【とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)】体験版インプレッション 「バーチャロン」だけどまったく新しくて、新しいけどバッチリ「バーチャロン」

その幻想が現実になりつつあります。「とある魔術の禁書目録」とのコラボレーションで遂に実現した「バーチャロン」シリーズの新作『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』、体験版が配信されたのでさっそくプレイしてみました。今になって新作が出るというのはチャロナーにとって夢のような出来事でありますが、これは現実。しかも、きっちり「バーチャロン」してるのにバッチリ新しいときています。最高では。

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体験版でできること

今回の体験版でできることはチュートリアルとCPU戦のみ。チュートリアルは歩いて走って右武器撃ったら終了、という内容で、どうやら途中までしか収録されていない様子。操作一覧はロード時間に表示されますし、ゲーム中のポーズメニューからも見られるので、そっちを参照しましょう。体験版ではキーコンフィグもできないので慣れるしかありません。ボク自身はパッドのスタンダード操作でも問題ないのですが、スタンダード操作とも違う配置なのでやっぱり慣れが必要でした。とはいえ、システムが変わっているのだから今回はこの設定に慣れてしまった方がいいのかも。ちなみに、初心者向けの「スマート」操作と歴戦チャロナー向けの「ベテラン」操作の2タイプから選べます。ボクはベテラン操作でプレイしてます。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン) 操作設定

スタンダード操作から移行した場合、ジャンプとジャンプキャンセルが両方とも×ボタンであることと、ダッシュが□ボタンで〇ボタンは別アクションということに戸惑いました。しかし、慣れてくると問題ありません。むしろターボショットが1ボタンで出せることや近接攻撃が専用ボタンに割り振られていることの恩恵の方がでかい気がします。

CPU戦はランダムに選ばれた相手との1on1のバトルが連続するものとなっています。90秒の1ラウンド制、ステージは固定でこちらも設定などはありません。使用可能な機体は全13種類。大体「オラタン」準拠のラインナップとなっていますが、バル・バドスのみ、インデックス専用のバル・ルルーンと通常のバル・バドスの2タイプが用意されています。もちろん見た目だけでなく、性能も別物。ともあれ、全機体が使えるのでひととおり触ってみました。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)機体セレクト

実際にプレイしてみると、最初の内は機体ラインナップと同じくゲーム自体も「オラタン」準拠かな、と思ったのですが、新システムを使い始めるとまったく別のゲームなのではないかと思えるほどの感触がありました。相手の攻撃を避けて隙を狙って撃つ基本は変わりませんが、新システム「トランジション」が動きの根本を大きく変えています。

「トランジション」の生み出す無限の機動力

「トランジション」とは、ダッシュ中に出せるスライディングのようなアクションで、発動すると相手の方を向いて滑るように移動します。重要なのは、トランジション中はダッシュでキャンセルできる、ということ。つまり、ダッシュからトランジションに繋ぎ、さらにダッシュができるので、無限に走り続けることが可能なのです。このおかげで今までの「バーチャロン」とは別次元の機動力になっています。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン) トランジション

もう1つ、トランジションの特徴として、曲線的な移動であるということが挙げられます。相手に向かって真っ直ぐではなく、弧を描くような軌道で接近する感じですね。元来「バーチャロン」は直線的な動きで構成されているので、曲線的な移動はそれだけで新機軸といえます。

トランジション中の攻撃は横ダッシュ中の攻撃に近いもので、当てるのは厳しいかなという印象ですが、モノによっては攻撃を撃った後でもキャンセルしてダッシュに繋げられたりするので、手数を増やす意味では強そうです。アファームドSTだといわゆる”置きグレ”になるので、戦術に組み込めそうかも。とはいえ、主な使い方はトランジションで移動しながら様子を伺い、チャンスなら前ダッシュに切り替えて攻撃、といった流れになりそうでしょうか。

