【Battlefield Hardline】マルチプレイモードのレビュー 警察vs犯罪者のハイテンポな金の強奪戦は敷居がやや高めかも

『Battlefield Hardline』のマルチプレイのレビューです。警察と犯罪者の戦いが題材なので乗り物は控えめ。歩兵戦がメインになっています。従来の拠点の奪い合いはもちろん、お金を奪い合うオブジェクティブな特殊ルールも題材とマッチしていて楽しくワーワーできます。ただ、新規参入者の敷居は高いかも。

「BF」なのにシングルキャンペーンの評判がよい、と聞いて買ってしまった『Hardline』ですが、買ったからにはマルチプレイも遊びます。正直にいうとあんまり遊ぶ気はなかったのですが、触っているうちに「もうちょいで武器がアンロックできるな」とか「あと5キルでアタッチメントが手に入るな」とか、ズルズルと時間が削られていってます…。

シングルモードのレビューはこちらからどうぞ。

『Hardline』の印象は「すごく丁寧に作り込まれた『BF4』のMOD」といったところ。舞台を兵隊やテロリストの現代戦から警察と犯罪者の戦いに移し、題材にマッチしたルールを作ることで、「BF」シリーズや他社のミリタリーFPSと差別化が図られています。グラフィックやゲームシステムにインパクトのある変更があるわけではないのですが、しっかりとした作り込みを感じるので安心して遊べる感じですね。

注目すべきは新たなゲームモード。目標のブツを指定ポイントまで運んだり阻止したり、金庫から金を運び出したり、警察と犯罪者の構図だからこそ映えるルールが用意されています。他のFPSでも似たようなルールはあったと思いますが、「BF」の分隊システムや各種ガジェットなどの存在が『Hardline』独自のプレイ感を生み出しているのではないかと。

カネを盗んで走り出せ!警察と犯罪者の戦いはカネだ!

追加された新ルールの中で注目したいのは「ハイスト」「ホットワイア」「ブラッドマネー」の3つ。

「ハイスト」は、犯罪者側が目標のブツを指定ポイントまで運び、警察側はそれを阻止する、というルール。目標も指定ポイントも2つあるので、チームの連携が問われるルールですね。うまくハマれば一瞬で決着することもあるし、ダメなときは徹底した泥試合になることも。

ブツを抱えて走る仲間が倒れたら、その場で拾ってさらに走る。こぼれたボールを繋いでゴールを目指す感覚はラクビーっぽいかも。分隊員からのリスポンもありますし。犯罪者側でボールに絡んでいるときの疾走感はたまらないものがありますが、ボールにさっぱり絡めないときの切なさとトレードオフ。「ハイスト」は試合によって楽しさの度合いが極端に変わる印象かもしれません。

Battlefield Hardline ハイスト

「ホットワイア」は、指定の自動車で走っている間にポイントが入り続けるカーチェイスのようなルール。車を運転するだけでポイントが入るので射撃な苦手な人でも稼ぎやすいルールですね。車ばっかりなので爆発物でドッカンドッカンするのが好きな人もいいかも。

「ブラッドマネー」は、金庫からお金を拾って自軍の拠点に持ち帰るというルール。「ハイスト」は警察と犯罪者で非対称なルールでしたが、こちらは対称的になっています。必然的に中央の金庫に敵味方が集中して激しい戦いになるのですが、お金は相手陣営の拠点から奪ってもいいので、戦術的な駆け引きもあるのがおもしろいところ。

個人的に1番のお気に入りルールは「ブラッドマネー」。警察も犯罪者も金庫に群がってお金をバッグに詰め込む様子がなんとも愉快なのですよね。金庫室からバッグを背負ってゾロゾロ走り出していく絵面も本当に愉快。お金を詰め込んでいる最中に火炎瓶を投げ込まれて黒コゲにされるのもそれはそれで愉快。

Battlefield Hardline ブラッドマネー

どのルールも走ることが重要になっているので、スピード感がありハイテンポな展開になっている印象ですね。乗り物が少なめで歩兵戦がメインになっている『Hardline』ですが、それがかえってスピード感を演出しているような気もします。このスピード感やテンポの速さは「BF」シリーズとしては異色かもしれませんね。

大人数での拠点制圧戦も健在

「BF」シリーズといえば拠点制圧戦、コンクエストですね。今回もバッチリ用意されています。PCと新世代機では、最大で32人対32人の64人対戦という、大規模な戦場が体験できます。隊員からリスポンできる分隊システムや全体に司令を下すハッカーモードなど、ゲームシステム全般も従来の「BF」シリーズと近いですね。

Battlefield Hardline コンクエストのマップ

『Hardline』で大きく異なるのは乗り物が控えめであること。警察と犯罪者の戦いなので戦車や戦闘機はありません。装甲車やヘリくらいです。ヘリ”くらい”だって?と思われるかもしれませんが、今回のヘリはかなり控えめな性能に抑えられています。といっても、乗る人が乗れば十分強いのですけれども。ともかく、あくまで歩兵同士の戦いがメインになっています。

歩兵戦がメイン、なんていうと、かつての『BF2』でカルカンドが大流行だった頃を思い出しそうです。コンボラ!コンボラ!サカタハルミジャン… といっても、あの頃は乗り物(特に航空兵力)が強烈だったこともあるのでしょうけど。『Hardline』でもサーバーブラウザを見た感じ、コンクエストは大人気になっています。(Xbox One版です。)

