あはじめて動画を見たときから気になっていた『The Unfinished Swan』。日本語版がリリースされているといまさら知ったのでプレイしてみました。
The Unfinished Swan | プレイステーション® オフィシャルサイト
真っ白な世界に黒い絵の具をぶちまけて風景を確かめていく。そんな動画に出会ったときから気になっていたのだけれど、ストーリーが重要そうなゲームで英語版はきついかなーと手を出さずにいた本作『The Unfinished Swan』。Game Watchで書かれたレビュー記事を見て、実は日本語版がリリース済みだったことを知り、さっそくプレイしてみました。
PS3ゲームレビュー「The Unfinished Swan」 – GAME Watch
非常に斬新な切り口でいままでになかった体験をさせてくれたゲームで、気になった人にはぜひ1度プレイしてもらいたく、この記事ではネタバレはしない方向で書きます。
『The Unfinished Swan』とは
The Unfinished Swan TGS 2012 PV – YouTube
動画にあるように、真っ白な世界に黒い絵の具を投げて、そこに何があるのかを見る。そして冒険していくのがゲームの内容になる。
けど、実はそれだけではなかった。ストーリーが進むにつれて、真っ白なだけではない世界を冒険していくことになるのだ。そこでは、黒い絵の具を投げるだけではなく、いくつかのアクションを駆使することになる。
クリアまでは2~3時間程度のボリューム。何度も遊ぶ人向けの収集要素もあるが、本作のポイントはなんといってもストーリーとその見せ方にある。
プレイヤーと主人公をシンクロさせる大胆な手法の連続
ゲームを開始すると、絵本のようなビジュアルでストーリーが流れる。で、そのまま見ていると…
えっ。
真っ白である。そこには何の説明もなく、チュートリアルもない。でも、こうなるととりあえずボタンを押してみたりするのが人間だし、それでわかるようになっている。よくわかって作られているのだろう。実に思い切った見せ方だと思う。
カットシーンかと思えば、いつの間にかプレイヤーが操作できる状態になっていた、という感覚は『バイオショック』の冒頭なんかでもあった。「えっ、これもうゲームはじまってるの?」という感覚だ。
わけのわからない世界に放り込まれた感覚をダイレクトに伝える手法だと思う。ストーリーがはじまった時点で、プレイヤーと主人公の少年の心は一体となっている。なんとも見事な見せ方だと思う。
こういった、プレイヤーの意表をつく見せ方は冒頭以外にも何度か出てくる。何をすればいいかは一切伝えないけど、何かしなきゃいけないのはわかる、という主人公の気持ちをそのままプレイヤーに持ってきているのだ。
押さえるところはキッチリ押さえたストーリー
実は、本作は真っ白な世界に黒い絵の具を投げるだけのゲームではない。ストーリーは4章構成になっており、真っ白な世界は1章に当たる。章ごとに違った雰囲気の世界を冒険することになるのだ。
2章では巨大で不思議な街、3章では真っ暗な世界が舞台となる。黒い絵の具を投げるだけではなく、ステージごとにちょっと違ったアクションが要求されることになる。後半になるにつれて謎解きも増えていく印象だった。といっても、それほど難解なものはなく、どんどん進めていける感じだ。
絵本のような世界観に牧歌的な、穏やかな雰囲気をイメージするかもしれないけど、クライマックスではきっちり盛り上げてくれた。プレイヤーの意表をつく演出の連続だが、盛り上げるところはちゃんと盛り上げてくれる、芯のしっかりした感じが非常に好感触。
そして4章は解明編ともいうべき内容になっている。パズルのピースがキレイにはまる感覚が味わえると思う。なので、プレイ後はすごくすっきりできる。「なるほどそういうことだったのかー!」と気持ちよくなれるのだ。
見せ方は変化球だけど、ストーリーの内容はしっかりとした直球なのかもしれない。直球がしっかりしているからこそ、変化球も活きているのではないだろうか。
3D酔いに注意
ボクは普段からFPSをよく遊ぶので3D酔いは遠い過去の話だったのだが、このゲームでは酔ってしまった。やはり、周囲を見渡そうとぐるぐるしてしまうタイプは三半規管に大ダメージのようだ。
3D酔いが平気だといっても、CoDやBFのようなシューターはともかく、OvlibionやFallout3では酔うこともあった。狭い場所でアイテムを探してぐるぐるしているときに酔いやすかった印象なので、同じような理由かもしれない。
まるで絵本の中にいるかのような素敵なビジュアルだけど、堪能しようとぐるぐるしすぎないように注意したほうがよさそうだ。
シンプルで美しい世界観
『風ノ旅ビト』もそうだったけど、シンプルだけど美しいビジュアルの完成度は素晴らしいと思う。1章の真っ白な世界は自分で絵の具をぶつけないと見えてこない分、余計に印象的だ。
どの章、どの場面をとっても、絵本的だったり絵画的だったり、キレイなビジュアルに仕上がっている。なんだかんだで、このビジュアルが気になったのなら、プレイする価値は十二分にあると思う。
最後にローンチトレイラーを貼っておきます。PSNで1200円、『DATURA』または『風ノ旅ビト』所有者なら1000円で配信中です。気になった人はぜひ1度プレイしてみてほしい。