『Little Witch In The Woods』をクリアしたのでレビュー。本作は2022年5月より早期アクセスが開始され、2025年9月に正式リリースされました。正式版では新たなエリアとエンディングが追加されており、まさに完結編!って感じになっています。今回はその正式版をクリアしてエンディングを迎えてからのレビューとなります。小さな魔女としてのスローライフ、ガッツリ謳歌してきたぜ!
スローライフは自由であればこそ
『Little Witch In The Woods』は魔女見習いのエリーとして、ボロボロになっていた村を復興していくゲームとなっています。魔女としてできることは、ホウキに乗って森の中を駆けまわることと、素材を集めてポーションを作ること。炎や雷やビームなどは出ません。そもそも敵なんていないのでバトルもありません。平和です。

じゃあ退屈なのかといわれると、全然そんなことはありません。やるべきことは次から次に出てくるし、素材集めも一筋縄ではいかないからです。草を引っこ抜いたり小動物を追いかけるくらいのシンプルなものから、水をかけたり木から落ちたりモグラ叩きをしたりと、かなりバリエーションがあり、飽きさせません。場合によっては素材を取るために別のポーションが必要になることもあるので、素材集めのための素材集めになることも。退屈してる暇なんてないぜ。

でもそれってスローライフなの?と思われるかもしれませんが大丈夫、スローライフです。というのも、ほとんどの依頼に期限がないからです。依頼してくる人々は毎度のように「急がなくてもいいからね」と言ってくれるように、本当に期限がありません。締め切りに追われる日々よサラバ。ボクは自由だ! …とはいえ、急いではいけない理由もないので、高速のホウキでブッ飛ばして速攻で達成してしまってもかまいません。この自由こそが真のスローライフよ。

ストーリーもとても良いぞ
実はストーリーもいいんですよ。巨大なイバラによってほぼ廃墟と化してしまった村を復興し、戻ってきた住人たちと絆を深めていくハートフルな物語になっているのですが、そもそもどうしてイバラが発生したのか? もともと村にいた魔女はどこへ行ってしまったのか?…など、さまざまな謎を追う話にもなっており、先の気になる展開の連続なんですよね。なのでゲームを進める手が止まりません。スローライフとか謳歌してる場合じゃねえ! いや謳歌してもいいんですけれども。

そして、村を復興して住人たちと仲良くなっていくこと自体がストーリーに上手に組み込まれていることも見事。ゲームの内容とストーリーとが綺麗に合致しているんですよね。それがキャラクターのよさ、特に主人公・エリーの性格とも相まって、非常に心地よい物語を見せてくれます。これが魔女の力なのでしょうか。


ボリュームもあり
ボリュームはかなりのもので、ボクの場合はストーリーのクリアまで37時間ほどかかりました。メインストーリー以外の住人たちとのクエストも多少はやったとはいえ、ほぼ真っ直ぐ進めてもそのくらいかかったので、思った以上のボリュームです。

その上でやり込み要素もドッサリあります。家具を揃えて部屋をカスタマイズしたり魔女の作業場をアップグレードしたり、釣りに勤しんだり猫と仲良くなったり、とにかくたくさんです。特に猫! そこらへんにいる何十種類もの猫たちは決してランダムなモブではなく、すべて名前があり性格も異なり、それぞれに好感度があります。仲良くなれたらなんと家にお迎えもできる! もはや魔法とか関係なくただの猫好きになれるぞ! 猫サイコー。


テキスト量も膨大だが…
ゲームの内容もストーリーもとてもよいのですが、惜しいのは翻訳関連。日本語自体は悪くないどころかかなり良いんですけれども、頻繁にキャラクターの口調がおかしくなるんですよね。丁寧な口調の人が急にフランクになったり、不愛想な人が急に丁寧になったり。それから誤字もちょくちょくあるため、そのたびに「ん?」となってしまいます。あとフォントが日本語ではなく中国語系のフォント(簡体字のやつ)になっているのも日本人的には気になってしまうところです。惜しいぜ。
今のところ他にも不具合もいろいろあるようですが、正式リリース後も毎日のように修正パッチがリリースされており、爆速で改善中っぽいのであまり心配しなくてもよさそうです。開発者の皆様におかれましては本当にお疲れ様です。

おいでませウィステリア
そんなわけで『Little Witch In The Woods』は大変楽しめました。かわいらしいドット絵ビジュアルで描かれるハートフルなストーリー、スローライフを謳歌できるけど退屈する暇のないゲーム内容、そして猫。日本語の翻訳にちょっと惜しいところはあるものの、概ね隙のない作りになっているため、かなりの良作です。戦いの日々や締め切りに追われる日々に疲れた現代人にこそブッ刺さる世界がここにはあります。オススメ!