Battlefield Hardline コンクエスト

64人という大人数での対戦ですが、乗り物が控えめなのでマップはやや狭め。ただし、立体的な作りも多いので、ショットガンもスナイパーライフルも出番がある感じですね。乗り物が控えめといっても自動車やバイクなど、移動手段は豊富なので戦況は目まぐるしく変わります。なので、コンクエストもハイテンポな展開が多い印象ですね。

ハイテンポといっても、新ルールのようにあっという間に終わってしまうことはあまりないので、1戦ごとの満足感が高いのが人気の理由でしょうか。「BF」プレイヤーは結局、旗の下へ戻ってくる、ということなのかもしれませんけど。

新規参入者への敷居は高いかも

楽しく遊べる『Hardline』ですが、一方で「BF」シリーズへの新規参入者やFPS自体の初心者に対する配慮はイマイチな印象です。ハードコアなプレイヤーにはこれ以上ない遊び場になると思いますが、それだけに敷居の高さを感じずにはいられません。

Battlefield Hardline 死亡シーン

まず、ルールのとっつきづらさ。「ハイスト」や「ブラッドマネー」はわかってしまえば楽しいルールなのですが、直感的には把握しづらいのではないかと。プレイリストの1番上にある「ハイスト」は多くの人が最初に選ぶルールだと思うのですが、右も左もわからない状況でミニマップに表示されたアイコンの数々をみて把握しろ、というのはなかなか厳しいと思うのですよね。

次に、UIの煩雑さ。全体的にPC向けのUIをそのままパッドで操作している印象なのですよね。出撃画面やカスタマイズ画面などはマウスで操作するにはよさそうですが、パッドだとイマイチ直感的ではありません。装備のアンロック条件を確認しようにも、任務だのコインだの、あっちこっちにとっ散らかってて探すのも一苦労。ここはリンクさせておいて欲しかったなぁと。

Battlefield Hardline カスタマイズ

それから、初期装備の性能。多くの人が最初に選ぶであろう「オペレーター」クラスの初期装備「RO933」があまり強くない、というか、ハッキリいって弱いのはいかがなものかと。初期装備は使いやすくてそこそこの強さくらいがゲームに入りやすいと思うのですが、ここで大きな試練を与えるのはちょっとスパルタでしょう。ボクも最初「全然敵が倒せない…もうダメだ…」と折れかけました。

最後に、視認性の悪さ。敵と味方の判別がつきづらいだけでなく、場所によってはオブジェクトなのか人間なのかも把握しづらい。ライティングや服装のおかげで少し離れると真っ黒になってしまうのですよね。ゲーム自体がステルス性を確保していることもわかるのですけれども。敵か味方かわからないうちにやられてしまった場合、腕の問題よりも先にゲームに問題があるように考えてしまうので、上達に結び付きづらいのです。自分のミスに対する納得感が低くなってしまうのですよね。

Battlefield Hardline 視認性の悪さ

視認性の問題はミリタリーFPS全般にあると思います。ステルス性をなくすわけにはいかないけど、見えない相手にやられた場合のストレスをどうすべきなのか。『Titanfall』における青とオレンジの発光パーツはすばらしいアイデアでしたが、現代風のミリタリーファッションだとなかなかムズかしいところですよね。見た目はミリタリーでもシミュレータではないのだから、もうちょっとわかりやすくしてもいいんじゃないかなと思うのですが、「BF」はそういうゲームではない、といわれたらそれまで。

敷居など強行突破せよ

Battlefield Hardline コンクエストの銀行マップ

そんなわけで『Battlefield Hardline』は、新規参入者向けの敷居は高いかもしれませんが、それさえ越えてしまえばスピーディでハイテンポな戦いが待っています。ハードコアゲーマー向けともいえますが、もともと銃撃戦が目的ではなく手段な「BF」シリーズですから、射撃に自信がなくとも活躍の場はあります。ボクなどはバッグを抱えて走っているだけの試合もありますが、意外とスコアは稼げたりしてますし。

もちろん、FPSをやるからには銃で敵を撃って倒したいと考えるのが普通でしょう。FPSの基本は正確なエイムや反射神経ではなく、優位な状況を作った上で引き金を引くことです。その基本は「BF」シリーズで非常によく学べますし、今回『Hardline』でも変わっていません。乗り物が控えめな分、よりいっそう立ち回りの基本が重要といえるかもしれません。

ちなみに、最初のうちにオススメなのはメカニック。初期装備のMP5Kからサプレッサーを外してみましょう。初任給で買うのは「内部補強材」。胴体へのダメージが半減するので生存時間が大幅に変わることでしょう。まずはここから、お金を運んだり車を運転したりしながら、分隊と共に走り回ってゲームに慣れていくのがよいでしょう。

慣れてくれば、バッグを抱えて銃弾の中を走ったり、味方と大勢で金庫に押し寄せたり、分隊員と無言の連携がキマったり、車ごと派手に吹っ飛ばされたり…、テンションの高揚する瞬間もあれば不意に笑ってしまう場面にも出会うことでしょう。こういう感じ、「ああ、やっぱ「BF」だなぁ」って思えるのですよね。その瞬間を求めて、今日も戦場に赴くのであります。

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