ベルトフロアアクションのお約束をキッチリ抑えつつ、リプレイ性を最大限高めた上に、ヴァニラウェアの絵画調グラフィック。すべてがかみ合った21世紀版『D&D』がここに。
Dragon’s Crown ドラゴンズクラウン | OFFICIAL WEBSITE
『ドラゴンズクラウン』は最初にアナウンスされたときからずーっと気になっていたタイトル。発表からしばらく音沙汰のない時期がずいぶん長かったけれど、ようやく発売されてボクの手元にやってきました。
剣と魔法のゲームブック風の世界観でベルトアクションにヴァニラウェア製の絵画っぽいグラフィックを合わせた『ドラゴンズクラウン』は、まさに期待通りの感触。さらに育成やトレジャーハント要素でリプレイ性を高めたシステムは、期待を大きく上回るものでした。
今回のファーストインプレッションは、ゲーム開始から4時間くらいプレイしたところで、オンラインモードが解放されたあたりでのレビューになります。え?オンライン解放まで4時間?という点については後述します。PS3版とPS Vita版が発売されていますが、ボクがプレイしているのはPS3版です。
言葉が溢れて長くなってしまったので内容を簡潔にすると、以下の4点です。
・グラフィックすげえ!
・そうそうベルトアクションってこうだよな!
・気がついたら朝までマラソンしそうなんだけど
・オンライン解放まで数時間…?
HDでの”動く絵画”は圧巻の気持ちよさ
ヴァニラウェアといえば、『オーディンスフィア』や『朧村正』のような絵画調のグラフィックでぬるぬる動くのが印象的です。『ドラゴンズクラウン』でも、この特徴は遺憾なく発揮されており、しかも今回は圧巻のHD画質。
動画やスクリーンショットで見ても美しさは感じられると思いますが、実機での映像を目の前のモニターで見たときの感動は別格。キャラクターも背景も、細かいところまで描きこまれており、まさに命を吹き込まれた絵画といった様相。
このグラフィックを自分の手で動かせるのだからたまりません。この背景、このステージの中で、このキャラクターを動かせるのです。こんなのキモチイイに決まってる。
ベルトアクションというジャンルは、言ってしまえば延々と同じことを繰り返すゲームです。軸をずらして敵の攻撃を避けつつボコスカ叩くような。「同じことを繰り返しているだけなのになぜか楽しい」を実現している理由の1つは、間違いなくこの美しいグラフィックのおかげでしょう。
描きこまれたグラフィックで敵味方入り乱れて、派手なエフェクトも合わさると、自キャラを見失うこともありますが、R1のワンボタンで回避アクションができるため、見失った場合のリスクは低く、ストレスは生みにくいかも。
色っぽい女性キャラクターは発売前から注目の的でしたが、イベントシーンの絵もお色気満点のものが多数。一部はお色気すぎて当サイトで扱えそうにありません。これ本当にCERO:CなんですかCEROなにやってんですかといいたいところですが、正直ありがとうございますといわせていただきます。
ありがとうございます。
お約束が詰め込まれたベルトアクション
箱を壊して回復アイテムを拾ったり、使い捨ての武器を拾ったり、脇道の部屋に入ったり…、ベルトアクションなら当たり前の要素は当たり前のように詰め込まれています。
獣に乗ってパワーアップとか、スコアアイテムがバラバラ落ちたりとか。ちなみに、スコアによって残機が増えるエクステンドもあるため、スコアアイテムを拾うことにもちゃんとリターンが設定されてます。
キャラクターの動きは軽快で、敵をボコスカと殴り、空中に打ち上げてコンボを叩き込むのはかなり壮快。軽快なのはエルフを使っていたからかもしれませんけど。
敵をボコスカできて、それがキモチイイと感じられるかどうか、ってところはベルトアクションのコアに当たると思いますが、その点はバッチリクリアできてますね。というか、キモチイイので時間を忘れてずっと遊んでしまいそうな危険性まであるくらいです。
残機制ではあるけれども、死ぬときはあっさり死んでしまうあたりもいかにもベルトアクション。気持ちよくなろうとして敵に突っ込むばかりでなく、ときには慎重な立ち回りも求められている感じの調整ですね。
1点気になったのが、ボス以外の敵の体力が見えないこと。敵を倒せたのか倒せていないのかがちょっとわかりづらいかも。といっても、絵画調グラフィックの上に体力ゲージなんかが出ていると、それはそれで台無しなので難しいところかもしれません。
