【Wizard of Legend】レビュー ハイスピードな魔法のコンボで挑むダンジョン探索アクション

ランダムなダンジョンを魔法で戦いながら進むアクションゲーム『Wizard of Legend』をクリアしたのでレビューなど。本作の特徴は、魔法で戦うということ。それから、魔法バトルはめちゃくちゃスピードがあるということです。また、スタート時点で魔法やアイテムを選んでダンジョンに持ち込めるのも大きな特徴でしょう。ハッキリ言ってかなりムズかしいゲームなのですが、プレイすればするほどカスタマイズの幅が拡がっていくため、何度死んでも新たな魔法を試したくてついついダンジョンに赴いてしまう”魔力”があります。

本作は2人での協力プレイや対戦にも対応していますが、このレビューではシングルプレイについてのみ書いていきます。だって「協力プレイ(ローカル)」なんですもの…。

ランダムなダンジョンに挑むなら準備は万端に

『Wizard of Legend』はダンジョンに入る前に拠点で準備するところから始まります。ここでダンジョンに持ち込む魔法やアイテムを選べるのが本作の大きな特徴です。拾った装備だけで出たとこ勝負!というわけではないのです。

選べるものは魔法4種とレリックと呼ばれるアイテムが1種、それから着ていくマントも。まず魔法4種の内訳ですが、1つは接近戦用の通常攻撃、1つは短距離高速移動のダッシュ、残りの2つが攻撃や補助に使う魔法となっています。レリックはさまざまな効果を持つアイテムです。攻撃や防御を高めるものから自動で援護してくれるものまでバリエーション豊富。マントは主にステータスの補強で、こちらも攻撃や防御、体力やクリティカルなどを強化する性能になっています。

もちろん、組み合わせにはシナジーがあったりなかったりします。たとえば、氷の魔法で凍らせたところに最大チャージの電撃を叩き込むとか、竜巻で巻き込んで敵をひとまとめにしたところにファイヤーボールをぶちかますとか、クリティカルを当てれば回復するレリックとクリティカル率を上昇させるマントの組み合わせとか。拠点には練習用のカカシが設置されているので好きなだけ試行錯誤ができます。これだけでもかなり楽しいんですよね。とはいえ楽しいだけでなく、ここでのセットが戦い方の基本方針を決めるため、めっちゃ重要です。

ゲーム開始当初に選べる魔法やレリックの種類は限られていますが、周回を重ねるたびに増えていきます。ダンジョンで拾った魔法やレリックは持ち帰れませんが(※ボスドロップの魔法は例外)、拠点で購入したものは失われることはありません。お金を持ち帰れないのにどうやって買い物をするのか?というと、実は本作には通貨が2種類あり、1つはダンジョン内で買い物をするためのお金、もう1つは拠点で買い物をするためのカオスジェムです。このカオスジェムはお持ち帰り可なんです。

カオスジェムはお金よりも貴重なのででなかなか貯まりませんが、ダンジョンに1回潜れば魔法の1つや2つ買えるくらいは稼げます。なので、毎回セットを更新できるというわけです。ダンジョンから戻ってきたらその稼ぎで新しい魔法を買い、「これはアレと組み合わせたら強いかも!」とカカシ相手に試したら「よし、実際にやってみよう」とダンジョンに赴いてしまう…、これが『Wizard of Legend』のプレイサイクルです。新しい力を試さずにはいられない、これが魔法使いのサガなのでしょうか。

ちなみに、拠点で売り出されている魔法やレリックもランダムですが、どうも完全なランダムではない模様。売り出されている商品を買い尽くせば最初のうちには見かけなかった商品が出てくるようです。つまり、買える順番はある程度決まっているということですね。後から追加されていくのは単に強いアイテムというだけでなく、ややピーキーな性能をしたものが多い印象でしょうか。なんにせよ、いきなり大当たりを買ってラクラククリア、とはいかないようです。

さて、拠点で準備を済ませたら、いよいよダンジョンでカオスの試練に挑みましょう。

魔法の戦いはハードでハイスピード

バトルは「クールタイム制の魔法」と「短距離を一瞬で移動するダッシュ」を軸としたアクションになっています。

魔法は1度使うと一定時間のリチャージが発生するクールタイム制です。クールタイムの長さは魔法によりけり。最初から持ち込める魔法2種類のみですが、ダンジョン内で入手できれば追加で2種類セットできます。つまり、同時に4種類の魔法を使うことができます。(さらにもう1種類をストック可) 手持ちの魔法が増えれば絶え間なく攻撃を続けることも可能ですが、それだけ操作も忙しくなります。とはいえ、ここが魔法使いとしての腕の見せ所。あらかじめ用意してきたセットの戦術に追加の魔法を組み込めるかどうかが攻略のキモです。

攻撃をガンガン当て続けることでゲージが溜まり、最大まで溜まると強化版の魔法を撃つこともできます。強化版は超必殺技のような位置づけなのでどれもめちゃんこ強いです。ただし、ゲージは自然に減っていくため、いかに短時間で攻撃をたくさん当てられるかがカギ。コンボを繋げばゲージも溜まって爆発的な火力を生み出せますが、うまく繋げられなければ火力不足でジリ貧にもなりかねません。シナジーのある組み合わせでコンボを決めればボスでさえも一瞬で沈められるので本当に気持ちいい。