いずれにしても、機動力が大幅に上がっていて一切止まることなく戦えそうなので別次元の戦いになることは間違いありません。これで製品版には2on2も搭載されるわけですから、いったいどうなってしまうのか。ワクワクが止まりません。

禁書パワー全開の「ブーストウェポン」

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン) ブーストウェポン

もう1つ、大きな新システムとして「ブーストウェポン」があります。これは各機体の搭乗者である「禁書」キャラクターによる特殊能力をベースとしたアクションで、発動時にはカットインが挿入されます。要するに、ゲージを溜めて必殺技!という格闘ゲームによくあるやつです。ゲージは体力ゲージの右にあるディスクのアイコンです。時間経過で溜まっていきますが、攻撃を当てたり食らったりすることでも溜まるようです。1ラウンドに1回は確実に撃てるので、わかりやすい逆転要素になっている印象ですね。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン) ホームラン

ブーストウェポンはテムジンに乗る上条当麻の”そげぶ”パンチとかライデンに乗る御坂美琴の超電磁砲とか、お馴染みの技になっています。これ自体も強力な攻撃なのですが、さらに発動後は一定時間パワーアップ状態になるオマケ付き。むしろこのオマケ部分の方が強烈な気がしなくもない。わかりやすいものだと、アファームドBTのスピードアップでしょうか。「オラタン」のハイパー化みたいな感じになります。他にも武器ゲージ回復が早くなったグリスボックが弾幕を形成するなど、めちゃんこ強くなります。ただし、効果が切れたところで大きく弱体化するため、リスクも結構あります。まさにトランザム。

完全新作の名は伊達じゃない変更点の数々

他にもかなりの変更点や追加要素があります。たとえば「STゲージ」。耐久値ゲージの上に表示されている緑のゲージで、攻撃を食らうと減っていき、ゼロになると転倒してダウンします。過去作でも転倒のしやすさは攻撃や機体によって設定されていましたが、それが視覚化された形です。被弾しなければ回復をはじめますが、回復が始まるまでの時間は割と長め。また、回復速度も走ったり滑ったりしているより止まっている方が早いようです。1on1だとそこまで気にしなくてもよさそうですが、2on2では対戦の駆け引きの上で重要な要素になりそうな予感。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン) STゲージ

変更点といえば、近接戦闘も大きく変わっています。距離に関係なくボタンを押すだけで近接攻撃がいつでも出せるようになったからです。おかげで近接戦闘がものすごくやりやすくなりました。ちなみにガードはスティック下+△ボタンで出せます。それから”しゃがみ”関連のアクションがなくなっているのも大きな変更です。歴戦のチャロナーであればあるほど戸惑いそうですが、個人的には慣れの問題かなと思っています。

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)近接攻撃とポイント制

小説版にあったポイント制も導入されています。前ダッシュ攻撃や近接攻撃がヒットしたときなど、積極的な行動をすると加点され、消極的に逃げ回っているとガンガン減点されていきます。タイムアップした際の判定は残り体力ではなくポイントで行われるため、リードを奪ってから逃げ回るローリスクな”鬼ごっこ”な立ち回りが許されなくなったということです。往年のチャロナーであれば、この変更の大きさがわかることでしょう。個人的には大歓迎です。

これが幻想じゃないんだよ当麻!

とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)バルルルーン

そんなわけで『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』、しっかり「バーチャロン」だけどキッチリ新しいゲームになっている印象です。中でも新システムのトランジションとブーストウェポンを使った対戦がどうなるのか、楽しみでなりません。まったく別次元の戦いになりそうで今からワクワクです。各機体の性能については体験版からまだまだ調整が入るでしょうから対戦についてはなんともいえませんが、現時点で動かしているだけでもかなり楽しいのだから大丈夫だろうという安心感があります。「今から新しいシステムなんて…」「もう歳だからスピードについていけない…」なんて思う人もいるかもしれませんけど、大丈夫だって!チャロナーなんてみんなおっさんだから!

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