【パラノマサイト FILE23 本所七不思議】レビュー

巷でやけに評判の『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をクリアしたのでレビュー。いわゆるポイント&クリック型のアドベンチャーゲームなのですが、360度グルッと見渡せるパノラマ視点が特徴的。あ、でもタイトルはパノラマではなく”パラノマ”サイトです。パラノーマル(超常現象)とパノラマを掛け合わせた造語なのでしょうか。ストーリーは80年代のオカルトブーム真っ只中を舞台にオカルトな事件を巡る群像劇となっており、最初から最後まで先が気になる展開の連続。もうずっと引き込まれっぱなしのミステリーとなっています。なるほどこれは評判なわけだぜ!

ネタバレは避けますけど、何も知らないままプレイした方が圧倒的に楽しめると思うので、興味が出たならこんなの読んでないでプレイを開始しましょう! 大丈夫、怖くな……ちょっと怖いよ!

公式サイト:パラノマサイト FILE23 本所七不思議

全天周ポイント&クリックアドベンチャー

本作はいわゆるポイント&クリック型のアドベンチャーゲームです。怪しいところをクリックして調べたり目の前にいる人物に話しかけたりして情報を集め、謎を解いていくタイプのゲームですね。マウス1つでポチポチやれます。もちろんゲームパッドにも対応。スマホ版もあるでよ。(今回はSteam版をプレイしました)

特徴は360度グルッと視点を回せるパノラマビューになっていること。すべてのシーンではありませんが、多くのシーンでグルグル見渡せるようになっています。実写風の背景なのでなかなかの臨場感。雰囲気だけでなく、ゲームの演出としても上手に活用されていて面白いです。たとえがこの動画みたいな感じ。

https://shibayamablog.net/wp-content/uploads/2023/03/Paranormasight_panorama.mp4
▲こんな感じで効果的に使われています。でもホラーってことは…?

昭和が舞台のオカルトホラー

本作の舞台となるのは80年代と思しき昭和の墨田区。この地域に伝わる「本所七不思議」、その中に隠された「蘇りの秘術」を巡る物語となっています。ネッシーやらUFOやらがTVで取り沙汰されるのが当たり前だったオカルトブーム真っ只中のあの時代、そこで起こったオカルトでホラーな事件。もうこの時点で最&高ですよね。

▲昭和のオカルトといえば「こっくりさん」。当時、大流行しましたよね。
▲昭和だから駄菓子屋もある! そうそう、こんな感じでした。

しかしゲームを始めてみるとビックリ。オカルトでホラーなストーリーかと思いきや、なんか聖杯戦争みたいなデスゲームが始まったんだが?みたいになります。なりました。とはいえそれも最初のうち。呪殺能力バトルもほどほどに、「本所七不思議」の謎を中心に多くの人の思惑がうずまく群像劇が展開されていきます。過去の誘拐事件、友人の自殺、警察官の不審死…。点と点とが次々に繋がってはまた新たな謎が生まれてくるシナリオは圧巻。最初から最後までずっと面白いんですよ。

わかりやすいストーリーチャート

ゲームはストーリーチャートに沿って進行します。各キャラクターごとのエピソードが時系列順に並んでいきます。分岐するところは画面が割れている表示になるのでわかりやすいですね。各パートをやり直すときはそのパート内の途中から再開することもできるので便利。とはいえ、既読スキップ的な機能はないのでそこはちょっと不便かも。なんにせよ、やり残している部分が一目瞭然なのでサクサク進められます。

▲ストーリーチャート画面。割れた表示があるところはまだ分岐するやつです。

自分で推理したくなるから引き込まれる

ストーリーの面白さといってもいろいろあると思うんですけど、本作の面白さは「推理したくなるところ」でしょうか。人物や事件など、さまざまな情報が登場しては意外なところで繋がっていく展開の連続なので、ついつい推理したくなるんですよね。というか、プレイヤーが推理したくなるように差し向けられている感じ。これがすごく上手に作られているんだと思います。先の展開が気になるのでガンガン進めたいけど、推理もしたいので手を止めて人物リストや資料を眺めてしまう…。そういう面白さが本作にはあります。

▲先が気になるからこそ手を止めて推理したくなるし、そのための資料もしっかり用意されている。

まるでプレイヤーが推理することを想定したような展開すらあります。「この人物はたぶんこういうことなんだろうなぁ」と推理させておいてから、作中で「もう言ってもいいですよね」くらいのトーンで種明かしをする、みたいな。ここで「フッ、やはりそうか」ってなるのはもう完全に掌の上なんですけれども、なんだかんだで気分はいいんですよね。気持ちよく推理をさせようとする作りがとにかく上手。

もちろん、接待ではなくしっかり推理することも求められます。最終的にはプレイヤー自身が解かなければならない作りになっていますからね。といってもその頃には自然と推理できるようになっていると思いますけど。

キャラクターがみんな良い!

ストーリーを盛り上げるキャラクターたちもいいんですよ。基本的にシリアスな話なんですけども、シリアスになりすぎないくらいのコメディ色でバランスがとられています。こちらも絶妙ですね。ベテランの渋いおじさん警部はやけにお茶目だし、『探偵物語』風の探偵もやたら愉快だし、パッと見の印象とはだいぶ違うかもしれませんが、やってるうちにどんどん好きになっていきます。もうね、みんな大好き。

▲ベテランと若手の刑事コンビ。まさかおじさんがこんなにも面白キャラだったとは…。
▲頼もしい昭和の女子高生コンビ。オカルト案件なので信用できる霊能者のミヲちゃんは心強い。

あとみんな賢いんですよね。バカじゃ生き残れない状況なのは確かですけど、賢い人たちが賢く行動するから話がガンガン進む。だから気持ちいいってのもあります。もちろん悪役の方も賢いので厄介なんですけども、だからこその緊張感があって面白いわけです。一触即発の呪殺能力を引っさげての会話とかマジで緊張感ある。まぁ死んだら死んだで面白かったりするんですけどもね。

これはマジで面白いぜ

そんなわけで『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』、めちゃんこ面白いアドベンチャーゲームとなっております。次々に浮かび上がってくる事実に「えっ、ってことはあいつが…ってこと!?」みたいな推理を繰り返すことになるんですけど、とにかくこれが面白い。ミステリーなんだから当然かと思われるかもしれませんが、それが最初から最後までずっとですからね。これは確かに話題になるなと納得です。あと昭和とかわからんし…って人もたぶん大丈夫です、ノリは現代向けですから。

ちなみに定価でもかなりのお手頃価格となっております。Steam版とSwitch版のほか、iOSやAndroidでもリリースされているようです。ぜひ。

Switch:https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000060827.html

App Store:https://apps.apple.com/jp/app/paranormasight/id1661064267

Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.square_enix.android_googleplay.paranoma

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