【FF15】DLC『戦友』レビュー 故郷の誇りに4人でシフトブレイクできるオンライン共闘は相変わらずスタイリッシュだった

『FF15』のオンライン拡張『戦友』をガッツリ遊んだのでレビュー。このDLCは『FF15』の特徴である「シフト」を軸としたバトルシステムを使ってオンラインで4人共闘ができるゲームです。クリアするだけでも20時間近く遊べるボリュームがある上に、武器の強化を主とした育成システムも自由度が高く、やり込み要素もかなりのもの。バトルと育成の2本の柱がどちらもおもしろい良質な狩りゲーとなっております。

『戦友』は、本編のようなオープンワールドではなくクエスト制になっています。クエストを選んで目的地に飛んだらエリア内の敵を倒して帰ってくるのみ。移動パートはなく、純粋に「狩りゲー」化しています。敵からドロップする素材で武器を強化していくところもいかにも狩りゲーな感じ。強化のために何度も周回するようになるのもいかにもと言ったところ。

気になるオンラインですが、配信当初から今のところ(2017/11/22執筆時点)は盛況な印象で、クイックマッチすればすぐに集まります。まさに今が旬なので、やるなら今のうちかと。とはいえ、後日アップデートも予定されているようなので、一時的に減ったとしても盛り返しそうではありますけど。オフラインでもAIキャラクターを連れて遊ぶこともできますが、オンライン向けの拡張ですからオンラインならではの楽しさを体験していただきたいところです。

本編の空白期間と「キングスグレイブ」を繋ぐストーリー

『戦友』のストーリーは本編と繋がっています。舞台となるのは13章でノクティス王子が離脱している期間で、プレイヤーは劇場版「キングスグレイブFF15」に登場した王様直属の特殊部隊「王の剣」の生き残りです。なので、劇場版を見ていれば印象が大きく変わるでしょう。

戦いの目的は夜に覆われた世界を照らすため、電力を集めて各地に供給していくことです。クエスト報酬の電力を集めて次なるエリアに電力を供給すれば、新たなクエストが解放されていくようになっています。もちろん、最後まで進めればラスボスもいるしエンディングもあります。本編では描かれなかった期間と「キングスグレイブFF15」とを繋ぐ内容になっており、どちらも体験してきた人であればグッとくるものがあるのではないかと。

4人でシフトブレイクできるスピーディな協力バトル

FF15 戦友 シフトブレイク

今回『戦友』で久々に『FF15』へ戻ったのですが、再認識できたのは「シフト」を使ったバトルシステムの逸材さ。離れた敵の近くまで瞬時に移動して攻撃したら即座に離脱できるスピード感はやっぱり気持ちいい。共闘向けに少しアレンジされているとはいえ、基本は同じなのでプレイ感は本編に近いものとなっています。今回はシフトによるヒット&アウェイを4人でビュンビュンできるのだからそりゃあ楽しいというもの。実際かなり楽しいです。

もっともエキサイティングな瞬間はガードからのパリィ成功で発動する「シフトリンク」。スロー演出とともに敵が青くなったらボーナスタイム開始です。シフトリンク発動中はシフトブレイクの倍率がアップする上に、大型の敵もカンタンに転倒するのでやりたい放題になります。まさにスーパーシフトタイム。四方からシフトブレイクが飛び交う様は圧巻です。どんなに強い敵でもシフトリンクさえ発動してしまえばあっけなく倒せてしまったりするので、敵の攻撃を見極めることが攻略のカギになっています。

共闘を感じるのはやはり回復関連でしょうか。HPがゼロになるとピンチ状態となってよろよろと歩くことしかできなくなりますが、この状態の味方を助けるのもやはりシフト。味方にロックオンしてカッ飛んでいけば起こしてあげられます。もちろんケアルなどの回復魔法でも可。回復が間に合わず、ピンチ状態で攻撃を食らい続けると死んでしまいますが、食料を所持しておけば20秒後に復帰できます。食料は1つしか所持できないものの、そのへんに落ちているので拾い直せばOK。食料のない状態で死んでしまうといよいよクエスト失敗となります。が、それまでに拾ったアイテムは持って帰れるのでペナルティは軽め。強敵相手だと何度もピンチ状態になったりしますが、割かしゆるくてカジュアルです。

敵を狩ったら飯食って解散のお気楽オンライン

オンラインモードは、まずクエストを選択してクイックマッチかカスタムマッチかで接続し、キャンプで合流したらクエスト開始という流れ。クエストが終われば再びキャンプに集合して持ち寄った食材で料理を食べて解散となります。キャンプでもクエスト中でも定型メッセージとスタンプのみでコミュニケーションができますが、それ以上の手段はないため、ゆるい繋がりで気楽な感じです。個人的にはここがかなり気に入っています。

クエストには推奨レベルが表示してあるのですが、現状あまりアテになっていません。楽勝かと思えば大苦戦したり、逆に厳しいかと構えていたら楽勝だったり。おかげでレベルの高い人と低い人とが入り混じるカオスな状態になっています。…が、むしろそのおかげでどんなクエストにも気楽に入っていける状態になっていたりもします。開発側が意図したのかどうかはわかりませんが、いずれにしても遊びやすい環境になっていることは確かです。

気楽さでいうと、ガチガチな役割分担がないということもそうでしょうか。キャラクターのビルドでさまざまな育成方針はありますが、基本的に全員がアタッカーになるゲームなので「この役職がいないとクリアできない!」みたいなことはありません。みんなで敵をガンガン叩いて倒したら飯食って帰る。とってもシンプルで気楽です。この気楽さが周回プレイへと誘ってくれる要因の1つであることは間違いないでしょう。

