核戦争後の荒廃した世界を旅するRPG『Fallout4』をようやくクリアできました。といっても、分岐するシナリオの1つを最後まで見たにすぎず、プレイ時間も”まだ”40時間程度。すべてを遊び尽すのが不可能と思えるほどのボリュームと自由度に流されてひたすら遊んでしまいそうなのですが、ここらで1つ区切りをつけようじゃないか、とレビューを書いてみます。
世紀末間あふれる世界で放射能にカリカリ汚染されつつ闊歩できるだけでゾクゾクできる「Fallout」。今作は、前作『3』で「あんなこともできたらいいな」って要素が追加された拡張バージョンのような印象です。レイダーたちがヒャッハーしている荒野で、うさんくさい勢力同士が争っているノリはそのままに、装備製作や建設など、よりサバイバル感を強めた要素が追加されているのです。
本題に入る前に『Fallout 4』がどういうゲームなのかをざっと説明しておくと、オープンワールドで主観視点(背後視点設定もあるけど)のRPGです。核戦争後のレトロフューチャーな荒廃した世界で、銃を用いたFPSのようなバトルもあって、同社製『Skyrim』など「The Elder Scrolls」シリーズとは一線を画す内容になっています。あまりにも有名な超大作タイトルなので、こんなことは言うまでもありませんね。
公式サイト:Bethsoft.com – Game Detail – Fallout 4
ジャンクから武器を作るサバイバル感
『Fallout 4』で個人的に1番楽しんでいる要素が武器・防具の制作システム。ガラクタをくっつけただけのようなヘンテコ銃からミリタリー感あふれる本格派ライフル、レトロフューチャー感バリバリのレーザーガンまで、実にさまざまな武器がカスタマイズできるようになりました。パーツは細かく分かれており、組み合わせがキッチリ見た目に反映されるのもうれしいところ。
装備の素材となるのは、そこらへんに落ちているガラクタです。前作では本当に使い道のないガラクタだったのですが、今作ではどれも何かしらの素材になるので、廃墟のジャンクは宝の山。クエストを進める傍ら、持てるモノは全部持って帰ってウキウキしながらクラフト台に前に立ち、新しいパーツを作ってくっつけたらまた次のクエストで素材を拾いにいく……というサイクルが生まれているわけです。というか、むしろこっちが主体に。
製作系のPerkを上げると高度なパーツが作れるようになり、だんだんとガラクタから本格的な銃に変わっていくのがたまらない。ジャンクパーツの継ぎはぎで作られた銃で戦い抜く様は、サバイバル感を増す要素となっています。荒廃した世界だからこそ、生き抜くために使えるものは何でも使う。最近、流行りのサバイバル系のゲームではよくある要素なのかもしれませんが、『Fallout 4』においても世界観とマッチしたGoodなシステムではないかと。
生存から生活へ ガラクタから町だって作れる
もう1つの大きな追加要素が建設システム。家や施設を作れるようになりました。単に家を建てられるだけでなく、人を呼び込んだり住む人々の満足度を上げたりする要素まであるので、街づくりシミュのような印象さえあります。もちろん、そこらの街づくりとは違ってレイダーたちが襲い掛かってくるので防衛も必要なところが世紀末。なんにせよ、建設システムは、ゲーム内の台詞にもありましたが、生存から生活へ、サバイバルからさらに一歩進んだ内容といえるかもしれません。
個人的にうれしかったのが、建設要素は別にやらなくても問題ない、という点。「連れ去られた息子を追わなくちゃいけないのに家とか作ってる場合か」と、とにかくストーリーを進めたかったので、建設は半ば無視していたのですが、特に問題はありませんでした。一部のクエストで「○○を建設せよ」ってのもあるにはあったのですが、本当にその程度。やらなくてもいい選択肢がある、というのは、真に自由であるといえるでしょう。
家や施設の素材となるのは前述の装備制作と同じく、そこらじゅうに落ちているジャンクなガラクタです。ガラクタにこれだけ使い道があると、ストーリーをほったらかしてジャンクを漁るゲームになってしまうのですが、それはそれで。やっぱりガラクタ収集ゲームだこれ。
ただ、無数のガラクタに使い道ができてしまったことが1つの大きな問題を生んでいます。それは、アイテム周りがとてもとても煩雑になってしまっていること。アイテムの種類がめちゃくちゃ多いのにソート機能が貧弱で使い物にならず、アイテムリストがごちゃごちゃしすぎてワケがわからない状態に。せめてワークショップ内のアイテム共有くらいはデフォルトで解放されていてもよかったのではないかと。(レベルで解放できるPerkには存在する)
遊びやすさも改善されたRADの沼へようこそ
『Fallout 4』では上述の追加要素だけでなく、全体的に遊びやすくなっている印象もありました。特に射撃まわり。前作『3』では、普通の射撃ではまともに当てられず、V.A.T.S.(コマンド選択式のように、敵の頭や腕などの部位を指定して攻撃できるモード)を駆使しろといわんばかりの調整だった印象でしたが、今回は普通に撃っても当てられるので、FPSっぽく立ち回ることもやりやすくなりました。なので、気づいたらAPゲージを余らせたまま、ひたすら射撃していた、なんてことも。
しかも、自分で作った銃を自分で使って敵を倒せるのだから、充実感はかなりのもの。だからこそ、武器作りの楽しさが加速して、ジャンク漁りに拍車がかかり、誘拐された息子のことなんか忘れて廃墟を徘徊するのも仕方のないことなのです。…という思考に陥りそうになったところを「このままでは終わらないんじゃ」とギリギリで踏みとどまり、なんとかストーリーを消化して今に至っているわけですが、ストーリーが終わってもまだまだ続くものだから、結局はズブズブとRADの沼に堕ちていくハメに。
追加された製造や建設要素だけでなく、イベントやクエスト、分岐するストーリーなど、あまりにも膨大で遊び尽すのは不可能ではないかと思われる『Fallout 4』。別にすべてをやらなくてもいい自由が許容されている世界でもあるのだから、やりたいことだけやればいいや、という姿勢だったはずが、結局はいつの間にか時間が過ぎていて朝チュン状態なオープンワールドRPGであります。放射能でカリカリと汚染されていくように睡眠時間が削られていくので、十分な時間を確保した上でどっぷりと浸るのがよいでしょう。グール化する前に抜け出せるかどうかはアナタ次第。