【デス・ストランディング】ノーマン・リーダスをオモチャにした週刊ゲーム日記

アメリカ横断の旅を始めました。小島秀夫氏の手掛ける新作『デス・ストランディング』はなんやかんやあって崩壊してしまったアメリカ合衆国を再建するため、運び屋としてさまざまな荷物を届けながら人々を”繋いでいく”ゲームとなっています。と言われてもどんなゲームかピンとこないでしょうけども、ざっくり言うと重たい荷物を背負って山あり谷ありの道なき道を転ばぬように旅していくゲームです。要はお使いです。そう言われるとおもしろくなさそうに聞こえるかもしれませんが、どっこいおもしろい。

DEATH STRANDING | ゲームタイトル | PlayStation

お使いといってもオープンワールドですからゴールまでのルートは無数に存在します。険しいけど最短のルートを行くか、平坦だけど遠回りをするか。平坦だと思っていたら思わぬ敵が潜んでいたりして何かしらのドラマが生まれることも。こういったナラティブな展開をさらに後押しするのがオンライン要素で、他のプレイヤーが設置したハシゴやロープなどが使えたり、ポストに残してくれた装備を使わせてもらえたりするため、プレイヤーによって違った体験をすることになりそうです。自分の設置したハシゴを誰かが使ってくれたと報告が入るたびににんまりできます。

誰かの置いたハシゴに自分のハシゴを繋げて川を渡る。これが本作の”繋がり”である。

とはいえ、お使いはお使い。このお使いの旅を辛くも楽しい体験に変えているのは圧倒的なグラフィックや音響による表現力によるところがデカいでしょう。雨の降る岩山で荷物のケースを傷つけられながらもなかなか歩みは進まず「なんでこんなしんどいことを…」などと考えてしまったり、その山を登り切って頂上から目的地を見下ろすタイミングで歌が流れだして「ああ…」とちょっと涙ぐんでしまったり。完全に登山です。や、登山したことないですけど。

登山を知らぬ者がなんか登山した気になれる体験がここにある。

この圧倒的な表現力は登場人物にも及びます。主人公・サムを演じるノーマン・リーダスほか、キャラクターは実在の人物でありほぼ実写です。髪の毛をみるとさすがにCGだとわかりますが、表情や身体の動きなどはもう本人ですね。現代の技術に驚きつつもリアルなノーマン・リーダスを操作できるとなればイタズラ心が芽生えてしまうというもの。どうにかしてオモチャにしてやろうと思うわけですが、そんなプレイヤーの気持ちを先読みしてか、彼をオモチャにできるアクションがたっぷり用意されているのが本作のいいところ。さすがです。

エナジードリンクを一気飲みするノーマン・リーダス。普通に飲んでくれていいんだけど…。

鏡の前で表情とポーズを決めまくってくれるノーマン・リーダス。

しばらく放置するとこちらに向かってウィンクしてくれるノーマン・リーダス。

トイレで用を足すノーマン・リーダス。

ゲーム中でも言われますがこのプライベートルーム、マジプライバシーゼロ。ちなみにトイレで用を足すのは無意味ではありません。『デス・ストランディング』のストーリーは人々を”繋ぐ”ための旅をするというものなのですが、その旅路を妨害するのは”見えない敵”なんですよね。なんだか現代社会の風刺を感じなくもない構図ですが、この”見えない敵”を撃退するための武器がうんちやおしっこから作り出したグレネードだというのだから堪らない。センス尖りすぎです。

そんなわけでストーリーの先も気になりまくりでガンガン進めたいのですけれども、荷物が重くてなかなか進めないジレンマに悩まされております。下手に転んで荷物を傷付つけようものなら信用にも傷がついてしまうでしょうから急ぐに急げないんですよね。プライベートルームではさんざんオモチャにしておいてなんですが、無様に転ぶノーマン・リーダスだけは見たくないものです。

現時点でのボクの評価はこんな感じ。鈍足すぎます。ピザや蕎麦は運べそうにありません。