ボス戦なのにクリフトがザラキ連発して困った、というのは誰もが経験したことだろう。そんなとき、なんてバカなやろうだ!って感じてしまったものです。
ドラクエ4のAIをどうしてバカだと感じるのだろうか?
それは「自分の思ったとおりに動いてくれないから」だ。
AIはAIの考えで動いているので、プレイヤーが何を考えていようともおかまいなしに自分の考えで動いている。
「ここは次のターンに向けて回復で安定っしょ」
「攻撃1発当てて少しでもダメージ削っとくべきだろう」
なんてことをプレイヤーは考えているのだが、AIの選択はザラキだったりメダパニだったりする。なので、「おれの言うとおりにしていれば…」と考えてしまい、「このAIマジつかえねー」となるわけだ。
でも、ちょっと待ってほしい。
「自分の考えに従わないから無能」だなんて言っちゃっていいのだろうか?
ここで発想の転換。「AIはどうしていうことを聞かないのか?」ではなく、「AIは何を考えているのか?」と考えてみてほしいのです。
AIの考えを知ることで人の行動が変わる
AIはAIの考えがあって動いているわけだから、AIが考えていることを理解しなくちゃいけない。頭ごなしに能無し呼ばわりするのではなく、彼らの行動に注目し、分析を試みるわけだ。
実は、こうしてAIの行動パターンに注目していると、彼らの行動パターンがなんとなく掴めてきます。そうすると、AIの次の行動をなんとなく予想できるようになってくるわけです。「どーせザラキを撃つんだろう?じゃあおれは回復に回るか」って感じで、プレイヤーの行動が、AIの行動を予測した上での選択に変わってくるわけです。
これまでは、届かない心の声で、あーしろこーしろと命令していたけど、そんな声はAIには聞こえないわけです。なので、こちらから歩み寄ることに転換することで、結果、連携が生まれているわけです。
こうしてみると、思い通りに動かないもどかしさが、AIを罵倒するという結果に繋がっていたのですが、よくよく考えてみれば、他人なんてものは思い通りに動くはずがありません。でも、その他人をよく見ること、気遣うことで、他者との連携が深まります。そして、その連携は、組織としてのチカラ、強さになります。
人間として生きていれば当たり前のことなんだけど、ついつい忘れがちなことを、ドラクエ4は教えてくれていたんじゃないか、なんていうと、買い被りすぎなんでしょうか。
ちなみに。
ファミコン版ドラクエ4のAIは、そのターンの間にバトルを終了させよう、という考えを優先して動いているように感じます。だから、1発攻撃を加えて少しでもダメージを削るのではなく、ザラキを唱えているんじゃないかな、と。あと、回復については、食らったターンのうちから回復呪文を使ってくれるので、人間よりも優秀な一面もあります。