※オプションで体力ゲージの表示・非表示が選択できることに気がつきました…。申し訳ないです。
代わりに、ダメージの数字の色で、誰の攻撃が当たっているのかがわかるようになっています。みんなでタコ殴りにしていても、自分の攻撃が当たっているのかどうかが判別しやすいのはいいですね。
育成とトレジャーハントで最大化されたリプレイ性
アクションがどんなに気持ちよくても、ご褒美がなければいつまでも繰り返しプレイし続けるとはいかないもの。『ドラゴンズクラウン』では、キャラクターの育成要素とトレジャーハント要素を追加することで、リプレイ性を高めています。
キャラクターの育成は経験値によるレベルアップと、スキルポイントの消費によるスキル習得があります。どちらもRPGにはよくあるシステムですね。当たり前のような要素ですが、キャラクターが成長してダメージが跳ね上がっていくのはやっぱり嬉しいもんです。
スキルポイントはレベルアップ時と依頼達成時に入手することができます。依頼の内容はさまざまなので、いろんなステージでいろんな敵と戦うことになります。育成のためにプレイを重ねることになる、という、ストレートなリプレイ性強化になっています。
トレジャーハント要素は、主に装備品を狙って何度も繰り返しステージに挑むことになります。装備品にはさまざまな属性やオプションがつくことがあるため、より強力な装備を求めるならマラソン生活がはじまるでしょう。
ステージを周って宝箱を開けて、街に戻ってトレジャーを鑑定して一喜一憂する…、このへんの流れは実にハクスラ的。
武器はグラフィックにも反映されるため、カッコイイ武器を求めてモチベーションも上がるというものです。
本作の特徴となるのが、遺骨を拾って帰って復活させ、仲間として迎え入れるシステム。遺骨はステージ中のさまざまな場所に落ちており、復活させたキャラクターの強さは千差万別。
復活させたキャラクターはプレイヤーのレベルに合わせた強さになるようですが、装備品やスキルなどは細かく違っているため、より強力な仲間を求めるなら、何度もステージに挑むことになるでしょう。
とはいえ、CPUの操る仲間キャラクターは成長しないため、どんどん新しいキャラクターと入れ替えていくことになります。毎回違った構成でステージに挑むことになるため、同じステージでも少し違った体験になり、ここもリプレイ性に繋がっているように思えます。
ちなみに、CPUキャラクターは、体力の減った人に回復アイテムを優先的に拾わせていたりするので、それなりにお利巧さんです。罠に全力で引っかかったりするのはご愛嬌。
マルチプレイ開始まで数時間というハードル
ベルトアクションといえば、肝になるのが協力プレイでしょう。現代においてはオンラインでつながっているわけですから、なおのこと、期待は膨らむというものです。協力プレイのために、友人と申し合わせて購入した人も多いんじゃないでしょうか。
しかし、『ドラゴンズクラウン』では、オンラインの協力プレイができるようになるまで、数時間のシングルプレイが要求されます。参考までに、ボクは今回4時間でオンライン解放までたどり着けました。
この数時間、チュートリアルが続くというわけではありません。むしろチュートリアルは短く、開始早々の数分で終わります。では、この数時間に何をしているのかといえば、ステージを一通り周っている感じです。
いち早くオンラインで協力プレイをしたい人からは、袋叩きにされそうな仕様ですが、メリットを考えるなら、数時間遊んでゲームにも操作にも慣れた人しかいないわけだから、安心して遊べるといえばそうなのかも。
とはいえ、選択肢を1つ奪われ、シングルプレイを強要されているように感じてしまう人からは、激しく非難されかねないのではないかと心配してしまいます。これほど作りこまれたタイトルが、このたった1点のために大きなマイナスイメージを抱えるのは非常にもったいないと思うのです。
この圧倒的な作り込みとリプレイ性の前には、最初の数時間など一瞬の通過点になると思います。というか、1人で遊んでも十分すぎるほど楽しく、これで協力プレイしたらどうなっちゃうのと胸躍るんじゃないでしょうか。キャラによっては尻も踊るかも。
そんなわけで、まだオンラインは遊べていないので、オンライン関連はまた次回。
【ドラゴンズクラウン】オンラインモードレビュー 手軽で気楽なオンラインは底なしの沼
難易度インフェルノクリア後に書いたレビューはこちら。
【ドラゴンズクラウン】クリア後レビュー いつまでも遊べるベルトアクションの到達点