『FF12』のHDリマスター版である『ザ ゾディアック エイジ』(以下、TZA)が発売されたので早速プレイ中です。「FF」シリーズのナンバリングタイトルはなんだかんだでやってきた(MMOの2作を除く)ボクですが、そのなかでも『12』は特に好きなんですよね。で、久々にプレイしてみると、あらためて実感できる「ガンビット」システムの逸材さ。ちょっとこれについて語らせていただきたく。
『FF12』のもっとも特徴的なシステムがこの「ガンビット」システムです。どういうシステムなのか、一言で説明するなら「AIを組み上げるシステム」です。例えば、目の前の敵に攻撃する、とか、HPが50%を切った味方にケアルをかける、とか、キャラクターごとに設定しておけます。これだけだと戦闘中に行うコマンド選択をあらかじめ選んでおくだけのように思われるかもしれませんが、それぞれの行動に優先順位をつけられるのがキモ。レイズによる蘇生を最優先に組み込んでおけば、普段は攻撃を繰り返し、いざピンチになれば即座に蘇生を実行するように立ち回ってくれる優秀な味方にできるわけです。
RPGにおけるAIといえば、言うことを聞いてくれなかったり、脈略のないマヌケな行動をとったりと、しばしば揶揄されることもあるのですが「だったらプレイヤーが自分で組み上げちゃえばいいじゃん!」というのが「ガンビット」なのです。もちろん、かしこいAIを作り上げるのはカンタンではありません。しかし、だからこそうまく組み上がったときの喜びがあるわけです。ボス戦などでピタリとハマって何の操作もしないまま撃破できたときの快感たるや、マジで痛快。あのときのゲームを完全に支配している気分は何物にも代えがたいんですよね。
もう1つ、「ガンビット」がおもしろいなと思うのは、このシステムが「FF」から出てきたという点。というのも、特に「FFⅦ」以降、カットシーンのムービーや召喚獣の演出など、ボタンを押すことなく見ているだけの時間が長くなり、そこが非難の的になることも多かった印象なのですが、そんな「FF」が、むしろ見ているだけの時間を攻略の到達点とするゲームをお出ししてきたわけですよ。プレイヤーが自らボタンを押さなくてもいい時間を作り出すために躍起になってAIを組み上げていく…、これまたなんとも痛快。
ともあれ、自分でAIを組み上げる「ガンビット」は非常に優れたシステムだと思うのですが、以後のゲームで追従する流れはあんまりなかった印象です。確かに、AIなんて”いい感じ”で動いてくれればそれでいいでしょうし、プレイヤーに組み上げさせようとするならどうしても複雑になりかねないからでしょう。だから人を選ぶゲームになってしまうのかもしれませんが、これだけゲームが多様化している現代なのですからそんなゲームがあってもいいと思うのですよね。そんなわけで、RPGに限らずAIに何かをさせるゲームであれば、『FF12』を参考にしてみてはいかがかと思うのですが、どうでしょう。
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