【オクトパストラベラー2】レビュー

『オクトパストラベラー2』をクリアしたのでレビュー。前作が大好きだったので迷わず飛びついたわけですが、今作も最高でした。前作が気に入った人ならまず間違いなくオススメ。続編ですが前作と同じ世界の別の大陸が舞台となっており登場キャラクターも一新されているので、前作未プレイでも大丈夫でしょう。今作はゲームの基本となる部分は変わらず、いろんなところが改善された正統進化な続編となっています。元が良かったんだからさらに良くなればそりゃあ最高ってわけです。

公式サイト:オクトパストラベラーⅡ | SQUARE ENIX

さらに進歩した「HD-2D」

「オクトパストラベラー」といえば「HD-2D」で描き出される独特のビジュアルです。どことなくレトロでノスタルジック、でも過去のどのゲームとも違う、新しいスタイルの表現でした。前作のときも第一印象から「最高のビジュアルだな!」と思っていましたが、『2』ではさらに美しくなった印象です。パッと見は同じように見えるかもしれませんが、並べて見比べるとけっこう違います。前作は道がちょっとカクカクになっていたりして、ややわざとらしいレトロ調だったのですが、『2』ではそういうのがなくなって垢抜けた感じでしょうか。とにかくめちゃキレイです。

▲夜の都会の雰囲気は最高。産業革命前夜くらいの時代設定です。
▲前作よりもさらに作り込みを感じる町並み。情報量が増えてます。

ただ、周辺減光(画面の四隅を暗くするやつ)はやりすぎな気もしました。今回PC版でプレイしたのですがデフォルト設定だと周辺減光がキツすぎて画面の隅が真っ暗になりがち。特にバトルで1番右のキャラクターが真っ暗で見えなくなってしまうのは問題かと。周辺減光は明るさとは別にゲーム内の設定で変更が可能なので、自分の環境と好みに応じて設定するのがよさげです。

別の大陸、別の旅人たちの物語

冒頭でも書きましたが、今作の舞台は前作とは別の大陸。登場するキャラクターも一新されており、直接の繋がりはありません。なので、前作を未プレイでも大丈夫です。一応、世界そのものは同じなので宗教とか神話とか共通点はありますが、知らないからどう、ということはないです。ただ、いろいろな面で改善されて快適になっているため、『2』をやった後に『1』に戻るとやや不満を感じてしまうかも…、という懸念はあります。それだけ今作が良くなっているということなので、こればっかりは仕方ないですね。

▲場所も火とも違うけど、同じ世界なので聖火教やエルフリックの神話などは変わらない。

背後に蠢く影を仄めかすストーリー

ストーリーについては前作からいろいろと改善が見られます。ここが1番変わったところかもしれません。改善といってももともと面白かったんですけども、今回変わったのは「全体のストーリーの見せ方」と「キャラクター間の描写」との2つですね。

▲まるで推理ミステリーのような神官・テメノス編。刑事ドラマっぽさもあるかも。

8人の主人公から1人を選んで開始するのも、道中で選ばなかったキャラクターを仲間にするのも、結局全員分のストーリーを見ていくのも変わっていません。が、今作ではその過程で各ストーリーの繋がりが仄めかされるような展開が埋め込まれています。8人それぞれの独立した物語を通して、その裏にいる黒幕や世界全体のストーリーを感じられるようになっているんですよね。なので、「今の〇〇ってあっちの話に出てきた△△と関連が…?」みたいな疑惑を胸にストーリーを楽しむことができます。

前作は本当に最後の最後、真ボスの直前まで各ストーリーの繋がりが見えにくい作りでしたからね。だからこその面白さもありましたけど、人を選ぶ作りだったのも事実。なので改善されたと感じます。あと今回はキャラクターのストーリーを終えるたびにスタッフロールは流れなくなったので、1人か2人のストーリーを進めただけで旅が終わったと勘違いすることも減るんじゃないかなと。

▲前作では希薄だったキャラクターの関係性。今作は改善されてます。

こうしたストーリーの果てに挑むラスボス戦は圧巻。ネタバレなので何も書きませんが、超ウルトラ激アツバトルなので『オクトパストラベラー2』をプレイするならぜひとも最後まで見届けてほしいところであります。マジで激アツなので!やって!!

