『Dragon Marked For Death』はオンライン共闘に対応したアクションRPGです。ドット絵の2Dアクションにハック&スラッシュ要素、さらにマルチプレイもあり。最高じゃないですか。開発は2Dアクションに定評のあるインティクリエイツ、となれば期待が高まるというもの。
実際、プレイ感は同社製のアクションらしさがあってかなり良い感じ。ですが一方で、RPGやハクスラ要素その他もろもろの細かいところに問題も散見されます。アップデートも予定されているとはいえ、発売直後の現状では粗削りな印象かも。
4人のキャラクターで楽しさ4倍
本作は4人の異なる性能のキャラクターを選んでスタートします。皇女はソードによる近接攻撃とショットによる遠距離攻撃を備えたスタンダードタイプ。戦士は溜め攻撃による重たい一撃とガードによる防御が可能なパワータイプ。忍びは空中ダッシュや壁蹴りができる高機動なスピードタイプ。魔女はボタンの組み合わせで様々な魔法を発動できるテクニカルタイプとなっています。選ぶキャラクターによって全然違ったゲームになるのが本作の特徴といえるでしょう。ちなみに、ダウンロード版では皇女・戦士と忍び・魔女がそれぞれ分割されているので注意。
ボクはアクションに自信がないのでシンプルで使いやすそうな皇女にしたのですが、シンプルであるが故に自力を問われるため、実は初心者向けではない気がします。忍びの方がよかったかなぁ。
物語は薄味
ゲームの進行はクエスト形式になっています。酒場でクエストを選んで出発し、ボス討伐なりアイテム入手なりして目的を達成すればまた次のクエストへ、といった流れです。ストーリー的には、プレイヤーの故郷を滅ぼした憎き聖王に謁見するためには名を上げる必要があるのでいっぱい仕事をしよう、という展開になっています。なので、メインのシナリオに直接関連するのは最初と最後のクエストだけ。その間は雑務です。全体を通して龍血の一族として忌み嫌われつつも人々を助けていく…、というヒロイズムが描かれているのですが、いかんせん薄味な印象は否めません。フレーバーってやつでしょうか。
導線やUIに難アリ
ともあれ、クエスト形式で進行するわけですが、最後のクエストのみ発生条件が特殊になっています。普通のクエストは他のクエストをクリアしたり街でNPCの話を聞いていれば発生するのですが、最後のクエストだけはメインクエスト中の”FLAG”を立てなければ発生しません。条件はさまざまで、たとえば特定の進行ルートであったりクエスト中にいるNPCとの会話だったりします。
しかし、そもそもこのFLAGがなんであるのかの説明は一切ありません。さらに問題なのは、クエスト一覧画面だとまるですべてのクエストにFLAGが存在するかのように見えてしまうところ。正直この画面ではどれがメインでどれがサブなのかもわかりません。ボクも「各エリアの最初のクエストがメインで、そこにしかFLAGは存在しないのでは?」と気づくまでに時間がかかりました。これはUIの問題だと思うのですが、ちょっとひどくないですか。
UIの問題はこれだけではありません。たとえば装備。最初のクエストを終えて街に戻り、拾った武器を装備しようとメニューから「装備」を選んでもダメなんですよね。メニューにある「装備」は、すでに装備している2種類の武器を持ち替えるというだけで、所持品から武器を選んで装備するものではないためです。所持品から装備を変更したい場合は宿屋へ行く必要があるのです。えぇ…。ちなみに宿屋でのメニューでも名称は「装備」です。どうして同じ名称で違う機能を実装しちゃうんですか。どうして…。
他にも、カメラのズームで見えたり見えなかったりするものがあることを利用した謎解き要素もあるのですが、これも気づきにくい。いろいろとプレイヤーの誘導があんまりうまくいっていない印象です。
ようこそオンラインへ
