【Watch_Dogs】レビュー すべてにおいてハッキングがカギとなる新感覚オープンワールドアクション

メインミッションをすべて完了してサイドミッションなどをぼちぼち消化しているところです。『Watch_Dogs』はシカゴを舞台にした箱庭系アクションで、スーパーハッカーである主人公のハッキングがキモになっている独特なプレイ感を生み出しています。

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サイドミッションをほぼ無視してメインミッションを最後まで一気に進めてみたところ、プレイ時間が17時間くらいになっていました。メインのストーリーを追うだけでもそのくらいなのですが、豊富なサイドミッションやオンライン要素など、すべて遊び尽そうとするならかなりのボリューム。やりはじめるとキリがないので、このへんでレビューを。

Watch_Dogs 豊富なミッション

ちなみに今回プレイしたのはPC版です。ボクの環境ではグラフィックの品質を最大にはできないので、記事中のスクリーンショットは次世代機版よりも劣っているかも。

ハッキングが攻略のカギとなる箱庭系アクション

『Watch_Dogs』は1stインプレッションで書いたとおり「スーパーハッカーが主人公のGrand Theft Auto」です。シカゴを舞台とした街で自由に行動しつつ、ハッキングがミッションを進めるカギになっているゲームです。

参考:【Watch_Dogs】1stインプレッション 箱庭系スーパーハッカーなステルスゲーム

そこらへんの自動車に乗って目的地まで移動してミッションを開始、ステルスや銃撃戦やカーチェイスを経てミッションクリア、という流れは「GTA」と同じです。このジャンルの主となる文法は崩していない感じ。なので、箱庭系アクション好きならすんなり入っていけるでしょう。

しかし、『Watch_Dogs』のキモはハッキングです。主人公のエイデンさんはスーパーハッカーなので、ギャングのような振る舞いで大暴れとかしません。できないこともないですけど。ともかく、ハッキングを使ったアクションがゲームの中で非常に重要なポジションを占めていることは間違いありません。銃1つで正面から突破も選択肢の1つではありますが、大抵の場合はハッキングを使った方が優位に立ち回れるようになっています。困ったらハッキングで打破できるといってもいいくらいです。

ミッションの多くはステルス系です。敵に見つからないように目的を達成するようなヤツ。壁や障害物に身を隠しながらじわじわ侵攻するのもいいですが、エイデンさんはスーパーハッカーなので外部から攻撃ができるのです。たとえば、まず監視カメラに侵入して敵の数や配置を確認し、周囲のモノや敵にハッキングを仕掛けて安全な場所から掻きまわし、敵の数を減らしたところで実際に侵入、といった具合。

ハッキングでできることは、クレーンを動かしたり車のアラームを鳴らすような悪戯から、配電盤を爆破して敵を殺傷することまで実にさまざま。こちらは遠く離れた安全な場所から慌ておののく敵たちを眺めているだけなので実に愉快です。突然動き出したフォークリフト相手に「脅かしやがってこのポンコツが!」とキレる敵を監視カメラからずっと高みの見物というわけです。実際はすかさず後ろから殴りにいくわけですが。

こういった侵入してる感とか、掌握してる感は『Watch_Dogs』独特の感覚でしょう。ステルスゲームといえば、こっそり隠れているドキドキ感なのですが、本作では遠隔操作でいたずらできるニヤニヤ感があります。

こうしてステルスで目的を達成した後は車で逃げるカーチェイスになることも多いです。「GTA」系のゲームといえばカーチェイスパートは外せないところでしょう。逃げる側にも追う側にもなるカーチェイスですが、『Watch_Dogs』ではここでもハッキング要素が攻略のカギになっています。

自動車を運転中にも信号機をハッキングして事故に巻き込ませたり、橋を開閉して敵を引き離したりとさまざまなアクションが可能になっています。運転しながらスマホはダメですよエイデンさん。ハッキングという強力な武器があるが故、敵の車の追跡はめちゃくちゃ厳しいものになっています。信号機や橋などハッキングできる場所へうまく誘導しないとカーチェイスが10分でも20分でも続いてしまうので、さっさと車から降りて銃撃戦で片づけた方が早いというケースも。特にパトカーからの追跡を振り切るのはほぼ無理なので、そもそも見つからないようにしないといけない感じになっていますね。シカゴの警察はアグレッシブすぎます。

ともあれ、こんな感じでとにもかくにもハッキング、というゲームになっているわけです。『Watch_Dogs』におけるハッキングアクションは、適当にくっつけられているだけの要素ではなく、ゲームの中核に深く切り込ませたカタチになっていますね。好き勝手に大暴れできる箱庭系とは一線を画したテイストに仕上がっていると感じました。

まだまだ発展途上を思わせる未完成なシステムも

ハッキングを駆使した箱庭系アクションとして、ひとまず完成した内容になっているのですが、プレイしていると開発者がやりたかったけどやれなかった部分も見え隠れしてきます。

たとえば、評判システム。プレイヤーの行動が人々からの評判に影響する、というシステムがあります。ランダムに発生する犯罪イベントで市民を助けたりすると評判が上がり、車で市民を轢き殺してしまうと評判が下がる、といったシステムです。エイデンさんの評判がよくなれば、街の人から通報を受けづらくなったりするようです。が、この評判の影響がちょっと空気かも。普通に遊んでいれば勝手に上がっていくので、存在を忘れてしまうくらいです。

評判を上下する基準も微妙かも。街行く人々の個人情報が丸見えな世界観であり、彼らにハッキングを仕掛けて口座からお金を頂戴することもできるのですが、相手が善良な市民でも札付きのワルでも、特に評判には影響しません。本来なら、悪いヤツからはお金をせしめる義賊っぽい方向性にしたかったのかもしれませんが、いまのところは特に影響なかったりします。

他にも、ストーリーの分岐とか。本作のメインミッションのストーリーは一本道のようで、分岐はしません。一見すると「あ、いまのシーンは分岐していたのかな?」と思えるシーンでも、実は分岐していなかったり。こういうシーンがあちこちにあるのは、おそらく当初は分岐させる予定だったのではないかと。とはいえ、17時間もかかるストーリーを分岐のために周回するのはちょっとキツイので、現状でよかったのではとも。

評判システムにしてもストーリーの分岐にしても、箱庭系やオープンワールドにおいてプレイヤーの行動が世界に反映されるシステムなので、非常に魅力的な要素であるのは間違いないでしょう。とはいえ、そこまでは作り切れなかった感がひしひしと伝わってくるので、次回作以降に期待したいところです。

次回作への要望なら、やけに使いにくい武器切替サークルUIとか、敵の近くでボタンを押すとテイクダウンより乗り越えが優先されてしまうとか、車に乗ってると上が見えないのでヘリをハッキングできないとか、細かい改善要望はいろいろあります。が、それは置いといて。

そんなに『Watch_Dogs』はハッキングを駆使した箱庭系アクションとしてひとまず1つの完成形を見せつつ、まだまだ伸びしろがありそうな感じになっています。未完成な部分も、それが未完成だから困るとか、おもしろさを削ぐとか、そういうわけではなく、まだまだおもしろくなれそうな将来性があるという意味で、次が楽しみなシリーズになりそうです。

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