【アストラルチェイン】レビュー 鎖で繋いだ相棒とともに戦う”二者一体”の新感覚アクションは骨太だった

『アストラルチェイン』をクリアできたのでレビュー。本作は異次元から迫りくる異形のキメラたちに対抗すべく組織された特殊部隊「ネウロン」の隊員となって脅威に立ち向かうアクションゲームです。未知なる敵には同じく未知なる力をもって対抗するしかありません。その力は「レギオン」。キメラから造り出された生体兵器を駆使して事件を解決し、世界を守るのがプレイヤーの任務なのであります。

ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)|Nintendo Switch|任天堂

キミはひとりじゃない

鎖で繋がったレギオンを活用して戦う「デュアルアクション」が本作最大の特徴。

『アストラルチェイン』最大の特徴はなんといってもレギオンを活用したアクション。レギオンと共にコンボを決めたり別々の敵を同時に叩いたり、前衛を任せて後ろから射撃したり自分が前に出て後ろから支援させたり、2体同時操作による新感覚のゲームになっています。ある程度は勝手に戦ってくれるので完全に2体同時操作というわけではありませんが、操作の忙しさ、ムズかしさはかなりのもの。独特なので慣れるまではなかなか苦労させられます。

独特なプレイ感を生み出しているもう1つの理由が、プレイヤーとレギオンとを繋いでいる鎖の存在です。単にレギオンの行動範囲を制限しているだけではなく、この鎖を使ったアクションがいくつも用意されています。たとえば、鎖を巻きつけて拘束したり突進してくる相手を鎖で引っかけたり、といった感じですね。他にも離れたレギオンを引き戻したり、逆にレギオンに引っ張らせてジャンプしたりなんかもできます。

こうした鎖のアクションに加えて、レギオン5種類とプレイヤーの武器3種類を切り替えつつ、スキルやコマンド技を織り交ぜての戦いは本当にムズかしい。最初の内はワケもわからず回避ボタンを連打してぴょこぴょこしながら適当にレギオンをぶつけているだけになるかもしれません。しかし慣れてくると1つ1つのアクションを効果的に使えるようになってきますし、そうすると自然とスタイリッシュな動きになっていくあたりは実にプラチナゲームズ。上達を実感できる充実感とカッコよく決まったときの爽快感は本物です。

事件がいっぱい、仕事もいっぱい

骨太のアクションが魅力の『アストラルチェイン』ですが、アクションだけではありません。警察官として事件の捜査を行うアドベンチャーパートのボリュームもガッツリあったりします。そういやプレイヤーは警察官でした。捜査の基本は聞き込み。人々から情報を聞いてまわり、最後に整理というていで答え合わせをするまでが1セットになっています。ただ、この捜査パートは実質探索パートとなっており、メインで追っている事件以外にもいろいろなサブイベントが配置されています。警察官にとって事件に大小はありません。ガシガシ解決してやりましょう。

いつの時代も捜査の基本は聞き込み。メモったところはテストに出ます。

サブイベントのバリエーションは豊富です。普通に戦って異次元のゲートを閉じるようなものから容疑者を拘束したり紛失物を探したり、多岐にわたります。場合によっては7段重ねの段ボールを運ばされたり10段重ねのアイスクリームを運ばされたり、自動車で「倉庫番」をやらされたりと人類最後の希望たるプレイヤーをなんだと思っているのかと思わされたりしなくもないのですが、事件に大小はありませんからね、ハイ。ともあれ、バリエーションが豊富であるが故にすべては好きになれないかもしれません。どうして荷物を抱えた人にぶつかってくるのですか。どうして…。

荷物は台車で運ぶべき。

こっちを向いてよ、そっちじゃなくて

アクションとアドベンチャー、どちらのパートでもやや不満だったのがカメラ視点でしょうか。壁に接すると壁からの視点になるタイプのカメラなので、狭い場所だとカメラが寄ったり引いたりして目が疲れます。なのに拠点をはじめとして狭い場所が多いのが難点。そうした狭い場所で見えづらく気付きにくいところに配置されたアイテムを探すため視点をぐるぐる回していると三半規管へのダメージがガンガン蓄積していくことに。

狭い場所でぐるぐる視界を回して探索する機会が多いので三半規管にダメージがきやすいです。

また、戦闘中に壁に寄ってしまった場合に視界がぐちゃぐちゃになることは言わずもがな。だというのに狭い場所でも敵が配置されているのはいかがなものかと。どちらかといえばこれはカメラ視点というよりは敵やアイテムの配置とレイアウトの問題なのかなと思わなくもない。誰ですか、開始地点の後ろにアイテムを置いたのは。

広い場所であっても難がないわけではありません。本作のカメラはプレイヤーとレギオンと敵の3者を視界にとどめようとするためか、なかなか思った方を向けない状況が多々ありました。とはいえ、これはレギオンを一旦しまうことで回避できるため、慣れてくればさほど問題にはならないかも。ロックオンも外さなくてはならなかったりするので慣れてもキツい場面はやっぱりキツいんですけれども。そんなことより足場の悪いところで頭の上を飛んでいる敵を配置したのは誰だぁぁぁ!(転落)

地上と空中から同時に攻められると厳しくなるカメラ視点。ロックオン切替ももう少しやりやすければ…

急いでないなら急かさないで

カメラ視点以外で気になったのがシチュエーション。ストーリーの都合上、「急いで追わなければ!」とか「早く助けなきゃ!」みたいな場面が多かった印象なのですが、そういった状況でもあちこちに脇道があってアイテムやサブイベントが配置されているのですよね。別に時間制限などはないのでゆっくり探索すればいいんでしょうけれども、なんか人々が慌てて逃げ回っていたりピンチっぽい音楽がジャカジャカ流れていたりするのでなかなかそんな気分にもなれず、かといって無視して進む気にもなれず。なんといいますか、見せたいストーリーとやらせたいゲームがチグハグなんじゃないかなという印象を受けました。

地下鉄が爆破されて大変!だけど脇道にアイテムが落ちているので急ぐに急げない…

慣れれば慣れるほど面白さの増すアクション

そんなこんなで不満点がまったくないわけではないのですが、20時間以上かけてストーリーを終わらせた後にまだプレイしているくらいには面白いです。操作に慣れてから過去のミッションに挑むとラクラク突破できて上達が実感できるし、使いこなせていなかったアクションも盛り込んで新たな動きを開発していくのも楽しい。クリア後だから探索もゆっくりできますしね。むしろクリア後の方が楽しめているような気がしないでもない。ともあれ、骨太なアクションを楽しみたい人には間違いなくオススメの1本。鎖で繋がった相棒をブン回して遊びましょう。

おいでませ、特殊部隊ネウロン

任天堂 (2019-08-30)
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