【ブレードキメラ】レビュー

team ladybug製の新作『ブレードキメラ』をクリアしたのでレビュー。プレイ時間は15時間ほどで裏ボスまで撃破してます。本作は探索型2Dアクション、いわゆる”メトロイドヴァニア”であり、それがあのteam ladybug製ということで「ド安定だよね~」などと思っていたのですが、実はオリジナルのメトロイドヴァニアは初だそうです。ちょっと意外。

team ladybugといえば『Touhou Luna Nights』や『ロードス島戦記ーディードリット・イン・ワンダーラビリンスー』(長いよ!)など、良質なメトロイドヴァニアを作ってきたチームですね。個人的には『真・女神転生 SYNCHRONICITY PROLOGUE』も印象深いところ。こうしてみると確かになかったんですねぇ、オリジナルのメトロイドヴァニア。

そんなteam ladybugが送る新作『ブレードキメラ』はどんなゲームになっているかというと、オカルティックサイバーパンクメトロイドヴァニアです。……なんですか? オカルティックサイバーパンクメトロイドヴァニアですよ。だってストアの紹介文にそう書いてあるんだもん!

最高のドット絵ビジュアル

team ladybugといえば緻密でなめらかなドット絵ビジュアルですが、今回もそのクオリティは健在。サイバーパンク的な世界とマッチしている印象もあり、ことさら美麗になったように感じますね。色鮮やかなネオンが輝く街並みから光の当たらない薄汚れた路地裏まで、最高のドット絵で描かれています。毎度のことながらすごいぜ。

▲最高のドット絵で描かれる魔都オオサカ。大阪っぽいあいつやこいつの姿も…?

超便利ソードぶん投げアクション

ゲームの内容はというと、ベース部分はオーソドックスなメトロイドヴァニアといった印象です。基本となるのは2つの武器による攻撃とジャンプ、そして回避。昨今のアクションゲームによくあるパリィやジャスト回避などはなく、硬派な感じ。といっても、回避の性能がいいので気持ちよく遊べます。

最大の特徴は「妖蛍刀ルクス」(※以下、ルクス)と呼ばれるデカイ剣。妖魔の力を宿らせたこの剣は多彩なアクションを内包したスゴイ剣になっています。基本は飛ばして戻ってくるブーメラン的な使い方になるのですが、ボタンを押しっぱなすことで回転させて弾避けのシールドとして使用可能。シールド展開中もキャラクターは自由に動けるので、敵の弾を消しつつ攻撃!なんてことも。

▲ルクスを盾にしつつ銃で攻撃。これをやるならボタン配置にも気を配りたい。

十徳ナイフならぬ十徳ルクス

「ルクス」の使い道は戦いだけではありません。壁に刺せば足場になるし、特定の場所ではワイヤーアクションもできるし、暗いところでは灯りにもなる。なんて便利! 大抵のギミックはこれ1本で突破できます。すごいぜ。というかですね、多彩なアクションが1つのボタンに集約されているので大層遊びやすくなっております。

▲「ルクス」に集約される多彩なアクション。とてもわかりやすい。

そんな便利すぎる「ルクス」ですが、使うとMPを消費します。そりゃあね、と思うかもしれません。が、銃や剣などの通常武器による攻撃でMPが回復できます。なんと。逆に「ルクス」を使った攻撃を当てるとHPが回復します。マジか。ということで「ルクス」と通常武器をバランスよく使っていくのが妖魔ハンターの戦い方になります。ややこしそうですが、被弾したら「ルクス」を投げて回復、くらいの認識でOK。意外とやさしい世界。

令和の探索は快適さ重視

メトロイドヴァニアといえば、探索することで能力が増えていき、増えた能力によってさらに探索できる範囲が拡がっていく、といった感じですが、『ブレードキメラ』においては能力はレベルを上げてスキルを取得することで増えていきます。スライディングも空中ダッシュも2段ジャンプもスキルです。なんとファストトラベルもスキル。マジかよ。

▲アクションはスキル形式。やはり移動系を優先して取得したい。

ちなみにファストトラベルはセーブポイント間ではなく、行ったことのある場所ならどこでもワープ可能、というとんでもない仕様になっております。そんなことが許されるのか…?と思いましたがめちゃくちゃ便利なので許されて然るべきですね。おかげで探索は超快適です。自由なワープサイコー!

ほどよい難易度

難易度は易しめ。ゲームに慣れていない序盤こそ苦戦する場面もあるかもしれませんが、慣れてくればサクサク進めます。次に行くべき場所へのナビゲートなどの親切仕様もあるため、易しいだけでなく優しさも感じます。といっても初見殺しはちょくちょくあるし、死んだ場合はセーブしたところからやり直しになるため、そこはやや厳しめ。甘くはないです。

▲ちょくちょくある初見殺し。油断は禁物である。

ほどよいボリューム

ボリュームはクリアまで8時間くらい、裏ボス撃破までだと15時間くらいだったので、個人的にはちょうどいいくらいでした。しかしクリアまでの楽しさに比べてると、クリア後の要素はイマイチだったかも。主に収集品を集めつつマップの踏破をしていく感じになるのですが、収集品については今いるエリアに何個残ってるのかを表示してくれるため、非常に親切設計。なので集める気になれます。

▲収集状況は右上に表示されている。どこでもワープもあって探索は超快適。

サブミッションもあるでよ

収集品については探索だけでなく、サブミッションもこなす必要があります。サブミッションは序盤から受注できるのでクリア後要素というわけではないですが…。報酬がお金なのであまり魅力がなく、1つずつしか受注できないので面倒なんですよね。「○○エリアでn体倒せ」と「赤い妖魔をn体倒せ」みたいなのを同時に消化できないのはちょっとしんどい。お金もそんなに必要ないしなぁ。ストーリーがあったりボスが出てきたりするミッションは楽しいんですけれども、いかんせん報酬のせいで魅力がありません…。

▲サブミッションの数々。1つずつしか受注できないのはやや不親切か。

裏ボス どうして…

ともあれ、収集品を集めきった後には裏ボスが待ち構えているわけですが…。これがちょっと、いや結構ひどい。急に難易度が跳ね上がるのもそうなんですが、銃が無効だったり「ルクス」のシールドが有効じゃなかったり、それまでの戦い方を否定されちゃうのが辛い。また、クソデカ当たり判定&クソ長持続の攻撃を多数もっており、それらに2発当たるだけで死ぬのもあんまりすぎる。攻撃の振りかぶりから戻りまで判定がギッチリ詰まってるって何。何が辛いってこの裏ボスのせいで「いや~楽しかったー」って気分で終われないのが辛いです…。

▲急にどうした?ってなる裏ボス。眉間のシワが増えます。

優等生なメトロイドヴァニアです

そんなわけで『ブレードキメラ』、見た目も中身もハイクオリティなメトロイドヴァニアとなっております。さすがteam ladybugだぜ! 過去作と比べると、特徴的なシステムをゲームの中軸にドン!と据えるのではなく、多くのシステムを1つのボタンに集約している感じで、それこそが特徴をいえるのかもしれません。間違いなく遊びやすいので、多くの人にオススメしたい1本です。ただ、最後の最後でどうして…みたいな裏ボスのせいでプレイ後の印象がよくないのが玉に瑕。あいつマジ、どうして…。

▲今すぐ新しい宿主になって妖魔を蹴散らそう!

Swich版:Blade Chimera – ブレードキメラ – | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

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