身体がドット絵を求めていたので『Orangeblood』をプレイ。開始直後から怒涛の描き込みに襲われ、求めていた以上の満足感を得ることができました。ドット絵、いいよね…。ゲームとして難点がないわけではありませんが、それが本作独特の味わいになっている側面もあるため、楽しめるかどうかはやや人を選ぶかもしれません。
ニュー・コザじゃ日常茶飯事だぜ
『Orangeblood』は現実とは異なる20世紀末、沖縄近海の人工島ニュー・コザが舞台となっています。ストーリーは一言でいうならギャングもの。銃弾と酒とドラッグが飛び交う日常の中で軽口を叩きながら地元のワルやロシアンマフィアとドンパチを繰り広げる展開です。メインキャラクターの女の子たちはかわいらしい見た目をしていますが、言動は物騒そのもの。売り物は小麦粉か何かだし人は大根のように斬ります。ノリや雰囲気は『ブラックラグーン』に近い印象でしょうか。
ドット絵、スゴイ
やはり特筆すべきはドット絵によるビジュアル。ゲームの最初から最後まで強烈な描き込みで魅せてくれます。街中の細々としたモノからキャラクターの動きまで、とにかく描き込まれまくっていてスゴイ。椅子に触れれば座るし自販機に触れれば飲むし、裏路地の焼き鳥屋に行けば食べるし風呂があればもちろん入る。いちいち細かいアクションが作ってあるのでひたすら眼福。眺めているだけで心のMPが回復します。
ギャングはいろいろ、銃もいろいろ
RPGとして特徴的なのは銃をコンセプトにしているところでしょう。まず装備としての性能が多種多様です。同じ銃でも付加されている属性や能力が異なるため、性能が全然違ってきます。銃をはじめ装備品は主にアイテムボックスから入手することになるのですが、ボックスの中身はランダムかつマップ切替だけで復活するのでガンガン入手できます。といっても鍵がかかっていて開けるためには敵のドロップする鍵が必要、という塩梅。望みの銃を手に入れるためにグルグルしましょう。
バトルは一般的なサイドビューのターン制ですが、通常攻撃が銃なのでリロードが必要になるところが特徴的。装備によってはリロード時に回復したりバフがかかったりするため、単なる弾込めというわけでもありません。弾薬に制限はありませんが銃につめられる弾の数には限りがあります。バリバリ撃ちまくりつつ合間にリロードを挟むのは銃で戦ってる感あっていいですね。
またつまらぬものを斬ってしまった
ただ、大半のバトルは銃を使うまでもなかったりします。本作はシンボルエンカウント方式であり、敵シンボルに向けて一発撃ち込んでから接触するとSPゲージが50%貯まった状態でバトルが開始されるのですが、そのゲージを使って固有スキルをブッ放せばそれだけで終わってしまうことも珍しくありません。というか、サムライガールYazawaが加入する中盤以降は悪・即・斬の1ターンキルが日常になります。やっぱKatanaは強えぇや。とはいえ、先制できないボス戦はそうもいきませんので日頃の鍛錬と装備の物色は怠れません。ザコ戦はサクサク、ボス戦はガッツリというメリハリ系の調整といえばそうですが、ちょっと極端な気がしなくもない。
プレイヤーの目にダイレクトアタック
本作の難点はいろいろとあるのですが、一言でいうなら視認性に難アリかと。まず画面フラッシュの頻度。エンカウント時に画面がフラッシュ、バトルが開始されるとまずMachikoのパッシブスキルでフラッシュ、続いてYazawaの紫電一閃でもフラッシュフラッシュ…、といった感じなのでなかなか目に厳しい。アップデート履歴を見るとこれでも抑えられたらしいのですが、正直まだまだしんどいです。ニュー・コザにはピカチューがいなかったのでしょうか。
それから画面の上下が暗くなっていることで敵シンボルが見えづらくなっているのもつらい。敵の位置はミニマップに表示されているとはいえ、先制できるかどうかが非常に重要なので、見えないところからぶつかってこられるのはストレスに感じやすいです。ギャングが陽の下を歩いてるわけがないと言われたらそうなのかもしれませんけど。
あとテキストの読みづらさ。オシャレでクールなフォントが採用されており、一見するといい感じに見えるのですが、実際にはちょっと読みづらい。せっかくの小粋なトークがテンポよく読めないのは勿体ない気がします。これもすでにアップデートで改善済のようなのですが…。一覧画面における装備品も読みづらいのですが、これはフォントというより名称の長さが原因でしょうか。なんにせよ、オシャレで格好よく、それでいて見やすく使いやすいデザインってのはムズかしいですね…。
ニュー・コザへようこそ
そんなわけで『Orangeblood』は描き込まれまくったドット絵を堪能しながら小粋なギャングたちの日常を楽しめるゲームとなっております。出会い頭のマフィアを撫で斬りにしつつ銃の物色に喜びを感じながらダイナーでタコスを頬張りましょう。ただし、目に厳しいところもありますので小休止をお忘れなく。