さて、本作最大のウリはなんといってもマルチプレイです。オンラインで最大4人まで協力してクエストに挑むことができます。性能の違うキャラクターが強みを活かして役割分担するもよし、全員で火力を集中させてゴリ押すのもよし。シングルではあんなに苦労したボスがあっという間に沈められていく様はなかなか爽快です。
というか、火力不足になりがちな序盤は敵が総じて硬く、それでも倒しながら進もうとすれば時間がかかりタイムアップ…、ということも珍しくありません。このあたりの調整は開発陣の「早くオンラインやってね」というメッセージでしょうか。初心者のうちは「まだ慣れてないし…」「ヘタクソだし…」などと遠慮がちになってしまうものですが、序盤こそオンラインで進めましょう。ある程度レベルと装備が整ってくるとシングルでも進めやすくなるので、まずはオンラインへ行くことを強くオススメします。
オンラインの環境は一部のクエストでややエラーが出やすいかな?というくらいで概ね快適です。マッチングも発売直後ということもあってか盛況なようで、人が集まるまでさほど待つこともありません。すでに満員の部屋やクエストに出発した部屋、それから自分の解放していないクエストや難易度の部屋は一覧に表示されないため、一見すると部屋がさっぱり立っていないように見えても実は盛況だったりします。
ただし、この盛況ぶりがいつまで続くのかはやや疑問が残ります。というのも、周回のキモであるトレジャーハント要素に問題があるからです。
トレジャーハントにも難アリ
クエスト道中のザコ敵からドロップするアイテムはその場で使うアイテムと小銭だけ。おまけに経験値も雀の涙。価値のある装備品などは主に道中とボス戦後の宝箱から入手することになります。となると、ザコ敵はスルーして宝箱を開けつつボスまで駆け抜けるゲームとなるわけです。これ自体はスピード感もあって悪くないと思うのですよね。周回しているとだんだん気持ちよくなってくるし。
問題はドロップテーブルにあります。オンラインで部屋を立てて周回していると気づくのですが、毎回拾えるアイテムが似通ってくるんですよね。アイテムだけでなく、ボスの配置がランダムなクエストでは配置が固定になったり同じ宝箱が毎回ミミックになったりします。一旦ルームを解散して立て直すと拾えるアイテムやボスの配置が変わるのですが、果たしてこの仕様は意図的なのが不具合なのか。いずれにせよ、解散を挟むことになるので周回には向きません。
※2019/2/18追記
上記のドロップテーブル固定の仕様はVer.1.1.1にて修正されたようです。
問題はもう1つあります。装備の性能や付与されているボーナス値が武器ごとに固定になっていることです。性能にまったくバラつきがないんですね。だから目当ての装備を1回拾ったらゴールインです。性能にバラつきがあれば、ドロップごとに一喜一憂し、よりよい一品を求めて周回することになるはずなんですが、本作ではそうはなっていません。極レアの一発ドロップのみとなると装備の更新頻度も下がるため、周回におけるプレイ毎の変化もなく、どうしても飽きやすくもなってしまいます。マルチプレイゲームの寿命という観点では致命的ではないでしょうか。
それでも旬にやってこそのオンライン
そんなわけで『Dragon Marked For Death』はインティクリエイツ製の2Dアクションにハクスラ要素をプラスしたマルチプレイゲームになっております。スピード感のあるアクションや歯応えのあるボス戦、楽しいマルチプレイなど好感触なところも多い一方、トレジャーハント要素やUIなどの問題も散見されるため、どうしても粗削りな印象は否めません。今後アップデートも予定されているようなのでどう変わっていくか期待したいところです。とはいえ、現状でもオンラインの共闘は楽しいですから旬のうちに美味しくいただいておくことをオススメします。周回するうちに各人の動きが最適化されて無言の連携が生まれていったり、最初は苦労させられたボスを瞬殺できるようになったり、ハチャメチャできて楽しいよ!
売り上げランキング: 314