【真・女神転生V】レビュー

どうも、神です。キャッチコピーで「汝(ヒト)よ、神と為れ─。」と言われたとおり、何度も神に為ってきました。(※n周クリアしてすべてのエンディングを見てきましたの意)

待ちに待った「女神転生」シリーズの新作ですよ! 前作『真・女神転生Ⅳ Final』から5年くらいなので「思ったほど待ってないな?」と思わなくもないのですが、発表からは4年以上経っているし続報のない期間も長かったので”待ちに待った”という感覚になるのも納得ではないでしょうか。いやー長かった、本当に…。

待望の『真・女神転生V』(以下、『真Ⅴ』)はどうだったのかというと間違いなく面白かったです。ゲームとしては前作『真ⅣF』からの正統進化を感じさせ、いつもとはやや毛色の違うストーリーも先の展開を気にさせるものでグイグイ引っ張ってくれました。シリーズのファンであればもちろん、未経験者がメガテン初体験をするにも最適なのでは?と思える遊びやすさも備えた出来になっています。といっても角が取れて丸くなったわけではなく、相変わらず殺意満点で襲い掛かってくるので安心です。神に為るための道は険しく遠いのです。楽しくいっぱい死にましょう。

※今回のレビューはネタバレを避けて書いているつもりですが、人によってはネタバレと感じてしまうかもしれないので未プレイの人やまだクリアしていない人は読まない方がいいでしょう。尚、公式サイトで公開されている程度の情報はネタバレとして扱っていませんのであしからず。

真・女神転生V – 公式サイト

今回はダアトでナホビノだ!

今作で舞台となるのは現代の東京です。ワケあって崩壊した東京<ダアト>を探索することになるのですが、どうして崩壊しているのかはネタバレになるので書きません。そんなことより崩壊した大都市、いいですよね…。毎度ひどい目にあっている東京ですが今回は砂漠化するレベルでボロボロです。ここを走り回れるんだからたまりません。

崩壊した東京は悪魔が闊歩しているので人間のままではひとたまりもありません。そこで今回の主人公はアオガミと名乗る謎の男と合体して「ナホビノ」となって戦います。ナホビノとはなんぞや?と言われるとこれまたネタバレなので書けません。…あれ?なんも書けなくね?

ともあれ、今回の主人公は人を超えた存在である、ということです。『真Ⅲ』の人修羅に近いものを感じるかもしれませんね。しかし不可逆な人修羅と違ってナホビノは可逆なので便利そう(?)です。悪魔を召喚して使役するだけでなく、自身もスキルを駆使して戦うことができるというわけです。これは人修羅だけでなくサムライ(『真Ⅳ』)も神殺し(『真ⅣF』)もそうでしたから特筆すべき点ではないかもしれませんが。

崩壊した東京を駆けまわって探索

『真Ⅴ』で過去作から大きく変わったと感じられるのはやはり探索の部分です。オープンワールドというわけではありませんが、それに近いフィールドが拡がっています。ダッシュやジャンプのレスポンスもよく、まるでアクションゲームのように走り回ることが可能。ただ、カメラ視点が近めなので特に狭い場所を探索するときはちょっとしんどいかもしれません。これはアップデート予定にカメラ視野角の調整の項目があったので期待したいところです。

※2021/12/3追記 アップデートが配信されました。視野角の設定が追加されています。デフォルトでは最小、つまりもっとも寄った視点なので、視野角を拡げてやるとかなり見やすくなりますね。ナイス改善。

犬も歩けば棒に当たると申しますが、ナホビノが走れば悪魔にぶつかります。今作もシンボルエンカウント方式なのですが、前述のとおりアクションゲームのような挙動なので敵シンボルを避けやすくなっています。さらには敵シンボルが悪魔の見た目になったため、戦いたいときに戦いたいヤツを選んで戦うことが可能になりました。おかげで探索は快適です。でも画面外から飛んできて上下にやたら広い判定をもってる鳥型の悪魔、君らはダメです。

ともあれ悪魔とはあんまりぶつからないんですけれども、フィールドにはアイテムや収集要素、サブクエストなどがギュウギュウに詰め込まれているため、どっちへ走っても何かしらにぶつかれます。要するに密度が濃いんです。たとえば、サブクエストを見つけて消化している最中に収集要素を見つけて寄り道していたら別のサブクエストを見つけてしまったり、とか。また、それらの要素がどれも戦力の強化に繋がるため、探索すればするほど強くなれる仕組みにもなっています。なので楽しい! 走り回ってたらなんか強くなってる! でもボスに負ける! 楽しい!!

