【書籍】中の人 ネット界のトップスター26人の素顔

インターネットが一般化をしてから十数年。この十数年の間で、ネット上にはさまざまなスターが誕生している。彼らにスポットを当て、直接インタビューすることで、彼らの”顔”を明らかにしているのがこの本だ。

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本書はASCII.jpで2007年6月から2011年11月まで連載していた「古田雄介の”顔の見えるインターネット”」から、記事を抜粋したものにNHK_PR氏のインタビューを加えたもの。他に再取材したものも含まれています。また、インタビュアーである古田氏のコラムも合間合間に挿入されてます。

掲載されているよりすぐりの26人だが、ネットをやっていれば、どこかで見かけたことがある名前ばかり。彼らはどんなキッカケでWebサイトを始めたのか、どんな思いで更新を続けているのか、そこから得たものや失ったものは何か、直に話を聞くことで、実に生々しく語られている

本書の内容はすでにWeb上で公開されたものが大部分なので、せっかくだから本書でしか読めない部分を紹介したいと思います。

NHK_PRの中の人が持つ賛否両論のバランス感覚

NHK_PRといえば、49万人のフォロワーをもつ国内でもトップクラスのTwitterアカウント。NHKのお堅いイメージを崩すかのごとく、ゆるくフランクでフレンドリーな立ち回りで人気を集めている。この絶妙なバランス感覚は、NHKという環境が大きく影響をしているのだという。

NHKでは、誰もがいいという番組を作ってはいけない、と教わるのだそうです。万人向けになるとつまらなくなるから、どこか尖っていなければダメだ、というワケです。 賛否両論はあって当然、むしろ賛否両論を生むような尖り方をしないと面白くならないとわかった上で、それを実践されている。といっても、エッジをきかせつつ変にリスキーなことはしない、という絶妙なバランス感覚は、企業としてのスタンスだけでなく、彼個人の性格もあるのでしょう。

また、Twitterを使う上で注意していることが、「リアルタイムだと錯覚しないこと」「140文字に収まらない文章は最初からツイートしないこと」と述べられています。「○○なう」とつぶやいても、それを見る人は1時間後かもしれないし、RTされて1ヵ月後に周ってくるのかもしれない。だから、”今”を前提としたやりとりだけに意識しないように注意しているのだとか。もう1つは、文章が1つのツイートに収まらない場合、文章の一部だけがRTされてしまうと誤解を生み出しやすい、ということですね。誤解が誤解を生み出して一気に広がるような光景はよくみかけるので、こういった注意は重要なのでしょう。

インタビューの最後に語られている彼自身のスタンスは大変興味深いものです。

NHK_PRでやりたいのは、NHKというテレビ局と視聴者の中間に立つということなんですよ。NHKの中から発信するのではなく、NHKの玄関から一歩出たところから声を出していくというイメージです。

Twitterの企業アカウントは多数ありますが、上手に立ち振る舞うアカウントはこういうポジション取りができているのかもしれません。頭で理解していても、なかなかできるものではないことだからこそ、「すごい」のですが…

トラブル対応時にでる”顔”

インタビュー記事の合間合間に挟まれている、著者のコラムで特に興味深かったのが「トラブル対応は貴重な情報源」というもの。

NHK_PRの中の人が述べているように、おもしろいと注目されるものは大抵賛否両論が存在します。そのうち、否定的な意見に対して、どういったスタンスをとるのか、どういった態度で接するのか、というところに、かなりリアルな”顔”を残していくのだという。冷静な対応をする人、感情的になる人、落ち込む人、気にしない人、などなど。ネガティブな意見ほど理性よりも感情に打撃を与えやすいでしょうから、その対応には中の人の”顔”が色濃く反映されやすいのでしょう。

「面白がる能力」

これは本書でしか読めない部分ではなく、Web上でも読める部分だけど、特に心に残ったので紹介したいと思います。日本珍スポット百景の五十嵐麻里氏が語る「面白がる能力」という言葉。珍スポットに行く人は「面白がる能力」を試されているのだという。

でも、この「面白がる能力」って実は何にでも使えるすごいスキルなんじゃなかろうか。この能力をうまく使えば、Web上の行動だけでなく、普段の生活も楽しくなるだろうし、周りを楽しませることもできるはず。そんな人の周りには人が集まってくるし、人が集まれば大きなチカラにもなりうる。

本書に掲載されているようなスターたちは、みんな「面白がる能力」が非常に高いのだと思う。それこそ、”ドラマチックガス”を吸い込んだように世界が輝いてみえているのかもしれない。

古田雄介の”顔の見えるインターネット”」の連載は100回におよび、そのすべてをWeb上で読むことができる。その中で、本書に抜粋された記事は以下のとおり。どれも非常におもしろいインタビューなので、いつもみているサイトの中の人がどんな人なのか、気になった人はぜひ読んでみてほしい。

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