P4Uは格ゲー初心者にフレンドリーだったのか

元RPGなので格ゲー初心者の参入が見込まれる、ということで、初心者向けのサービスに力が入れられていた印象の強いP4U(ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ)。 初心者にどうフレンドリーだったのだろうか?

結論からいうと、P4Uは初心者に対してフレンドリーだったと思えます。しかしこれは、「初心者でも勝てる」という意味ではありません初心者でも土俵に上がることができる、という意味で大変フレンドリーだったといえます。

初心者を考慮した操作系、でも中身は本格派

初心者向けとして工夫がみられたポイントは2つ。 連打コンボとコマンドの簡略化です。これにより、操作の部分で簡略化され、駆け引きの部分に集中しやすくなりました。 なので、「対戦が成立するまで」、スタートラインまでの距離は短くなったといえるでしょう。 同時に、駆け引きや読み合いの部分は経験がモノをいう部分が大きいので、やはり経験を重ねた人がちゃんと勝つようになっているともいえるでしょう。

全体的にみてゲームシステムそのものはさほどシンプルではありません。既存の格ゲーにあるような、必要な要素は全部キッチリ入ってる感じ。 なので、どのシステムがどんな効果を生むのか、どの技がどんな強さを持つのか、という知識を詰めていく部分においては他の格ゲーと大差ないと思います。このあたりは、公式サイトで早くからチュートリアルムービーを公開したり、操作説明をアドバタイズに差し込んだりという、メーカー側からの歩み寄りが伺えます。

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キャラクター数が14人と、最近のゲームに比べると少なめである点は大きいでしょう。 キャラクター数が多いと、どうしても必要な知識、情報が増えてしまいます。こうなると、わからん殺しのオンパレードになってしまうのです。 これは、初心者に向けた配慮、というよりは、単にシリーズ1作目だから、というだけかもしれないけれど。 シリーズが進むにつれてキャラクターが増え、システムもより複雑になってくるのは、敷居を高くしている原因の1つであることは間違いありません。 これはゲームに着手するタイミングの問題だけど、シリーズ1作目である、ということは、初心者を考慮する上でけっこう重要なことだと思います。

初心者向けのつくりは連打コンボやコマンドの簡略化に留め、シンプルモード的なシステムは入っていません。初心者って初心者モードみたいなものを実装しても、対戦じゃ使ってくれないという実情があるからです。

4Gamer.net ― 「ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ」に込めた原作愛と格ゲー愛について,アークシステムワークス森氏,井口屋氏にインタビュー

はい。BLAZBLUEのスタイリッシュタイプは,シングルプレイではともかく,対戦の場で使われることはほとんどないんですよ。あまりにもシンプルな操作なので,初心者といえどもプライドが邪魔して対人戦では使いづらいんでしょうね。

だから、連打コンボと複雑なコマンドの撤廃だけに留めたことは結果的によかったんじゃないかと思います。どうせ使われないシステムを作るのではなく、同じ土俵に立たせるための配慮に力を入れてくれているわけです。初心者を甘やかすつくりになっているのではなく、厳しい現実をキッチリ教えてくれるつくりになっているわけです。 そういう意味では、実にフレンドリーといえるのではないでしょうか。

最大の特徴であるペルソナは初心者殺し?

ペルソナを使ったゲームデザインは初心者に厳しいかも、と思うことがあります。それは、本体とペルソナの波状攻撃による「ずっとおれのターン状態」で一方的にボコられる感が非常に強いときです。逆ギレアクションやガードキャンセルという切り返しの手段も用意されてはいるものの、それだけでは乗り切れないくらい 厳しい固めが存在しています。

腕の近いもの同士で対戦しても一方的な勝負は発生しやすいので、腕の差がある場合はさもありなんといった感じです。 上級者同士でも一方的な試合になることは珍しくないのですが、初心者的には自分の腕が足りないと感じてしまいかねません。 そこから、自分には向いていないんじゃないか?と疑いはじめて、席を離れてしまうことにも繋がります。長いコンボより、終わらないディフェンスの方が精神的なダメージは大きいんじゃないかなーと思いました。 ペルソナという題材が、実は格ゲー初心者に対してもっとも厳しい壁になってしまったのかもしれません

「ハードルは低く、奥は深く」

開発者の言葉にもあるように、初心者が勝てるようには作られていません。でもそれは初心者への配慮が足りないというわけではありません。経験と実力の勝るプレイヤーが勝つようにできている、ということなのです。

初心者でも上級者に勝てるゲームであるというのなら、それは運ゲーとしかいいようがありません。運だけで勝ち負けが決まるようなら、誰も努力しません。努力して上達して、その上達が結果に結びついて上達が実感できる、ということこそ、ゲームの魅力の根本的な部分でしょう。こうした「 ゲームの面白さ」を初心者にもわかってほしいからこそ、スタートラインの敷居を下げることのみに注力したのだと思います。

格ゲーで勝つことは簡単ではありません。なにせ、相手も人間なわけですから。でも、簡単じゃないからこその「面白さ」があります。この「面白さ」を削ることなく、敷居を下げるための最低限で最大限の配慮を組み込んだP4Uは、間違いなく初心者にフレンドリーであると思います。