『FF7』はどうして偉大なRPGとしての存在感を築き上げたのか リメイク版の発表に寄せて

ついにあの『ファイナルファンタジー7』のリメイクが発表されました。これは待ちに待った発表だといっていいでしょう。シリーズでもっとも人気の高いタイトルですからね。『FF7』は誰もが知るビッグタイトルであり、RPGの歴史に燦然と輝く名作ですが、どうしてこれほどまでに大きな存在になったのでしょうか。

ファイナルファンタジー7のリメイク版発表に寄せて

公式サイト:REMAKE | SQUARE ENIX

E3 2015にて、『ファイナルファンタジー7』のフルリメイクが発表されました。ファミ通さんが発表されたときの会場の様子をアップされているので、まずはこちらをご覧ください。

【速報】全世界待望の『ファイナルファンタジーVII』のフルリメイクがついに決定!! 対応機種はPS4、ディレクターは野村哲也氏【E3 2015】 – ファミ通.com

「ん?これもしかして…」「…FF7かな?」「FF7だよね?」「FF7だ」「7だ!」「7だああああ!」「うわああああFF7だあああ」みたいな盛り上がり、たまらないですね。だって『FF7』ですよ、『FF7』。

『FF7』といえば、「FF」シリーズで最高の人気を誇るタイトルです。「どれが1番好きか?」と聞かれたら、人によって答えはまちまちだと思いますが、「どれが1番人気なのか?」と聞かれたら、やはり『7』と答える人は多いのではないでしょうか。

どうして『FF7』はこんなにも多くの人気を集めたのでしょう。どうしてこれほどまでの存在感をもつ偉大なタイトルとなったのか、振り返って考えてみましょう。

ちなみに、「人気が出た理由」とか「売れた理由」とか、ちゃんと特定するのは非常に難しいことです。なんとなくそれらしい理由をつけることはいくらでもできますが、それが本当の理由であるかどうかを証明することは難しいのです。不可能といってもいいかもしれません。というのも、あまりにも多くの要因が複雑に絡み合うからです。多くの人々がそれぞれに意思を持って行動しており、時代背景やその他諸々が存在しており、そのすべての含めて考える術は、現代の人類は手にしていません。それでも、人間というものは物事に理由をつけたがるものなので、困ったものです。

このあたりの話は、ダンカン・ワッツ著『偶然の科学』(原題:Everything is Obvious: *Once You Know the Answer)が詳しいです。何かにつけて「ヒットの理由」を語りたくなってしまう人は読んでおきましょう。その難しさがわかると思います。

前置きが長くなりましたが、まずは「FF」シリーズの歴史を振り返ってみましょう。そこから『FF7』というものが誕生するまでの背景をみていきましょう。

『FF7』誕生までの歴史・「FF」シリーズの歩み

初代『FF1』は、当時もっとも注目されていた「ドラゴンクエスト」シリーズに対抗すべく誕生したRPGでした。「DQ」を模倣したRPGが多く発売される中、「DQ」との差別化を強く意識していたようにみえます。テキストベースで進行する「DQ」のバトルとは違い、サイドビューのグラフィックで見せようとしたり、カクカクしていないワールドマップだったり。あのときから「DQ」とは違ったもので「DQ」を超えるものを意識されていたのでしょう。

続く『FF2』はレベル制を撤廃した育成システムを搭載し、『FF3』はいつでもジョブチェンジできるシステムを搭載しました。このころから、「FF」シリーズといえば毎回のように斬新なシステムを入れてくるものでした。また、『FF3』については、プレイ時間を延ばすためのレベル上げをなくしてスムーズな進行を取り入れたり、数字がピョコっと飛び出るダメージ表示の発明など、現代のRPGの基礎を多く築き上げていた点でも注目です。

しかし、『DQ3』や『DQ4』がソフトを買うために行列を作るほどの社会現象になる一方、ファミコン時代の「FF」シリーズはそこまでの存在感ではありませんでした。RPGといえば「DQ」か「FF」か、という話は当時からあったと思いますが、ゲームを知らない人でも知っている「DQ」に比べると、やはり知名度では一歩劣るポジションだったように記憶しています。インターネットのない時代ですから、あくまでボクの周囲での記憶なのですけれども。

この状況を大きく変えたのが『FF4』でしょう。スーパーファミコン時代に突入してから最初のビッグタイトルなRPGでした。『FF4』以前にもSFCにRPGがなかったわけではありませんが(『ガデュリン』とか『ドラッケン』とか)、ビッグタイトルといえるものはありませんでした。ファミコン通信に情報が掲載されたとき、背景のついたバトルシーンに地面が割れているクエイクのエフェクトなど、大興奮したのと覚えています。当時はRPGというジャンルが最大勢力だった時代でもあったので、『FF4』は注目を一身に集める存在になり、発売日に行列を作る状況になりました。後にも先にも、ボクがゲームを買うために並んだのはこのときだけです。

『FF4』はバトルのターン制を撤廃し、アクティブタイムバトル(ATB)を導入しました。これも多くのRPGに影響を与えているシステムですよね。そして、話題となったのは”泣ける”シナリオ。パロムとポロムが身を挺して仲間を救うシーンは、ビデオゲームで人が泣くほどの感動を与えられるのだと印象づけることになりました。