今回、快適な探索を支えているのがセーブポイントへのファストトラベルです。どこでもセーブできた前作とは違って今作はセーブポイント制になっているのですが、使用回数無制限のキーアイテムで即座にセーブポイントまで戻れるので実質セーブし放題です。たとえザコ戦であっても死ぬときはあっさり死ねるゲームなだけに、いつでもセーブポイントに戻れる安心感は本当に快適。さらに今回はボス戦前に必ず「この先ボス戦だぞ」と警告してくれる親切設計にもなっています。背後から襲い掛かられて即あの世行きだったシリーズとは思えぬ安心感です。えっ、メガテンなのに安心感…?と思われるかもしれませんが大丈夫です。「警告はしたぞ? だったらいいよね?」と言わんばかりの遠慮のないボスたちがひしめいているので「やっぱりメガテンだー!」ってなれます。安心ですね。

やっぱり面白いプレスターンバトル

バトルは今回もプレスターンバトルです。弱点を突いたりクリティカルを出したりすればもう1回行動できるターン制コマンド選択式のバトルですね。弱点を突きまくって一方的にボコれる!と思いきや敵も同じルールなので弱点を突かれまくって即壊滅!なんて危険もあり、ハイリスクハイリターンでスリリングなバトルが楽しめます。『真Ⅲ』で採用されて以降、「ペルソナ」シリーズでも採用されていたのでもうすっかりお馴染みになった感がありますね。ただ、正直に言うと「またプレスターンバトルかぁ…」みたいに思っていたところはあります。確かに偉大な発明ではあったと思うのですがそろそろこれを超える新たなバトルシステムが見たい!という気持ちがないといえばウソになります。とはいえ、実際にプレイしてみると「やっぱプレスターンバトル、面白…!」ってなりました。偉大な発明はやっぱり偉大でした。

前作からの変更点は、「ニヤリ」がなくなって「マガツヒゲージ」が追加されたことです。 「マガツヒゲージ」 はバトル中のさまざまな行動によって溜まっていき、消費することで強力なスキルが使えるシステムです。初期マガツヒスキルからして「魔法を含むすべての攻撃がクリティカル化」というトンデモない性能をしていることからも、いかに強力なシステムなのかがわかるでしょう。もちろん敵も使ってきます。全部クリティカルです。やべぇな! でも敵の場合は必ずチャージ行動を挟んでから次のターンで使ってくるため、むしろ対策しやすくなっています。意外とフェアなんですよね、今回の悪魔たち。

ボスへの対策は「写せ身」のおかげでやりやすくなっています。「写せ身」とは悪魔の能力を写し取った霊体で、要はスキル継承のできる消耗品です。このため、仲魔のスキルは合体時の継承だけでなく、後からでも変更しやすくなりました。状況にあわせて臨機応変に変更できるわけですね。また、主人公のみスキルだけでなく耐性も継承できるので、目の前のボスを倒すためだけに耐性を変える、なんて使い方も可。というか、これができるからボスの攻撃にまったく遠慮がなくなっている節はあります。

「写せ身」はお気に入りの悪魔をバッキバキに仕上げるためにも使えます。が、前作から引き続き「スキル適性」があるため、適性のないスキルを覚えさせても使いこなせません。無理矢理習得させても効果が上がらず燃費も悪いといった具合。スキル適性を上げられるアイテムも存在しているものの、そもそも最初から適性がない場合はアイテムを使っても上げられないので、悪魔の個性を伸ばす方向で鍛えていくのがベターとなっています。『真ⅣF』に引き続き、悪魔の個性が引き立つ良いシステムですね。今回は次のレベルまでの経験値を即座に取得できるアイテムなども存在しており、お気に入りの悪魔をゴリゴリ育成できてとても楽しいです。かわいい悪魔でいかつい神々を叩きのめして気持ちよくなりましょう。

これだけ育成や強化ができてもボス戦ではあっさり壊滅したりするので 「やっぱプレスターンバトル、面白…!」 ってなります。1軍の仲魔たちが息切れした後に召喚した2軍が速攻で壊滅させられた挙句、道中の交渉で拾ったやつらを使ってギリギリ勝利!なんてことになるのだからたまりません。 面白…!

