発売から1年近く経っていますが、いまさら購入してちびちび進めていました。1周クリアできたのでレビューしてみます。
最初にいっておくと、ボクのファイアーエムブレム歴はファミコン版の初代のみで、それ以降はさっぱり触っていませんでした。そんな、シリーズへの思い入れも特にないボクが今回『覚醒』をやろうと思った理由は2点。とっても気になるキャラクターを見つけたことと、カジュアルモードの追加です。
そんな「にわか」のレビューなので、シリーズファンにとって『覚醒』がどうなのかはわかりません。しかし、SRPGとして至高の一品であることは間違いありません。3DS持ってるならやっておきましょう、マジで。
カジュアルモードの存在が(ボクの)運命を変えた
やったことのあるファイアーエムブレムは初代だけなので、シリーズに対する印象は「死んだらロスト」なので「死んだらやり直し」なんですよね。どう動かしても死んじゃう、って状況でセーブしちゃって泣く泣く最初からやり直したりした思い出が強く残っているけど、正直それ以外の印象があまり…という。
しかし、『覚醒』の「社長が訊く」を読む限り、追加されたカジュアルモードでは死んでもロストしないそうじゃないですか。もちろん、この仕様は開発中にも賛否両論あったそうで、シリーズのファンからすれば「なんだそのゆとり仕様」ってところかもしれません。しかし、ボクにとってはありがたいことこの上ない仕様でした。
ゲームにおける「難しいけどおもしろい」というバランスは綱渡りだと思うのです。リスキーでギリギリな状態だけど渡りきれると非常に爽快で快感、だけど一歩間違えて落っこちると大きな喪失感とストレスが突き刺さります。綱渡りの緊張感が大きければ大きいほど、疲労感も大きくなり、時として、この損失感とストレスがゲームそのものを投げたくなるほど大きくなる場合があります。落っこちた場合、ふりだしに戻らなければならない場合とか。
といっても、『覚醒』では1回の戦いが数十分程度だし、前後でセーブもあるのでそこまで大きな喪失感はないかもしれません。メガテンシリーズや世界樹シリーズみたいに、何時間も探索したあげくに全滅してすべてがパーになってしまうほど、時間的な損失はありませんし。しかし、1ユニットでも倒されてしまうたびにリセット!とかやりだすと相当な時間を食いかねません。諦めて進めればいいのでしょうけど。
所詮1ユニットなのですが、死んだらロストで二度と戻らない、と考えると綱を踏み外したときのリスクがどうしても甚大に感じられてしまい、結果として、常に1つ1つの指示、行動に緊張感が付きまとって疲れてしまうわけです。綱渡りは失敗していないのに、渡りきった快感よりも渡っている最中の疲労感が上回ってしまうこともあるんじゃないかと。
実際、今回クリアまでにユニットが倒されてしまうケースはほとんどありませんでした。しかし、過剰な緊迫感がなくなったことで、時間を忘れて長時間プレイしていることもありました。重たい緊張感に押しつぶされてそれだけで疲れてしまうと、長くプレイしていられないので没入しづらくなります。常に緊張感、という意味ではホラーゲームなんかもそうかも。
過去シリーズで、同じように緊張感に押しつぶされてしまった人や、ユニットが死ぬたびにやり直すのが苦痛だった人などにとっては、カジュアルモードほどすばらしい調整はないと思います。「死んだらロスト」のイメージで敷居が高いと感じている人は特に。その印象のせいで『覚醒』をやらないのは非常にもったいないです。もうリセットボタンで運命を変える必要はなくなったのですから。
すべての要素がキレイにかみ合ってリプレイ性に結びつく
キャラ絵を見てキャラ目的で買ったわけですが、他のキャラの魅力もすばらしく、期待を大きく上回るものでした。具体的にはこのキャラなんですけどね。だってエロいじゃん?
『覚醒』では、隣り合ったユニットが共闘するデュアルや、2つのユニットを1つにまとめて行動するダブルといった、ユニット間で協力するシステムが組み込まれています。共闘すればするほど仲良くなっていき、キャラとキャラの仲がよければよいほど、その効果も上がるというものです。
キャラが仲良くなればキャラの間で会話が発生し、ちょっとしたストーリーや背景が見えてきます。キャラ単体ではなく、キャラとキャラの関係に的を絞って描いているからこそ、キャラの魅力はより高く感じられるのではないかと思います。
そして、『覚醒』全体のテーマとなるのが「絆」ですね。全体のストーリーはもちろん、デュアルやダブルといったゲームシステムとも合致していますし、仲の良さが強さに結びつくこともあり、見事にすべてが融合しています。
キャラの魅力もゲームシステムと結びついているので、プレイヤーの感情移入もしやすいのかなと思います。感情移入しやすいからこそ、好きなキャラがそうでもないキャラと仲よくなってくると「ちょっと待てよ!」ともなるのだけれど。
おかげで誰も結婚せずにストーリーを終えてしまったため、これはもう1周せざるを得ない…。仲良くなれるキャラがある程度限定されていることに気付いたのが終盤だったこともありますが。あ、サーリャはもちろん、ロンクーも好きなキャラですよ。
クリア時間は30時間程度と、このジャンルにしてはちょっと短いくらいでしょうか。しかし、マイユニットの性別、キャラのカップリングや会話、外伝マップ、育成方針と、もう1度プレイしたいと思わせる要素も十分すぎるほど詰まっています。エンディングで各キャラのその後が語られているのも、リプレイ性に繋がっているんじゃないかなと。
ボクは1周目は一切攻略情報は見ずにプレイし、クリア後に解禁することにしています。攻略wikiを眺めながら、2周目ではどんな方針で進めようか考えている最中なのですが、せっかくだから難易度ハードにしてみようかと思っていたところ、こんな記載が。
敵増援は敵ターン開始時に出現し、すぐに行動する。増援回数もノーマルより多い。
あ、はい…2周目もノーマルでいいかな…。どうもこの手のゲームの増援は苦手意識が抜けません…。『覚醒』では増援が来る前にそれとわかるアナウンスをしてくれるのですが、それでもどうも苦手。どのゲームの影響なんだろう。
それにしてもクリア後にサウンドモードがあるって最高ですね。音楽がすばらしかったのでなおのこと。基本的にオーケストラ風ですが、マイユニットの表現のみアコーディオンを使っているそうですが、終章の曲がまさにこのとおりでカッコイイ。
『覚醒』は「社長が訊く」でも話されているとおり、開発者のモチベーションがそのまま製品になったような完成度の高さを感じさせてくれる一品でした。ストーリーもゲームシステムもキャラも音楽も、どれもが単体で十分な出来であるのに、そのすべてが見事に融合したすばらしいタイトルになっています。未プレイの方はぜひ一度プレイしてみることをオススメします。