次にダッシュ。本作のダッシュは一定距離を一瞬で移動するタイプになっています。一見すると回避アクションのように見えるかもしれませんが、実は無敵ではないので緊急回避には使えません。あくまで敵との距離をとるための手段と考えた方がよさそうです。(ちなみに回避に無敵を付与するレリックも存在します) ビュンビュン移動できて気持ちいいのですが、敵もそれについてくるほど速いので割と必死。特に後半ステージでは瞬間移動並みの速さで動き回られるのでもう大変。このゲームスピードが難易度を押し上げている一因であることは間違いありません。マジで速いです。

もう1つ、難易度を上げているのは攻撃を食らった際の無敵時間の短さです。被ダメージ時の無敵時間はあってないようなものなので、1発食らうと連続で殴られてボコボコにされたりします。あんなに順調だったのに、HPはもう瀕死の色…なんてザラ。(※瀕死でHPゲージの色が変わったりしません) ついでにいうと、魔法も発生前に攻撃を食らうと潰されてしまうことがあります。もちろんクールタイムはしっかり発生。なので、強引な突破は徹底して許されていません。割とストレスの溜まる仕様ではあるのですが、被ダメージ時の無敵時間を延ばしたり魔法が中断されないようになったりするレリックも存在しているため、開発者の意図どおりの調整なのでしょう。どんなに魔法やレリックが揃っていても死はいつも隣にいるよ、と。

カオスの試練は運だけじゃない

ダンジョンは炎、氷、大地の属性をモチーフとした3つのエリアからなっており、そろぞれのエリアの最後にはボスが待ち構えています。3つのエリアの順番はランダムで、同じエリアでも後になるほど難易度が上がっていきます。たとえば、同じボスでも1人目として出てくる場合は大したことはありませんが(それでも慣れないうちは強いけど)、3人目となると攻撃の種類が増えているうえに隙を晒す時間も短い最強モードでの登場になります。わかる人にわかりやすく言うならば、彩京製のシューティングゲームみたいな感じ。といっても、3つのエリアの後はラスボスを残すのみなんですけれども。

ダンジョンの1つ1つのフロアはランダムに生成されていますが、すべてがランダムというわけではありません。たとえば、どのフロアでも必ず3種類のNPCが配置されています。そのうち2人は魔法のショップとレリックのショップで固定。他の1人は魔法のシャッフルとか呪いのレリックとか、ちょっと変わり種のNPCが混ぜられています。

魔法やレリックは敵のドロップや宝箱などでも拾えるのですが、そういったケースはなかなかありません。ですが、ショップは確実に出会えます。フロアをくまなく探索していけば、お金は貯まるしショップで買い物もできる。そうして着実に強化していけます。もちろん、ショップに並ぶ商品はランダムなので多少の運は絡みます。が、魔法のラインナップは手持ちの魔法の強化版が売り出されやすいようなので、完全に運というわけでもなさそう。やっぱり最初のカスタマイズが重要なんですよね。それよりもショップでは商品の説明がないため、買うまで効果がわからないってのが困りもの。プレイヤーがあらかじめ効果を把握しておかないと買い物がギャンブルになってしまうのはいかがなものかと。

NPCだけでなく、フロアのレイアウトも完全にランダムというわけではありません。フロア内の部屋と部屋のつながり方はランダムのようですが、部屋そのものはランダムではないようです。というのは、この部屋にはこの敵、あの部屋にはあの敵、って感じで部屋ごとに敵の配置が決まっているからです。もちろん、同じ部屋でも敵の配置は数パターンあったりしますし、後半ステージになれば配置される敵も強くなっていたりもしますけれども。

ともあれ、何度もプレイしていればだんだんと覚えていけるので、部屋を見た瞬間に対処法もわかるようになってきます。この部屋はアイツから倒そうとか、真ん中より端で戦おうとか。ランダムでありながらもある程度はパターン化による攻略が可能となっているんですよね。やり込みは裏切らない。そうはいってもクリアを目指すならやっぱり”当たり”の魔法やレリックを引けるかどうかも大事です。このあたりのランダムに左右される部分とプレイヤー自身のやり込みによる部分の比重は絶妙だと感じました。

さぁ新たな魔法を試してみよう

そんなわけで『Wizard of Legend』は、いわゆるローグライク的なゲームでありながら運要素はやや控えめ、代わりに魔法やアイテムで好きにカスタマイズして攻略していくゲームとなっております。魔法やレリックを新しく手に入れるたびに次なるカスタマイズを考えて試すのがどんどん楽しくなってくるし、実戦で試してみようとダンジョンに入ればまた次なる魔法やレリックが手に入ってしまう。そうするとまたしても新しい組み合わせが可能になって…、というプレイサイクルが見事に形作られています。これこそ魔法が生み出すシナジーなのでしょうか。というわけで、次はどの魔法を使おうかなぁ。

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