気になるストーリーは…

ストーリーは今回もロウとカオスとニュートラルといった属性が存在しています。シリーズでお馴染みのやつですね。といっても、今回は各派閥の考え方や方向性が今までとは違うため、やや毛色の異なるお話になっています。もちろん相変わらずなところもあるんですけれどもね。やっぱロウは…とか本当にこの天使共は…とか。

新鮮なのはニュートラル属性のキャラクターが主人公以外に存在していることで「第3者視点で見るニュートラルってこんな感じなのかァー」と思えました。とはいえ、いくらなんでも極端すぎるところがあるのでアイツをニュートラルそのものだと捉えるのもちょっと違う気がしないでもない。ともあれ、「こいつが今回のロウか…」「いやカオスなのか?」「やっぱロウじゃん!」みたいな楽しみ方をしていました。人をロウかカオスかばかりで測るのもどうかと思いますが、だってメガテンなんだもの。

個人的に今回のストーリーで気に入っているのは謎が少しずつ開示されていくところです。東京がどうして崩壊しているのか? 悪魔が人間を狙うのはなぜか? ナホビノとは何なのか? こうした謎が少しずつ解かれていく展開になっています。何が面白いってヒントがあちこちに散りばめられているんですよね。だから「あいつって実はアレなのか?」とか「これってもしかしてそういうことなのか?」みたいに予想しながら進められるわけです。こういうの好きなんですよ。

もちろん今回もマルチエンディングです。プレイヤーの選択によって結末が変わります。クリア後はさまざまな要素を引き継いでの2周目にも対応しているので1周目とは違った選択をして違った結末を楽しめます。多くの要素を引き継いで一気に進めるか、最小限の要素にとどめて再度バトルを楽しむかも自由です。個人的には前回めっちゃ苦戦したボスをワンパンで叩きのめしていくカタルシスが最高に好きなのでガッツリ引き継ぎました。やっぱいいですよね、強くてニューゲーム。

さて、ストーリーについてもかなり楽しめていたのですが、それは1周目の話。2周目からは印象が変わってきました。ここからはややネタバレ気味になるので注意してください。ストーリーの内容のネタバレではありませんが、まだクリアしていない人にとっては致命的になる可能性があります。

↓↓↓ ちょっとネタバレかもしれません ↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

2周目に入ってから気付いたのは、このゲームにおける選択肢って実はあんまり意味がないのでは?ということです。1周目は「別の選択をしていたらどうなっていたんだろう?」と思いながらプレイするじゃないですか。で、2周目に別の選択をしていくわけですが、展開がまるで変わらないんですよね。展開が変わらなくともロウ、カオス、ニュートラルという属性への傾倒になっていて、最終的な選択肢に影響しているのか?と思いきやそうでもありません。たとえば、どれだけロウに傾きそうな選択をし続けたとしても、最終的にカオスルートを選択することが可能だったりします。展開が変わるのは終盤にあるルート確定の選択肢のみです。となると、ストーリー中の選択肢の意味は一体どこにあるのでしょうか? 一応、いずれかの属性の選択をし続けることで「考えが一貫していた」とご褒美が貰えたりはするのですが…。ストーリーの展開自体にはまるきり影響がないので、それがわかってしまった2周目の途中からはなんとも空虚な印象になってしまいました。だって選択肢になんの重さもないのですから。『真Ⅴ』の選択肢、意味深ですごくいい画になってるだけにもったいないなーと思います。

でもやっぱメガテンいいよね

そんなわけで『真・女神転生Ⅴ』、シリーズの新作としても最新のRPGとしても非常に楽しめました。やっぱりプレスターンバトルは面白いし仲魔の育成も面白い。崩壊した東京の探索も面白いしストーリーも面白い。単に「メガテン」が好きだから贔屓目に見てしまっているだけなのかもしれませんが、やっぱ面白…!ってなっちゃったんだから仕方ありません。でも今回は遊びやすさも格段に上がっているのでシリーズ未経験者にもオススメしたい1本です。いやまあ『真Ⅰ』だろうが『真Ⅳ』だろうがオススメするんですけどね! ともあれ、今は最新作の『真Ⅴ』で神に為りましょう。