【FTL: Faster Than Light】レビュー かわいいが手強いローグライク宇宙船シミュレーション

『FTL』は宇宙船の運用して「超光速」で銀河を駆け抜けるシミュレーション。ローグライクでランダムなイベントで毎回違った旅を体験できます。かわいらしい見た目とは裏腹に難易度は高めですが、ムズかしいからこそのおもしろさは確かなもので、高いリプレイ性が生み出されています。

FTL: Faster Than Light
Steam:FTL: Faster Than Light

2012年のインディーゲームとして数々のタイトルに選出された『FTL』。Steamのホリデーセールで安くなっていたので買ってみました。

スクリーンショットや動画を見てもイマイチおもしろさが伝わらないと思うのですが、一言でいうと『FTL』はローグライク宇宙船RTSです。1隻の宇宙船を運用して戦場を駆け抜けるのですが、発生するイベントはランダム。「こうすればOK」という答えのない中で、難易度もかなり高めになっています。

限られた人材と資材をフル活用し、それでもなかなか思い通りにいかないジレンマと戦い続けることになりますが、手塩にかけて育てた宇宙船がやられて爆散する様は涙モノ。ローグライクだからこそ、自分だけの物語に一喜一憂できるというわけです。

有志による日本語化MODが公開されているので、利用させてもらいました。フォントもかわいらしくて雰囲気も十分。非常にありがたいです。

日本語化 – FTL: Faster Than Light JP Wiki – Seesaa Wiki(ウィキ)

※追記
無料の拡張版である「Advanced Edition」配信後の日本語化MODはこちら。
【FTL】Advanced Editionも日本語化MOD制作が進んでいるようです 導入方法とか

宇宙船を強化しつつ銀河を駆け抜ける

ゲームを開始すると、まずは宇宙船を決めます。最初は1種類しか選べませんが、少しずつアンロックされて増えていきます。

FTL: Faster Than Light

宇宙船の内部はたくさんの部屋があります。操縦室、医務室、シールド制御、武器管制、酸素供給、エンジンルームと機能もさまざま。どの機能も宇宙での戦いには欠かせないものばかりです。

ステルス機能やドローン制御など、特殊な機能を最初から搭載したものもあります。

ただし、他の機能が脆弱でピーキーなので、バランスのいい初期の船が使いやすいですね。後々、ショップで拡張機能を買うことで新機能を搭載することもできます。

ゲームはすごろく形式のように宇宙を進んでいきます。それぞれのマスでどんなイベントが起こるのかはランダムです。

たくさんの場所を巡って少しでも稼いでおきたいのですが、あまり長くうろうろしていると、背後から敵軍が押し寄せてきます。敵勢力下に入っても即死というわけではありませんが、危険なことには変わりありません。1マス移動するごとに燃料を消費するため、できるだけ効率よく移動していきたいところ。

ランダムに発生するイベントは、敵との戦いだけではありません。星に立ち寄るかどうか、民間人の船を助けるかどうか、奴隷船の脅しに屈するかどうか。さまざまなイベントがあり、そのたびにさまざまな判断を迫られます。

どの選択肢も、正解が決まっているわけではありません。思わぬ収入があったり、被害があったり、バトルに突入してしまったり。毎回状況に応じて判断を下す必要があるのです。

イベントの種類もかなり多いようで、毎回違ったストーリーが楽しめます。自分の船の利益・損失に直結するのでスリリングな選択になりますが、これこそが本作の醍醐味の1つといっていいでしょう。なんとなくですが、ゲームブックを彷彿とさせるような雰囲気があります。

マップ上のゴールに到達すれば次のセクターへ。7つのセクターを通り抜けると、最後はラスボスの待つセクター8が待っています。

戦略的にも戦術的にも難しい宇宙船バトル

本作のメインとなるのは宇宙船同士の戦闘。船の機能と乗組員をうまく使って敵を沈め、自分の船を守ります。

敵船を攻撃するときは、敵船のどの部屋をどの武器で狙うのかを指定します。先にシールドを破壊するのか、武器を破壊するのか、酸素供給を奪うのか。戦術は相手によって変えなければなりませんが、毎回迷うことばかりです。

敵も同じようにこちらの船に攻撃を仕掛けてきます。被弾してダメージを受けた箇所の機能は失われてしまうので、乗組員を向かわせて修理させたりもします。

最悪、逃げるという選択肢もありますが、そのためにはチャージが完了しないとワープできない、というのも、いかにも宇宙船っぽくていいですね。

敵によっては、テレポーターで戦闘員を送り込んできたり、ビームで火災を発生させたりもしてきます。船内で暴れる敵に対してこちらの乗組員を向かわせたり、傷ついた船員を医務室へ移動させたり、船のハッチを開けて真空にして消化したりと、てんやわんやの対応を迫られます。

バトルが発生した場所によっては、アステロイドやプロミネンスにも晒され、さらに忙しく。

船を強化して機能を追加すれば、こちらも同じことができるようにもなります。こちらから戦闘員を送り込んだり、火災を発生させてやったりと、戦術の幅が増せば増すほど、どんどん忙しく、そして楽しくなってきます。

しかし、強化に必要となる「スクラップ」はいくらあっても足りません。限られた資材の中、どこを強化してどこを妥協するのかも判断しなければならないのです。

使える電力にも限りがあるので、医務室の電力供給を断ってシールドや武器管制に回す、なんてこともできます。こういうところは、なんだか船を運用している感があって燃えますね。

迷わせてくれる要素がいっぱいあるということは、それだけ選択肢があるということです。自分だけの物語が展開されるローグライクなゲームにとって、もっとも重要なポイントがキッチリクリアされているというわけです。なるほど名作。

RTSだけどポーズをかけてじっくり考えられる

『FTL』はRTS、リアルタイムストラテジーなので、戦況がリアルタイムに進行します。RTSならではの忙しい感じなのですが、あの忙しさが苦手な人もいるんじゃないでしょうか。というか、ボクがそうなんですけど。

しかし、本作はRTSでありながら、いつでもポーズをかけて一時停止ができます。ポーズ中にも指示を出すことができるので、慌てずにじっくり考えて判断していけます。

なんかズルいように思うかもしれませんが、公式に推奨されていたりします。堂々と利用しましょう。というか、使わないと生き残れません。

どれだけ手塩にかけて育てた船も、散るときは散ります。少しずつ強化を積み重ね、盤石と思われるほどに固めても、落ちるときは落ちるのです。

数々の死地を乗り越えてきた船には愛着すら覚えます。その船が爆散する瞬間の喪失感たるや相当のもの。

ランダムイベントとはいえ、自分の中にそこまで歩んできた物語がしっかりと形作られているからこそ、大きな喪失感も生まれるわけです。

とはいえ、このゲームは難易度Easyですらかなりのムズかしさです。一体どれだけの船と乗組員を宇宙の塵に変えてしまったのか。折れることなくリトライできるのは、喪失感を上回るだけの達成感や楽しさがあるからなのは間違いないでしょう。

そんなわけで、ムズかしいけどおもしろい宇宙船シム『FTL』。しみじみ遊んでいたら時間を盗まれてしまうので遊ぶ場合はご注意を。

FTL: Faster Than Light
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▶ FTL: Faster Than Light Trailer – YouTube

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