ちなみに、今回も本編と同じく自動で写真を撮っておいてくれるシステムがあります。移動パートがないのでバトルの写真ばかりになりますが、そのぶんカッコイイ写真が撮られやすくなった印象。基本的に一期一会のオンラインなので、思い出として写真が残っていくのはいいですね。

自由度の高いビルドがやり込みの沼

キャラクタービルドの自由度は高めです。最初に設定するキャラクターの生まれ故郷によって攻撃タイプや魔法タイプになりますが、生まれの差よりも大きな影響があるのは武器です。武器は敵からドロップする素材アイテムを合成することで強化していけます。素材によって伸ばせるステータスが異なるので、攻撃に特化させたり耐性をバランスよく上げたりとさまざまなビルドが可能になっています。

武器にはそれぞれレベル上限があり、レベルがマックスになるまで素材を合成することができます。上限に達する前に武器ごとに設定されているステータスを規定値まで高めれば、上位の武器に進化して大幅パワーアップ。なので、できるだけ進化させたいところですが、上限に達してしまうとそれ以上の強化はできません。素材の経験値とステータス上昇値とのバランスを考えて育てていく必要があります。もちろん良質な素材はカンタンには集まらないので周回を重ねることになりますが、苦労に見合うだけの強さが手に入るのでやり込む価値は十二分。素材だけでなくレア武器がドロップすることもあるのですが、やっぱり強化してナンボなのでひたすら周回であります。

『戦友』には役職やジョブなどはありませんが、近いものとして「王の加護」があります。これは回復魔法の範囲を拡げる「癒しの光」や空中ステップを可能にしてジャンプ攻撃を強化する「飛翔の術」など、アクションにアクセントを加えるものになっています。加護によってステータスにかかる補正も大きいので、プレイスタイルを大きく変えることになります。

武器にしても加護にしても、後からいくらでも付け替えられるのでいろんなビルドを試せるのが楽しいところ。「物理攻撃主体だったけど魔法もやってみようかな」という場合も、魔法用の武器を作ればいいだけです。作ればいいだけ、といっても質を重視するならそれなりの労力はいるんですけれども。とはいってもキャラクターから作り直す必要はないのだから知れています。ここは本作のよいところですね。気軽にいろいろなタイプになれるからこそ、いろいろと作ってしまいたくなるのが人の性なのですが、そうなると沼です。

キャラクターの性能だけでなく、見た目も後から変更し放題なので「ずっとおっさんだったけどたまにはかわいい女の子になってみるか」なんてことも可能。ただ、育成の自由度とは違ってアバターの自由度はイマイチかも。というのも、顔や身体のサイズや形など設定項目は多いのですが、あまり無茶な変形はできず、衣装や髪型もそこまで多くはないからです。現状はオンラインで見た目が被ってしまうことも珍しくありません。顔や身体はともかく、髪型と衣装にもう少しバリエーションがあればパッと見の印象はかなり変わるでしょうから、アップデートでの追加に期待したいところです。

最大の敵はロード地獄

武器や素材を求めて周回するのはとても楽しいのですが、そこで問題になるのがロードの多さと長さ。このゲームはロードが非常に長い。シームレスなオープンワールドの本編をベースにしているためか、本編と同じくらいの長さがあります。しかもそれが多い。クエストを選択してからキャンプまでに長いロードが挟まれ、集合してからクエスト開始までもロードがあり、クエスト終了からキャンプに戻る際にもロード、そして食事を終えて街へ戻るときにも長い長いロード…。気づけば戦っている時間よりもロードが長いくらいになっています。DLCなのであまり多くを望んではいけないのはわかっていますが、さすがに厳しい。

※2017/12/12追記 アップデートでロード時間は改善されました。それでも長いっちゃ長いのですが、元の長さと比べれば許容範囲になっています。

ロードの長さを乗り越えてもいくつかのバグが立ち塞がっていることも忘れてはいけません。特によく発生するのが敵が出現しなくなるバグでしょうか。敵が出てこないのでクエストが進行せず、諦めるしかありません。参加者が何人か離脱すれば敵が出てくることもあるのですが…。長い長いロード時間を耐えた結果がバグで進行不可ってのは辛すぎます。回線落ちしてもプレイヤーがAI操作になって継続するのはギリギリ救いですけれども。

もう1つ、気になったのはUIの見づらさとわかりにくさ。攻撃や防御をあらわすステータスアイコンがわかりにくいのは本編同様なので今に始まったことではありませんが、今回はそれに加えて武器の進化に必要なゲージが非常に見えづらい。なんとなく遊んでいると見逃してしまうほどなので、もうちょっと目立たせてほしいものです。めちゃくちゃ重要な要素ですし。

目立たないといえば、レア武器ドロップ時も何かこうキター!感のある演出がほしいところ。いつの間にか拾ってて気づかないことが多いんですよね…。この手のゲームでもっともエキサイティングな瞬間なのだから、もっと主張してくれてもいいんですよ?

「王の剣」なら夜明けまで周回せよ

そんなわけでDLC『戦友』、ロード時間という最大の敵さえ我慢できれば非常に楽しい狩りゲーとなっております。本編のアクションが気に入った人なら楽しめると思います。単体のDLCとして2000円はお高く感じてしまうかもしれませんが、クリアするだけでも20時間ほどのボリュームがありますし、やり込み要素も十分。さらには今後アップデートでまだ追加が予定されているのだから、むしろ安いくらいかもしれません。個人的に何より気に入っているのはオンラインもゆるくて気楽なところ。あまりの気楽さにダラダラ周回を重ねてしまっていつの間にか時間が吸い取られてしまうことには注意しましょう。夜明けまでの戦士になっても現実には未来の王はいないのですから。それでは、故郷の誇りに。

http://www.jp.square-enix.com/ff15/dlc/online/

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