どのストーリーも面白いぜ

今回の各キャラクターごとのストーリーは一律4章構成ではなくなっています。キャラクターによっては1つの章が〇〇編・△△編みたいに分割されていたり、3章で終わる人もいれば5章まである人もいたり、バラバラになっています。ボリュームは概ね同じくらいだと思いますが、場合によっては1つの章にボス戦以外のバトルがないとかボス戦どころかバトルが一切ないとかもあり、なんだか自由な構成になった感じ。

シリアスもあればコメディもあり、推理ミステリーのようなものまでバリエーション豊かなので、辛いものと甘いものを交互に食べている感覚といいますか、とにかくずっと楽しい! サブクエストも含めるとサスペンスからホラー染みたものまで、本当に幅広く詰め込まれています。

▲田舎町からスターを目指す踊り子・アグネア。登場人物が個性派ぞろいで愉しい。
▲監獄島の脱出から始まる学者・オズバルドは序盤からドラマチックな展開の連続。

各章のボリュームは30分~1時間くらいなので、忙しい現代の人々にも安心。止め時がないのではなく、止め時がそこそこの間隔でやってくるので遊びやすいんじゃないかなと。実際にプレイすると続きが気になってどんどん続けちゃったりするんですけどね! 参考までに、ボクはエンディングを迎えるまで80時間近くかかりました。セリフの音声は飛ばさずバトルは2倍速、サブクエストもほぼ消化しきってそのくらいのボリュームということです。

キャラクターの関係性を深める「クロスストーリー」

今回は2人のキャラクターによる「クロスストーリー」も追加されています。これはそのまんま、2人のキャラクターが直接かかわるストーリーですね。前作では一緒に旅をしている体だけどストーリー的には特に関わらなかったキャラクター同士ですが、今作では直に繋がるわけです。2人ずつ計4組みなので全員が全員とかかわるわけではありませんが、それでもあるとないとでは大違い。やはり関係性って大事です。

▲クロスストーリーの内容も全体のストーリーに深く絡んでいる。

また、バトル中のボイスによる掛け合いも追加されています。仲間がピンチに陥れば名前を呼んだり、回復や支援を受ければ礼を言ったりするようになりました。これによって各キャラクターの印象も深まります。個人的には盗賊・ソローネのボイスが印象的。彼女のストーリーは思い切りシリアスなんですがバトル中のボイスは意外と軽いノリだったりするんですよ。関係性もさることながら普段と違った一面(というかこっちが普段か)が伺えるのもいいですよね。そうそう、バトル中のボイスといえば、ボス戦においてフルブースト時にそのバトル専用と思しきボイスがあったりして本当に凝ってます。

音のバランスにはちょっと不満も

ただ、ストーリー中のボイスで一部やけに聞き取りづらいことがあるのは難点かも。ボイスと音楽とのボリュームのバランスが悪いように感じます。小声でしゃべっているような場面は特に聞こえません。声優さんの演技も音楽もどちらも素晴らしいだけに、ちょっと残念なポイントです。あと各章の最初と最後などに挿入されるモノローグのボイスも行間の”間”が一切なくなっている感じでなんか妙でしたね。どうして…。

▲小声のシーンにBGMが被るとマジで聞こえません…。

昼と夜で楽しさ2倍

ここからはゲームシステムについて。今回の新要素として昼と夜が切り替わるようになりました。なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、いやいやちょっと待ってください。本作においてはかなりインパクトのでかい追加なんですよ!

本作の特徴である「フィールドコマンド」は今作でも健在です。単に話しかける以上の情報を「聞き出す」とか、持っているアイテムを「盗む」とか、「試合」を仕掛けてタイマンバトルをすることまでできます。今作ではこのフィールドコマンドが昼と夜とで変わるようになりました。1キャラクターにつき昼用と夜用の2つのコマンドを所持するようになり、たとえば剣士・ヒカリは昼は「試合」ですが夜は「買収」になり、お金で情報を聞き出すコマンドに変化します。

▲昼と夜とで変化するフィールドコマンド。似た効果でも使い分けが重要です。

ここで重要なのは昼と夜の変化であり、村や町にいる人々は昼と夜とで変わるんですよね。だから「聞き出す」コマンドで情報を得ようとしても、夜にしか出現しないNPCには使えないので夜用フィールドコマンドの「買収」や「暴く」が必要になるわけです。NPCによっては出現する場所が変わるだけの場合もありますけど、昼と夜とで町の様相が変わるわけですから探索ボリュームが実質2倍のようなものです。何気に凄まじいボリュームアップなんですよね。だからインパクトのでかい追加なんです。

ちなみに本作の昼夜の切り替えはワンボタンです。ボタン1つでいつでもポロンと切り替わります。マジかよ。もちろん歩き回っているうちに時間が経過して切り替わったりもするのですけど。あと昼と夜とで音楽も変化します。町でもフィールドでも昼版と夜版のBGMがあるんですよね。さらにはタイトル画面にまで昼と夜とがあったりする。もちろんBGMも変化する。マジかよ。おかげでサントラはすごい曲数になっています。すごい。

いざ海へ! …海?

