【ファイナルファンタジー15】レビュー オープンワールドRPGの新たな可能性は「思い出作り」にあった

FF15 レビュー

発売日からダラダラ進めつつクリアしたものの、その後もやっぱりダラダラ遊んでます。とはいえ、いい加減どこかで区切りが欲しいのでレビューを書きます。『FF15』といえば、その独特のビジュアルから「ホスト風の黒ずくめ男が4人でウェイウェイしてる珍道中」みたいな方向で語られている印象ですが、それはもうお腹いっぱいでしょうから、そうではない方向から見ていく所存。

シュールなスクリーンショットや愉快なバグがTLにモリモリ流れてくるおかげですっかりそういうイメージが定着してる感のある『FF15』ですが、そういうのはもういいよね、ということで、ここではオープンワールドRPGとしての『FF15』を見ていきましょう。一見するとクエスト制の平凡な”お使いゲー”なのですが、そのお使いの過程をどうやって楽しませたらいいのか?が練られていて、実に独特なプレイ感を生み出すゲームになっております。

旅とは思い出作りと見つけたり

まず1つは「オートドライブ」の存在。基本的に車を使って移動するゲームなのですが、運転を仲間に任せちゃう「オートドライブ」が搭載されています。これはファストトラベルと自力移動の中間にあたるシステムで、「そんな中途半端なもの必要なの?」と思われるかもしれませんが、意外とそうでもない。オートドライブのおかげで、目的地に着くまでの間カーステレオから歴代「FF」のサントラを流しつつカメラをぐるぐる回して思う存分景色を堪能することができるのです。本作における車は道に沿ってしか走れず、移動範囲が制限されているのですが、そのぶん確実に絶景を拝めるようにフィールドが作り込まれているのを感じます。

ff15 オートドライブで景色を堪能する

もう1つが「写真」の存在。スクリーンショットの撮影機能なんてゲーム機本体に内蔵されているご時勢ですが、『FF15』においては仲間のキャラクターが自分の視点から勝手に写真を撮影してくれるシステムがあります。その日にやったことや行った場所、戦った敵など、さまざまな場面をプレイヤーとは別のアングルから自動的に撮ってくれるのです。ゲーム側が勝手に撮影するものですから、ワケのわからないタイミングでの写真や微妙な表情の自撮りなど、妙な写真が多いものの、それはそれで”生”っぽくて楽しげ。写真を見られるのはホテルやキャンプに宿泊したときになるので、毎日の宿泊がちょっとした楽しみになります。そうなってくると、いろんな場所へ行ったり、いろんなことをやったりしたくなってくるものなのです。

ff15 写真システム

撮影された写真はSNSなどにシェアできるようになっています。料理もそうですが、観光地や食事の写真をシェアしたくなるのはリアルでも仮想世界でも同じ。拡散されるスクリーンショットには宣伝としての効果もあるでしょうが、何よりもシェアしたくなる写真を撮ることが目的となっていくのが大きい。そうなると、クエストを受けて消化していくだけの受動的なプレイから、シェアしたくなる場面を求めて能動的にプレイすることになるのですから。他のゲームでのスクリーンショットとは違い、『FF15』ではゲーム内のキャラクターが勝手に撮った「偶然の産物」であるのもプラスに働いています。カッコよく撮れた写真は当たり前のものではなく、奇跡の1枚ですからね。だからこそ「見てくれよッ、このイグニスのベストショット!!!」ってなるわけです。

ff15 奇跡の1枚を目指す写真システム

こうして、ファストトラベルを安易に制限するのではなく、移動の過程に楽しみを付加することで、できるだけオープンなフィールドを歩き回ってもらおうと誘導しているのです。ある意味、オープンワールドであることの意義を問い直した内容なのかもしれません。せっかく自由に歩き回れるフィールドがあっても、ファストトラベルでワープを繰り返すばかりではオープンである意味がなくなってしまうわけですし。だからといって今更ファストトラベルを制限されても不便でストレスになるだけですから、その間をとりつつプラスアルファした「オートドライブ」に「写真」はよくできたシステムではないかと。

