先週は魔法使いとしてダンジョンを飛び回っておりましたが、今週は商人としてダンジョンでアイテムを拾っております。『Moonlighter』はダンジョンの入り口付近の集落で商店を営む男の物語で、自らダンジョンへ赴いてモンスターを狩っては収集品を持ち帰り、自分の店で売りさばく、というゲームになっております。商人なので魔法なんて使えません。けれども剣も盾も弓矢も使いこなせるし、何より前転に無敵がある! …この商人、ある意味では魔法使いより強いかも。
『Moonlighter』で目を惹くのはやっぱりドット絵ですね。細やかな描き込みもさることながら、めちゃくちゃ細かく動きまくります。ただの村人NPCに何コマ使っているんだ…と気が遠くなるくらいには動きます。すごい。なので、店で商品を並べてカウンターで待っている時間も退屈しません。モコモコと動いているNPCを見ているだけで何やら楽しい気分になってきます。…最初のうちは。
本作のウリであるショップ経営パート、残念ながらあんまりおもしろくないんですよね。価値のわからない収集品に適当な値段をつけて客の顔色を窺い、高そうなら値段を下げて安そうなら値段を上げる。こうして適正な価格を探っていく作業に終始するだけなんですもの。適正価格が把握できればあとはその値段で並べるだけになります。それ以外はちょくちょくやってくる万引きNPCが鬱陶しいくらい。店を経営している気分になれるのは最初だけで、収集品をNPCに売る工程に適正価格を探る手間が追加されているだけだとわかってしまうと、あとは完全に作業。ああそっか、これ仕事だった。
ダンジョンの方はというと、非常にオーソドックスなアクションとなっております。無敵の前転がかなり優秀な性能なのでラクラク…、と思いきや、意外と狭い場所での戦いも多く、なかなかノーダメージとはいかなかったりします。それでもバトルの難易度はそこまで高くありません。むしろ苦心させられるのはインベントリですね。カバンの端っこにしか入らない呪いとか、隣にあるアイテムを破壊する呪いとか、そんな呪いのアイテムたちをうまいこと詰め込むパズル的な要素があるからです。誰だよこんな微妙な呪いをわざわざ作ったのは。といっても面倒ならその場で四次元ボッシュートみたいなやつから換金しちゃえばいいんですけどね。
そんなわけで『Moonlighter』における商人ライフは他のゲームにみられる当たり前の要素にひと手間加えてあるのが特徴ですね。どの特徴もプレイヤーにとっては手間が増えるデメリットばかりでメリットが薄いのがなんとも残念なところですけれども。勇者や魔法使いとは違って商人ってやっぱ大変なんだな、と感じずにはいられません。商人を主人公に据えた商人のゲームという意味では、これはこれで正しいのかも。…いやどうだろう。