【ストライダー飛竜】レビュー 現代に蘇った飛竜はメトロイドタイプの探索型2Dアクション

2Dアクションの傑作が現代にリバイバル。
スピード感と探索という一見矛盾していそうな2つの要素を融合したアクションになってます。
やや粗い部分も目につきますが、それも含めての「飛竜」なんじゃないかと。

CAPCOM:ストライダー飛竜 公式サイト

「ストライダー飛竜」は1989年にアーケードで登場した2Dアクションゲーム。
その後、メガドライブをはじめ、さまざまな家庭用機にも移植されています。

今作は、初代からすると実に25年ぶり、さらにいえば、続編の「ストライダー飛竜2」が1999年でしたから、そこからでも15年ぶりとなる新作になっています。

今回、まったく同じタイトルで復活を遂げた『ストライダー飛竜』なわけですが、いわゆるHDリメイク的なものではなく、完全な新作になっています。といっても、旧作を意識したパーツが多く含まれているので、準リメイク、とでもいうべきものになっているように感じます。
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次世代機であるPS4とXbox One、それに現行機のPS3とXbox360でリリースされる本作ですが、今回ボクがプレイしたのはXbox360版。海外では日本よりも1週間先駆けて配信がはじまっていたため、一足お先にポチリ。海外版にも日本語テキストが含まれているので、ストーリー部分を楽しむにも支障はありません。

以下、難易度ノーマルでクリア後のレビューになります。
クリアタイムは5時間丁度くらいでしたが、何度も死んでいるので実際はもっとかかってると思います。

『ストライダー飛竜』ロンチトレーラー – YouTube

探索をメインにしつつスピード感を求めたアクション

飛竜といえば忍者的アクションと光剣サイファーなわけです。
敵の間を駆け抜けながら、光剣サイファーをシュンシュン振り回すカッコよさは変わらず。

ただカッコイイだけではなく、ダメージを受けずに攻撃を続けることでゲージが溜まり、一定時間パワーアップができる、という要素があるため、スタイリッシュな動きをすることがそのまま攻略に繋がっていたりもします。

難易度はなかなかの高さ。
序盤はゴリ押し気味でも突破できるので「ヌルゲーかな?」と思わせておいて、後半、特に終盤ではかなり厳しい状況が待っています。

壁や天井に張りついて移動できるという、2Dアクションでは反則な能力も相変わらずです。
といって忍者…じゃなくてストライダーですしね。

もちろん、飛竜の反則的な能力にあわせたステージのデザインとギミックになっています。

今回の「飛竜」は、2Dのマップを走り回って敵を倒しつつ、見つけたアイテムでパワーアップ、新たに手にした力を使って別のマップへ進行、という「メトロイド」的な内容がメインになっています。ステージクリア型ではなく、探索型になっている感じです。

といっても、節目節目にボスが出てくるのでステージクリア型と探索型の中間的な感覚かも。

飛竜は天井や壁に張りついて移動できるので、必然的に探索できる範囲が広くなっています。
マップもかなり広いのですが、目的地がマップ上に表示されるので迷うことはありません。
といいますか、必要なアイテム・能力がないと開かない扉、というカタチで行動範囲を制限されているので、迷いようがないんですよね。

迷ってウロウロすることがないので、探索型でありながらドンドン進めていけるわけです。
探索とスピード感は、そんな感じで両立されているのかな、と。

探索して得られるのが新たなスキルや体力アップなどのパワーアップアイテムなら探索意欲も高まるのですが、ほとんどがアートワークや設定資料のような、ゲームとは直接関係のないご褒美のため、いまひとつ意欲がわかない…、というか、探索しなくてもクリアに影響があまりない、ってことで、すっ飛ばしてしまえる一面もあるとは思うのですけどね。

良くも悪くもレトロなスタイル

ここから少し、本作の悪い点を書きます。

プレイヤーにストレスを与えるところが多いなー、というのが正直な印象です。
具体的には、画面外から弾を撃ってくる敵、先の足場が見えずに落ちていいのかどうかわからない場所、ダメージを受けた後の無敵時間の短さ、凍結弾からの凍結弾でハマりかける状況、等々。あと個人的にはダメージゾーンが青色なのが視覚的にも感覚的にも馴染めず…赤やオレンジじゃダメなんでしょうか。

どれもAngry Video Game Nerdが怒り狂いそうなポイントですよね。
彼がプレイしているのは正真正銘のレトロゲームですが、こちらは現代のゲームです。
過去作へのリスペクトやオマージュが含まれていたとしても、2014年のタイトルなのです。

最近のゲームはプレイヤーへのヒントの与え方が非常に上手になっていると思うんですよ。
昔のゲームであっても、うまくやっているソフトは多々ありますけども。

たとえば、罠が仕掛けられている場合、近くにいたマヌケなザコ敵が引っかかっているところを見せたりします。そうすると、プレイヤーは「オレはそんなヘマはしないぜ」と罠に挑み、突破できれば「やるじゃんオレ」と快感に変換していくわけです。

しかし、本作にはそういった作りがほとんど見受けられません。ダメージを食らった後に「えっ?これ罠だったの?」と気付くしかないのです。罠は見た目で気付けるからまだいいのですが、画面外から撃ってくる敵とか落ちていいのかどうかわからない穴は、そもそも見えないのですから、それ以前の問題です。回復アイテムがたくさん落ちているからいいじゃん、というわけではないですよね。

(罠の見せ方にだけ関していえば、実は上記のようにマヌケなザコ敵が引っかかってくれている場面はあるっちゃあるんですけれども。)

死んで覚えろとはよく聞く言葉ですが、死ななきゃ覚えられないのでは問題です。
ムズしいと理不尽は違うんです。
ミスの理由はプレイヤーの腕であると感じられるものはいいのですが、ゲームの作りのマズさからくるものだと、どうしても理不尽に感じてしまい、ストレスに変換されやすいのです。

理不尽なところも含めて、オールドスクールな空気を意図的に作り出しているのかもしれませんが、やや洗練されていない印象は否めません。レトロゲームっぽさは良くも悪くも、といったところでしょうか。

最近のゲームはぬるい!親切すぎる!という人にはいいかもしれませんが、そうでない人はそれなりの心構えをもって挑むことにしましょう。

と、ずいぶん苦言を呈してしまいましたが、これは1周クリアしただけの人間だからなのかも。
メトロイド的なわけですから、繰り返し遊んでこそでしょうし、周回するうちに、見えない敵も穴も把握できるようになって、壮快な世界が待っているのかもしれません。

ちなみに、PS3のパッケージ版にはPS1の「ストライダー飛竜1&2」も入っているそうです。
公式サイトによれば、「1&2」も後日PSアーカイブスとして配信予定だそうですが、いまのところ中古品でも意外と高いので、割とお得なんじゃないでしょうか。

ストライダー飛竜
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