ちなみに、TLによく流れてくる『FF15』のおもしろ画像・動画といえば、愉快なバグといった印象をもたれている人も多いのではないでしょうか。確かにあれらも笑いの神が舞い降りた奇跡の1枚に違いありません。とはいえ、残念ながらプレイ中に出会うバグ現象は不愉快なものがほとんど。バトル中に仲間がどっか行ってしまうとか突然の強制終了とか。『FF15』は笑えるバグが次々に発生するゲームではありません。たまに笑えないバグが発生してしまうだけです。笑えるバグに遭遇できた人はとても幸運だったということです。

ともあれ、そんなふうにクエストの道中を楽しくしようと練られた『FF15』のコンセプトは「旅」。オープンワールドのRPGなのだから、すごく当たり前なんですけど、じゃあ旅ってなんだろう? 旅の目的地・終着点ではなく、その過程で何をすれば旅っぽくなるのだろう? この問いに対し、おそらく開発陣は「思い出作り」だと考えたんじゃないでしょうか。結婚を控えたノクティス王子が気の知れた仲間と共に旅をするなら、そりゃやることは思い出作りになるというもの。途中から結婚どころじゃなくなりますけど、旅の間に積み重ねた思い出があればあるほどストーリー後半に効いてくる展開はなかなか巧妙。

ff15 キャンプ

で、このままストーリー後半の話に入りたいところですが、それは後回しにして先にバトル面の話をしましょう。

シフトで近づいたらシフトで逃げろ

『FF15』のバトルシステムはほぼアクションになっています。リアルタイムで動く敵を相手をリアルタイムでガスガス叩いていく普通のアクションです。しかし、これを平凡なアクションにしない独自要素として「シフト」と呼ばれるシステムが存在しています。シフトは端的に言ってしまえば瞬間移動です。武器を投げた位置へ直線的にワープするスキルで、敵に向かって使えば「シフトブレイク」という強力な攻撃手段になり、フィールドの岩や崖に向かって使えば「マップシフト」という離脱手段になります。シフトブレイクは距離に比例して威力が上がるため、ヒット&アウェイが常套手段。なので、かなりスピード感あるバトルとなり、それが『FF15』のんバトルの特徴となっています。

ff15 ほぼアクションのバトルシステム

目まぐるしく動くのでパッと見は激しいアクションですが、根っこはRPGです。プレイヤーの腕に応じてどんどんスタイリッシュに動けるようになりますが、腕次第でいくらでも勝てるわけでもなければ、腕がなければクリアできない、というわけでもありません。レベルに属性、装備やアビリティなど、攻略の中心はやっぱりそういった下準備にあります。といっても、回復アイテムをバカスカ使って強引に突破することもできます。このあたりは、寄り道せずにまっすぐクリアを目指すプレイスタイルも許容されているからこそでしょう。

キャラクターの育成システムは経験値によるレベル制とアビリティポイント(AP)を任意に振っていく「アビリティコール」の2つ。経験値はバトルだけでなくクエスト報酬としても入手でき、APはバトルでの行動や釣り、自動車で移動した距離によっても入手できるので、育成手段は実に多岐。なので「いろいろやろうぜ」がゲームの基本になっています。適当に遊んでいてもちゃんと育つ。けれど極めようとすると大変。このあたりのバランス感覚は「FF」って感じがしますね。

ff15 シフトブレイク

概ね楽しいバトルですが問題がないこともなく。まずカメラワーク。シフトでビュンビュン動き回るからある程度は仕方ないのですけど、草木や岩で何も見えなくなることが頻発するのがつらい。狭い場所でのバトルになると本当にキツイ。むしろカメラではなく敵の配置の問題なのかも。移動中に遭遇するザコ敵ならまだしも、モブハントの目標をどうしてそんな狭い通路に配置したッ!ということもしばしば。

