることを察して手を差し伸べてくれるんだから先輩キャラとしても相変わらずパーフェクト。やっぱすげぇぜ…フジ先輩。

タキオンが強烈すぎる

一方アグネスタキオンなんですが、ポッケや観客に対して強烈な印象を残した、ということが映像としても強烈に描かれているので、視聴者に対してもインパクトが強烈。皐月賞のシーンなんて音楽…というか音がもう、なんというか壊れそうなトーンで鳴ってて。引退会見のくだりなんてもう黒に赤のライティングでホラーみたいになってるし。やりすぎ!ってくらいでしたが、でもそのくらい異質な存在なんだろうなぁタキオンは。

そんなタキオンも後半には後ろ髪惹かれる思いで観客席からレースを見るようになっていて…、そのあたりの描写もすごくよかったですよね。ただ、タキオンを再びレースに連れ戻すのがポッケになっているので、カフェは割を食っちゃったかなぁとも思ってます。ゲームのカフェの育成シナリオだとカフェがその役割でしたからね。とはいえ今回はポッケの話ですから致し方なしかも。ポッケの育成シナリオも楽しみですねぇ。(お迎えできなきゃ楽しめないんだけども)

あしたのために…?

あとタナベトレーナーね、なんですかあの家。橋の下のボロ屋。「あしたのジョー」か何かで?…と思ったんですけど、劇場版ウマ娘、マジで「あしたのジョー」なのかもしれません。ポッケがフリースタイル出身設定とかさ、公式なレースにきたらタキオン(力石)にわからされるところとかさ。…いやでもタキオンは死なないし、その幻影に苦しむポッケと走って復活させたフジキセキがカーロス・リベラかと言われたら怪しいし、オペラオー(ホセ・メンドーサ)には勝つし真っ白の燃え尽きたりもしませんけど! 燃え尽きるどころかライバルのハートに火を点けまくる話だもんなぁ。でもあんな家を出してくるんだから間違いなく意識はしてますよね。

あなたの担当ウマ娘はいましたか?

最後に。とにかく全編に渡って情報量が多く、画面のあっちこっちにいろんなキャラクターが登場していたので、桐生院トレーナー久々に見た気がする!とか、アニメーターにスィーピー推しでもおるんか?とか、いろいろ楽しめたわけですけれども、みなさんは自身の担当ウマ娘、見つけられましたか? ボクは見つけられました。ゼンノロブロイっていうんですけどね、同期のネオユニヴァースと一緒に電車に乗ってて、斜め後ろからのカメラアングルだから彼女のかわいい特徴がほとんど見えなくなっちゃってたとはいえ、やっぱあのかわいさは隠せないというか、見つけたときは危うくガッツポーズしそうになりましたね、ええ。ついに銀幕デビューかぁ…大きくなったなぁ…。

▲あっ、ワタクシこういう者でして… あっハイ……よろしくお願いいたします

そんなわけで劇場版ウマ娘、めちゃくちゃ楽しめたのでもう1回観に行こうかどうか迷ってるくらいなんですけども、2時間トイレに行けないのは大変つらく、開けてはいけない扉を開けちゃいそうになるレベルだったので、早いところおうちで見られるようにならないかなーと願うばかりであります。