続く『FF5』と『FF6』はSFC時代を象徴するRPGといっていいでしょう。斬新でありながら完成度の高いシステム、心を打つシナリオ、精巧さを増すグラフィックと、あらゆる面でスクウェアが最高の品質を提供していた印象です。当時のスクウェアは「FF」シリーズ以外にもさまざまなタイトルを発売しており、SFC時代の終盤には月刊スクウェアってくらい、立て続けにゲームをリリースしていました。まさに黄金期。こうして、RPGといえばスクウェア、みたいなイメージが定着していきました。

そしていよいよ『FF7』がやってきます。プレイステーションとセガサターンの新世代機がしのぎを削る中、PSでの発売となりました。『FF4』がSFC時代に先頭を切った大型タイトルなら、『FF7』はPS時代に先頭を切ったビッグタイトルです。「プレステかサターンか」という話は『FF7』の発表からじわじわとPSに傾きはじめ、発売後はPS本体が品薄になる状況を招きました。ハードを牽引するソフトを「キラータイトル」なんて呼ぶようになったのも、このころからだったような気がします。

FF7

ゲームメーカーとしても、RPGの開発としても最大手だったスクウェアが、3D機能を搭載した新世代機で作り出す新作、というのが『FF7』の立ち位置でした。最高のメーカーが最新の技術で作る最大のボリュームを持ったRPG、それが『FF7』だったのです。すさまじく大きな期待を背負って登場した『FF7』ですが、その内容は期待に応えられるものだったのでしょうか。次は、ゲームの内容について振り返ってみましょう。

RPGとしての『FF7』

『FF7』は初代プレイステーションでのタイトルとなりました。PS1がSFCと大きく違うのは、なんといっても3Dの表現でしょう。多くのゲームがポリゴンを使った立体的なグラフィックで登場する中、「FF」も3Dのグラフィックに進化していくことになります。現代からみればカクカクの素朴なポリゴンも、目新しさもあってかなりのインパクトをもっていました。すべてがリアルタイムの3DCGというわけではありませんでしたが、それまでトップビューの視点ばかりでしたから、奥行きを感じさせるカメラアングルは新鮮なものでした。

スクウェアの技術で描かれる世界観もインパクトのあるものでした。もともと「FF」シリーズは剣と魔法の中世的なファンタジーにとどまらない独特の世界観をもっていましたが、『FF7』に至っては、魔晄炉の光に照らされた地底の都市からスタート、というSFっぽい色合いが強くなっており、これが強い印象を残しています。『FF7』といえば魔晄炉の緑色の光をイメージする人も多いのではないでしょうか。

それからストーリー。クラウドの記憶、ティファの思い出、セフィロスの過去…それぞれが交わりそうで交わらない、謎を残しつつ先が気になる展開で、プレイヤーの心を惹きつけて離さない物語となっていました。当時、RPGといえばストーリーを最重要視する人も多かったような印象もあるので、ストーリーと見せ方にはかなり力が入っていたように思えます。ストーリーをみせたいがために、戻れない場所がたくさん生まれてしまい、アイテムコンプが大変だったのもいまとなってはいい思い出です。PS1時代のRPGってそういうのが多かったですよね。何にせよ、いまだにオンラインゲームでクラウドやセフィロスの名前を見かけるくらいですから、その影響は計り知れません。

Goat MMO Simulator cloud
※画像は『Goat MMO simulator』より。オンラインゲームではないけど、MMORPGを皮肉ったネタの宝庫です。名前の前後に記号を入れた”クラウド”は世界共通の模様。

ディスク3枚組という膨大なボリュームで、長い長いプレイ時間を飽きさせないために、イベントごとに挿入されるミニゲームも『FF7』の特徴といっていいでしょう。これも多くのゲームに影響を与えていますよね。エンターテイメント性を高めて、より多くの層のプレイヤーに楽しめるように意図されていたのだと思います。ゲームとしての難易度はSFC時代から下がりはじめ、RPGは誰でもクリアできるもの、という認識がいよいよ当然になっていったのですが、それでも退屈させないための工夫だったのではないかと。

グラフィックやストーリーが大きく変化する反面、ゲームシステムはそれほど大きな変化はありませんでした。アビリティを装備品につけるマテリアや必殺技のリミットブレイクなど、新システムはあるものの、どれも既存のシステムを応用したような印象で、それまでのシリーズのような斬新さは影を潜めた印象でした。新しさよりも遊びやすさ、とっつきやすさが重視されたようにも思えます。もともとは斬新だったATBや召喚魔法も、すっかり定着してスタンダードなシステムとなった、といえるのかもしれませんね。

続く『FF8』以降、さらに新しいシステムを搭載しようとしたり、逆に原点回帰を目指したりとやや迷走をはじめるような印象さえあります。常に斬新なシステムを生み出し続けてきた「FF」シリーズですが、新鮮さと安定感のバランスの中腹に生まれたのが『FF7』だったのかもしれません。なので、完成度という意味でも、ここがある種の頂点だったといえるのかもしれませんね。

といっても、個人的には『FF8』以降も全部好きですし、楽しませていただきましたよ。そもそも「FF」って何かしら斬新なことをやってくれるシリーズだと思っているので、完成度や安定感で勝負されたら何か違うなと思っていますし。ところで『12』のHDはまだですか?

