道行く自動車を奪って目的地へ向かってミッションをこなして…。現代の技術がなせる箱庭系ゲームをあえて逆行して8bit風にしちゃった本作。パロディが多くて何のゲームをやっていたのか忘れそうになりますが、楽しいので問題なし。
『Retro City Rampage』は2012年にリリースされていますが、なんで今更レビューするかといえば、Steamでセール中だったからです。ずっと気になってたゲームがひょっこり安売りで現れたら、ホイホイとポチってしまうのも仕方ないというもの。
本作は音楽やアートワークを除いて、ほぼ1人で作ってしまったというのだから驚きです。実際、スタッフロールには同じ人の名前がずらずらと並んでます。さらには、たった1人で17のバージョンをリリースしているのだとか…なんという愛。
この執念とも思える愛情の深さはゲームの中でも見てとれます。正直、このゲームをやらずにいたなんて、なんてもったいないことをしていたんだと後悔。このゲームの存在を思い出させてくれてありがとうSteam!すでに今回のセールは終わっているので、買い逃した人はまた次回のセールを待ちましょう。
あえてファミコン風に逆行した「GTA」
『Retro City Rampage』はどういうゲームなのか。一言でいうなら、ファミコン版のGrand Theft Auto、でしょう。
見た目は8bitなドット絵で描かれたファミコン風ですが、オープンワールドな街で自由に行動し、好き勝手に暴れられるところや、自動車を奪って目的地までいってミッションをこなして進めるなど、やることはそのまんま「GTA」です。
本作はもともと、「GTA」をファミコンに移植しようという目的から生まれたということらしいので、すごく納得。
「GTA」シリーズの魅力といえば、リアルに描かれた街中で自由の限りを尽くせるところにあるわけですが、それを8bit風に落しちゃったら台無しじゃね?と思われるかもしれません。
たしかに、そういった楽しさはないかもしれません。っていうか、ないです。そもそも、「GTA」をファミコン風にするよ!ってことに、何か意味があるのか?と問われても、ねぇよそんなもん、としかいいようがありません。
でもいいんですよ。「歩道が空いているではないか」とブッ飛ばしてりゃ最高に楽しいですからいいんです。
とはいえ、本作の魅力の中心はファミコン版「GTA」ってことではないです。メインなのは「GTA」だったことを忘れてしまうほどに詰め込まれたパロディの山です。
古今東西ゲームのパロディがギッシリ
ゲーム起動時に「パロディがいっぱいあるから気をつけてね!」といわれますが、「やりすぎだバカ!」といわざるを得ないほどの詰め込まれっぷりです。
開始直後から「ロックマン2」のプロローグで、音楽までそれっぽいですし、ブロックを叩いて亀を転ばせたり、段ボールを被って敵から隠れたりと、開発者はもう何も怖くないのでしょう。
一目見ただけで「あっ、これはデンジャー」と思うものもちらほら。ファミコン風なので、特にファミコン世代には直撃のネタが多くなっています。
たとえば、地下水路のステージに何だか亀っぽいやつがいたと思った次のシーン。
この水中ステージはなんか見覚えがある人もいるんじゃないでしょうか。もちろん、ゆらゆらしている海草にぶつかればビリビリダメージです。おそらくコレでしょうね。っていうか、そんなの再現しなくていいよ!
パロディは何もレトロゲームに限ったことではありません。かなり新しいゲームなんかも混ざっています。
スーパーミートボーイとバーチャルボーイを組み合わせたまったく新しいマッハライダーとか。もう意味わかんないんですけど、ちゃんと3D表示に対応していたりします。いや、やっぱり意味わかんないんですけど。
こんな感じで、パロディに関してはあげはじめるとキリがなさそうです。おそらく、ボクが知らずに気付かなかっただけのネタも多いと思います。こういうのがミッションごとにわんさか出てくるのですから、もう何のゲームをやっているのかわからなくなります。
ミッションの数は、ストーリーが60以上、チャレンジが40以上もあります。実績などを狙って遊び尽そうとするなら、かなりのボリュームがあるといえるでしょう。ただ、まっすぐクリアするだけなら5~6時間程度でいけるので、軽く遊ぼうという人も安心。
チップチューンな音楽もやたらカッコイイ
個人的にゲーム音楽は大好きなのですが、ファミコン風の音源に特に弱いのは、やはり子供の頃の刷り込みによるものでしょうか。本作も見た目がファミコン風なだけではなく、音楽についてもファミコン風です。見事なチップチューンで、かつ、めっちゃカッコイイ。
しかも、曲によっては曲そのものがパロディだったりするあたりも抜かりないです。
本家「GTA」と同じく、自動車に乗るとラジオが流れるように別の曲になったりするのもにくい演出といえるでしょう。
正しく「ファミコン風」なゲーム
そんなわけで、見た目も音楽もやってることも(パロディだけど)、すべてファミコン風で統一されたレトロで新しい『Retro City Rampage』。
特にレトロゲームに詳しければ詳しいほどパロディが理解できるでしょうから、我こそはというファミコン世代の人ならもっと楽しめるかもしれません。この内容ならいつ遊んでも楽しめると思うので、XBLAでもSteamでも、安売りのチャンスに巡り合えたらぜひともポチってみましょう。いや、ポチるだけじゃなく遊んでみましょう。
Retro City Rampage
Steam:Retro City Rampage
Retro City Rampage OFFICIAL Launch Trailer from Vblank on Vimeo.