次に味方キャラクターの動き。通常は特に問題もなく頼りになるのですが、ちょっと敵が強くなると途端に頼りなくなってしまいます。ボス格がもっている強力な攻撃を何度も何度も食らってしまい、そのたびに回復アイテムが消費されていく……だから魔導アーマーの足元に行ったら死ぬって! いい加減に学習して! しかしプレイヤーが指示できるわけでもないので、やれることは急いで敵を倒すのみ。とはいえ、味方に指示を出さなきゃいけなくなるとせっかくのスピード感が損なわれるでしょうから、味方AIをもうちょい賢くしていただきたかったところ。

あとはライブラの仕様や召喚魔法のわかりづらさなども。弱点属性が重要なゲームだから戦う前に敵の情報が欲しいのに、ある程度戦わないと出てこないライブラ情報。任意のタイミングで欲しければ設定をウェイトモードに変えろ、というのはなんとも。召喚魔法は使えるようになるとボタン指示が表示されるものの、長押しの入力が受け付けられているのか、召喚成立まであとどのくらい待てばいいのかがさっぱりわからないのが難点。初回は意味がわからず困惑しました。

ff15 でかい敵とのバトル

ともあれ、総合するとあんまりムズかしいことを考えずにビュンビュン飛んでガスガス殴ってりゃいいので、概ね楽しいバトルとなっております。ひたすらお使いクエストを消化する内容でありながら、それでも楽しく遊べる理由の1つはやはりこのバトルシステムがあってこそではないかと。

未完成な後半部分

ではあらためてストーリー後半の話。ここまでオープンワールドやバトルシステムの楽しさを書いてきましたが、なんとストーリー後半ではそのすべてを捨て去っています。オープンワールドからリニア進行な1本道になります。ストーリーを見せるために行動を絞るのは仕方ないのですが、それが終盤だけでなく後半、具体的には9章から14章まで、長時間にわたって続くのです。自由気ままで開放的なオープンワールドだったところから、ストーリー面でもゲーム面でも一切の自由が許されない閉塞的な状態が続くため、かなりのストレスに。

それでもストーリーがおもしろければよかったのですが、残念ながらそうでもありません。前半に意味ありげに登場したキャラクターたちがさらっと退場していく展開や、ぶつ切りシーンのパッチワークのようなゲーム内容になっており、それまで引き込まれていたはずの世界から一気に心が離れてしまいました。なんというか、「ああ、開発が間に合わなかったんだな…」と、かつて「ゼノギアス」のDisc2をプレイしていた頃を思い出しました。本作のアップデートスケジュールが発表されたときの非難の声があがっているのをみて「発売後のアップデートなんていまどき当たり前でしょ?なんでそんなに怒ってんの?」と思っていましたが、実際にプレイしてみて納得。発売後のアップデートは100%を120%にするためにあるべき。

ff15 (開発を)途中で投げ出すことは許されない

プロット自体はよいですし、前半に旅した時間が長ければ長いほど、仲間への思い入れが深まって後半にプレイヤーの心に刺さる構造も、オープンワールドRPGでのストーリーとして非常にうまい狙いだと思います。しかしそれだけに後半の未完成ぶりは残念。先行公開された映画『キングスグレイブ』の出来のよさもあって、本作のストーリーには期待していただけに本当に残念です。

オープンワールドRPGの可能性を感じる1本

ff15 山頂にて

そんなわけで『FF15』、メインクエストは尻すぼみに感じてしまいましたが、クリア後は再びオープンワールドに戻り、ノクト王子と愉快な仲間たちを堪能しております。いろいろと不満に感じる部分もありますが、なんだかんだで続けてしまう魅力は十分にあるからです。全体を通した『FF15』の印象は、既存のオープンワールドRPGに「FF」のガワを被せたモノではなく、「FF」的な解釈でゼロから構築された新たなオープンワールドRPGである、というところです。おもしろさや楽しさを感じる部分が他のゲームとはちょっと違うので、人によって賛否はさまざまでしょうけども、オープンワールドRPGの新たな可能性に触れたいのであれば、間違いなくオススメの1本。『FF15』、どうでしょう。

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