他にも船やボートも追加されてます。フィールドで船着場からボートに乗って探索できるようになりました。また、中盤に手に入る船ではワールドマップを移動できる感じです。ただ、海といっても2つの大陸の間だけなのでそんなに広くはないです。なので大海原に繰り出すような開放感はなく、ゲームとしてはフィールドが1つ追加されたなってくらいの印象です、ハイ。

▲船に乗れるけど内海なので大海原に繰り出す開放感はないかも。

基本は変わらず、だからこそ面白いバトル

次はバトルについて。新要素もありますが基本は前作と変わっていません。すなわち「ブレイク」と「BP」ですね。弱点をついてシールドを削ってブレイクさせたらブーストしてから大ダメージを狙う、という一連の基本は同じです。もともと面白いバトルシステムなので無理に手を加えなかったことはむしろ正解なんじゃないかなと。

本作のバトルの基本を説明しておくと、まず敵は「シールド」を持っています。弱点をつくことでシールドが削れていくのですが、弱点は炎や氷といった属性だけでなく、剣や槍といった武器種にも及びます。で、シールドポイントをゼロになるまで削り切ると「ブレイク」が発生。ブレイクするとそのターンから次のターンは行動不能になり、さらにすべての攻撃に対して無防備になるので大ダメージのチャンスとなります。

▲パリーン!とブレイクするのは気持ちいい瞬間。ここから大ダメージでさらに快感。

それから「BP」の存在。BPはターン毎に1つずつ溜まっていき、消費することで行動を強化できます。通常攻撃の回数が増えたりアビリティの威力が上がったり、回復量も増えるしバフの効果ターンが延びたりもします。BPを使って敵のシールドを一気に削り切るか、ブレイクした後に使って大ダメージを狙うか、などの戦術こそが「オクトパストラベラー」のバトルの基本にして真髄ですね。この戦術的な面白さは前作から引き続き、今作でもバッチリ継承されています。やっぱ面白いぜ。

ちなみに、今作はバトル中にワンボタンで2倍速に切り替え可能です。サクサクになります。もう前作の速度には戻れなくなりそうです。

旅人たちの新たな能力は「底力」

バトルの新要素は「底力」です。これはゲージ制の必殺技みたいなやつです。底力ゲージ(二重丸みたいなアイコン)がMAXになると使用可能になり、各キャラクターごとにそれぞれ独自の能力が発揮できます。単純に高ダメージスキルのキャラクターもいればアビリティの全体化とかアイテムの消費無効化とか、いろいろありますがどれも反則級の強さ。もちろんBPで強化も可能です。まさに切り札といった印象で、キャラクターの個性がより引き立つシステムですね。

▲切り札となる「底力」。アビリティとの組み合わせ次第では反則級に?

ジョブはライセンス制に

ジョブ関連も少し変わっています。今回のジョブはライセンス制になり、条件を満たすことで各ジョブのライセンスが3つまで与えられます。なので、3人同時に同じジョブを身に付けられます。本職と合わせて4人全員同じジョブ!なんてことも。たとえばみんな商人でBPパスしまくり!傭兵呼びまくり!とかもできます。やばいぜ。ともあれ、編成の自由度は格段に上がりました。といっても、ジョブによってはライセンスの条件が厳しかったりもするのでなかなか大変なんですけども。

▲3人まで同じジョブになれるので編成の自由度は格段にアップ。

ほどよい難易度

難易度は易しすぎずムズかしすぎず、ちょうどいいくらいです。ムズかしく感じたのは中盤に差し掛かったあたりでしょうか。まだ戦力が整っていないくらいの時期から厳しめのボス戦が混ざってくるのが理由でしょう。簡単なのはむしろ終盤で、各キャラクターの最終章の推奨レベルが一律45なので、2人目3人目と進めていくうちにどんどん楽勝になってきます。もちろんラスボスは強いわけですけど、いうて前作のアレに比べたら全然マシかなと。ラスボスの話が出たのでもう1回言っておきますが、マジで超アルティメット激アツバトルなので! やってくださいマジでお願いします。

▲弱点がバラバラの取り巻きはだいたい大変。しっかり攻略しよう。

最高のRPGⅡ

そんなわけで『オクトパストラベラー2』、最高のRPGの正統進化な続編なので最高のRPGⅡとなっております。前作を気に入った人ならまず間違いなく楽しめるでしょうし、前作は気になっていたけど未プレイだった人にもオススメしたいところです。なんとなく懐かしさを感じさせるようなビジュアルですが過去のどのゲームに似ているというわけでもなく、それでいてRPGの面白さをしっかり抑えたゲームなんですよ。なので、「なんかRPGやりたいなー」と思ったら『オクトパストラベラー2』で旅立ちましょう。最高の旅があなたを待っています。

▲8つにして1つの旅。最高の旅をあなたに。

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