アニメ【SHOW BY ROCK!!】はちょっと違う意味で”ロック”だった あと感想とか

TVアニメ『SHOW BY ROCK!!』を全話視聴したので感想など。ストーリーは音楽に励む若者たちが青春を謳歌する成長物語で、ベタといえばベタかもしれませんが、個性的なキャラクターと高品質な音楽をもってカッチリ描かれたハイクオリティな王道アニメともいえます。でも、”ちょっと違う意味でロック”だったのではないかと。

サンリオが攻めてきたぞ!と第1話の放映時から一部で話題沸騰だった『SHOW BY ROCK!!』がついに完結。ケモナー狂喜の耳と尻尾のキャラクターが音楽でバトルを繰り広げる、という、まったく新しい組み合わせを絵とCGのハイブリッドで描くインパクトは凄まじく、映像と音楽の相乗パワーで一気に持っていかれた感があります。

個人的には、本作に引き込まれたのは1話ではなく第2話でした。どうみても”出オチ”なシンガンクリムゾンズが、ひとたびステージに上がると、やけにカッコイイ曲を歌い始めたあたりで「ひょっとしてマジでロックなのでは…?」と思い始めたからです。その後もずっとギャグパート担当の彼らですが、なんだかんだでキッチリ成長が描かれているので、1番のお気に入りです。

show by rock シンガンクリムゾンズ

で、”ちょっと違う意味でロック”とはどういうことなのか。それは、音楽に励む主人公たちと悪役のダガー・モールスとの構図です。

ここがロックだよ『SHOW BY ROCK!!』

悪役でラスボスのダガーは、サウンドワールドを支配するために、絶対的な音楽の力を手に入れようと目論んでいました。音楽を制するものがすべてを制する世界ですから、金を得るにも権力を得るにも音楽の力が必要です。彼にとって音楽とは、目的のための手段にすぎません。

一方、ダガーと戦う主人公サイドの面々は、音楽そのものが目的の人々です。金や名声のためではなく、まして権力のためでもない。純粋に音楽が好きだから、音楽をやりたいと願い、音楽に打ち込む人々なわけです。

音楽を愛する人々と音楽を利用しようとする人の戦い。一見すると、この構図は普通にみえます。でもちょっと待ってください。本作のタイトルは『SHOW BY ROCK!!』です。”SHOW BY”と”商売”をかけたタイトルではないですか。さらには、原作であるゲーム版にはこんなサブタイトルまでついています。

Gonna be a music millionaire!(音楽で億万長者になってやる!)

ゲーム版の公式サイト:SHOW BY ROCK!! Official Web Site

ゲームでは、トップスターを目指すのは億万長者になるためなのです。でも、アニメでは”商売”で音楽をやることには否定的。劇中でも、売れるために個性を伸ばそうとコスプレに励むプラズマジカをみて、シンガンクリムゾンズのロムは「売れりゃいいってもんじゃねえだろ!」と真っ向否定ですし、メイプル社長も「音楽の価値はサウンドルでは計れないですぞ!」と自らの信念を語っていました。別に金儲けがよくないというわけでもなさそうでしたが、それが目的で音楽をやっているわけでもない、と。

ダガーの目的は世界の支配することであって億万長者とはちょっと違うものの、ゲーム版のコンセプトに近い存在をラスボスに据えてブン殴りにいくとは、なかなかにロックなのではないでしょうか。だって原作ですよ、ゲーム版。まさに、”Show by Rock”。といっても、成功は真摯な努力についてくるものであり、努力が正当に評価される世界であるならば、特に間違ってはいないのかも。あれ?ロックとはいったい…うごごご!

アニメで語られるストーリーは、音楽好きな若者たちが「今しかできないから今を大事にしよう」と青春をNon-Stopで駆け抜ける成長物語。「音楽が好きな気持ちは誰にも止められない」のですから、金だの権力だのといっている暇などないわけです。

全体を振り返ってみると、ゲームの中の世界へ引き込まれた主人公が、多くの困難を乗り越えて強くなり、元の世界で一歩踏み出す勇気を得る…言ってしまえばベタな物語ではありますが、個性的なキャラクターに素晴らしい音楽を添えてカッチリ描かれているので、未見の人はぜひ観ておきましょう。徳が上がります。

公式サイト:TVアニメ「SHOW BY ROCK!!」
ニコニコ動画:SHOW BY ROCK!! [最新話無料] – ニコニコチャンネル:アニメ

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