ともあれ、シリーズを通して期待を集め、その期待に応えられるだけの完成度で送り出された『FF7』ですから、現在に至るまで偉大なRPGとして語られるのも理解できます。とはいえ、これほどまでの存在感となるには、もう少し別の理由もあったと思います。よい商品だからよい評価が受けられる、というだけではなかったと思うのです。ビデオゲームそのものの歩みの中で、あの時代だったことが大きな要因の1つだったのではないでしょうか。

語り草としての『FF7』

プレイステーションとセガサターンの時代は、ビデオゲームが娯楽の1つとして定着しはじめた時期だったと思います。何をもって定着とするのか、といわれても何の数字ももっていませんから、ただの印象なのですけれども。ファミコン少年だったボクが大人になり周りがみえるようになってきた頃と重なるので、余計にそういう印象が強いだけかもしれませんが、PS・SS時代くらいから、ゲーム雑誌でクリエイターが脚光を浴びていたり、ゲーマー以外に向けたゲームのTVCMが流れていたりと、ゲームの認識やポジションが変わっていった時代だったように思うのです。

娯楽の1つとして認識されると、作品として批評する文化も生まれてきます。『ゲーム批評』なんて雑誌が生まれたのもPS1と同じ1994年でした。インターネットの登場はもう少し先ですが、ゲームの良し悪しをあれこれと語ろうとする流れが表に出てくる状況になっていた感じ。もちろん、ファミコン時代から友人同士であれやこれやと語ることはあったわけですが、大きな声で語られているのを見る状況になったのは大きな変化といえるでしょう。

そんな風潮の中では『FF7』は格好の的でした。多くの人がプレイしているから話題にしやすく、シリーズとしての積み重ねもあるので語りたくなる要素も多かったのでしょう。他のゲームを語るときの比較対象としてももってこいです。ボクと同じく、かつてのファミコン少年たちが語れるくらいに大きくなったこともあると思います。まだインターネットは一般的ではありませんでしたが、90年代後半くらいから普及していくので、批評として語りやすい環境も整っていくことになります。

その頃から「したり顔でFF・スクウェア批判」みたいなものはあったと思います。最大手の1番メジャーなヤツを叩くところから「オレはわかっているんだぜ」「お前らとは違うんだぜ」アピールははじまるわけです。ゲームというものが娯楽の1ジャンルとして定着していくには、ゲーマー以外の新規層を獲得していくことが不可欠でした。難易度の低下やライト化が進む流れもあり、前述のとおりエンターテイメント性を高めた『FF7』もその流れを生む一因だったため、「あんなのはゲームじゃない」だの「簡単すぎる」だのといった声があったと記憶しています。叩かれてはいるものの、1番有名だからこそ槍玉にあげられていたわけで、かえって『FF7』の最高の知名度を盤石のモノにしていったのかもしれません。

こうして、多くの人々に語られることによって存在感は大きくなっていきました。さらには、『アドベントチルドレン』のような映画や『ダージュ オブ ケルベロス』『クライシスコア』といったスピンオフも誕生したため、原典『FF7』について語る機会は何度もありました。叩く流れもあれば褒める流れもあったと思いますが、繰り返し語られることで、その存在感は不動のものになっていったのではないでしょうか。

そんなわけで、シリーズとしての積み重ねやメーカーの印象、ゲームそのものの完成度にビデオゲームのおかれた時代背景など、いろいろあって今の『FF7』の存在感は形作られたのだと思います。理由は他にもまだまだあると思いますが、時間の経過による積み重ねがデカイのではないでしょうか。

リメイクに望むこと

最後になりましたが、今回のリメイクについての要望というか希望を書いておきます。今回のリメイクはいわゆるHDバージョンのように、画質を向上させてゲームは基本的にそのまま、というものではなく、大きく作り変えるフルリメイクです。なので、すべてが新しくなっていることでしょう。つまり、『アドベントチルドレン』みたいなグラフィックでゲーム本編が遊べるようなものを期待しちゃっていいのですよね?ね?

グラフィックが大幅に変わるとなると、それにあわせて他の部分も変える必要があるでしょう。特にセリフ。会話シーンではボイスが追加され、キャラクターたちが演技をすることになるでしょうから、読める文章から聞ける文章にならなくてはいけません。「原作と違う」ってことになるでしょうけど、そうしないと違和感バリバリになってしまうでしょうからね。「風の様子が変なのだ…」では困ります。「クックックッ…黒マテリア」はちょっと聞いてみたいけれども。ともかく、原作を忠実に再現することよりも、プレイヤーの美化された思い出に対抗するつもりで、ガツンと作り変えてほしいなと思います。

そんなことは言われるまでもない、大きなお世話だという声が聞こえてきそうなので、黙って発売を待ちたいと思います。あー最新グラフィックで描かれる女装クラウド、楽しみだなぁ。

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