発売から1年が経過した『Starfield』をプレイしたのでレビュー。クリアまで50時間ほど、その後もあれこれ遊んでいたので90時間近くプレイしました。…あれ?思ったよりやってるな。
内容はというと、なんといいますかその…、世間の微妙な評価もうなずけるものでした。完全新作を謳いながらも感触としてはいつものベセスダって感じだし、その”いつものベセスダ”がもう時代遅れになってしまったのかもしれない…と一抹の寂しさもありました。良いところもあるんだけどなぁ。
公式サイト:Starfield | Official Website | Bethesda.net
ちなみに今回プレイしたのはPC版。Game Passで遊びました。フルプライスのゲームが対応してると大層お得なのでオススメ。
今度は宇宙で冒険だ!
まず『Starfield』がどういうゲームなのか、ざっと説明しておきましょう。本作は『The Elder Scrolls V: Skyrim』や『Fallout 4』を手がけたベセスダが作った完全新規タイトルです。公式に「宇宙を舞台とした次世代型RPG」と謳われているとおり、今回は宇宙の星々を巡る冒険となっています。宇宙船で星系を越えて大冒険!うっひょー!
キャラクターメイキングでは性別や見た目だけでなく、出自や素性なども設定可能。所属する陣営によってもミッションや会話の選択肢に変化があったりします。探索においては攻略に関係ありそうなものもなさそうなものも拾いまくれる、まさにべセスダな感じ。そして戦闘はほぼFPSですが、ボタン1つで一人称視点と三人称視点を切り替えできるのでTPSとしてもプレイ可です。さらに今回は宇宙が舞台なので宇宙船でのバトルもあり。やったぜ!
そしてベセスダといえば自由度の高さ。キャラクターのビルドやシナリオの選択肢など、相変わらず膨大なボリュームで詰め込まれています。宇宙で自由……最高では? …と思うじゃないですか。
宇宙の自由は制限付き
残念なのは、この自由を享受できるようになるまでが長いこと。武器をカスタムしたり宇宙服を強化したり料理を作ったり宇宙船を組み上げたり、やれることはいっぱいあるんですけれども、どれもこれも制限がかけられているんですよね。
たとえば、武器をカスタムするにはまずスキルを習得しなければならず、スキルを習得したら素材を集めて「研究」を進めなければなりません。「研究」を完了させたら武器のカスタムパーツが作成可能になるのですが、ここでもまた素材を要求されます。さらに強いパーツを作るためにはスキルのレベルを上げる必要があるのですが、そのためにはパーツをたくさん作る必要があり、余計なクラフトを繰り返すことになります。そしてスキルレベルを上げたらまた「研究」…。なんだこれは。
宇宙の素材は重たい
いうて素材集めるだけっしょ?探索してたら自然と貯まるっしょ?…と思われるかもしれません。それはそうなんですけど、ここで足を引っ張りまくるのが所持重量の制限。所持重量の制限自体は珍しいことではありませんが、『Starfield』の場合、なんと素材アイテムにも重量が設定されているんですよ。素材アイテムの種類はたくさんあってどれを何に使うのかなんて把握しきれないのに、拾えるだけ拾ってたら重量オーバー…。なんて面倒な。
さらに面倒なのが、素材を使う場合は素材を所持しておく必要があるということ。倉庫などに保管しているものをそのまま使えるような仕様ではないんですよね。なので、クラフトをする際は倉庫から素材を引っ張り出し、終わったらまた倉庫に全部戻す、みたいな工程を毎回やらされます。ちょっと現代のゲームとは思えません。
ちなみに、所持重量についてはオプションで増やせるようになっています。取得できる経験値がちょっと下がってしまうデメリットはありますが、増やした方が快適にプレイできるでしょう。所持重量を増やすためだけにスキルポイントを使う必要なんてなかったんや! かくいうボクは後から気付いたので使ってしまったスキルポイントはもう…。そもそも、もう所持重量って要素自体いります?って気がしないでもない。
宇宙は多くの星と同じ施設でいっぱい
さて、本作は宇宙で冒険!ということで、PVなどではさまざまな環境の惑星を巡っている様子が映し出されており、めちゃくちゃワクワクさせられたわけですけれども、蓋を開けてみれば残念なことこの上なく…。フィールドの探索が本当につまらないんですよね。これはマジで致命的。
昨今のオープンなフィールドをもつゲームにおけて、フィールドはとても重要な要素になっています。広大な場所、遠くにみえるランドマーク、そこを目指す途中に用意された発見と驚き。こういったものがギュッと凝縮された密度の濃い場所が面白いゲームを形作っているわけですが、そこへくると『Starfield』のフィールドは…本当に残念。発見も驚きもありません。…ありませんは言い過ぎか。いやでもなぁ。
いろいろな星、いろいろな環境があるにはあるんですけれども、景色の変わり映えのない広い場所に施設が点在しているだけ。そしてその施設の中身はどの星でも同じ。あまりにも残念な作りです。建物の構造が同じなのはまだしも、雑貨の散らかり方まで同じなの、何? それどころか死体の場所とか鉱山の掘り方とか全部同じだったりする。マジで何。別の星系の惑星にやってきても「あー、またこの施設かー」みたいになり、ハイライトの消えた目で毎回同じ場所で死んでるおじさんからクレジットをくすねることになります。宇宙って本当に広いんですか?
ちなみに、アップデートで探索用の車が追加されているのですが、それによってフィールド探索が面白くなったのかといえば特段そんなことはなく。木や岩などの障害物が多すぎて車では走りにくいし、乗り降りのモーションが長すぎてうざったいし、あまり便利になった感じもしません。そもそもフィールドがスカスカなので、車があっても行きたい場所がねぇよ!って感じです。
宇宙船もあるでよ
そうそう、宇宙だから宇宙船もあるんですけど、こっちはかなり良いです。何が良いって操作感が良いんですよ! リアクターからのエネルギーを兵装やシールドに割り振って動かすようになっているので、たとえば戦闘になったらレーザーやシールドに多めに振って、戦闘が終わったらそのエネルギーをグラブドライブに回す、みたいな感じ。パチパチとスイッチ類を弾いてるような感触があり、宇宙船を操縦してる感があります。これはマジでいいですね。
内装も凝ってて良いんですよね。初期の船は小型で必要最小限の機能しかない感じですが、お金を貯めてデカい船を買うと内部も広くてすごいやつになるので「わぁ…!」ってなります。部屋も設備もいっぱいで秘密基地っぽい感覚になれます。いいですよねぇこういうの。
ただ、個人的にちょっと残念だったのが宇宙船を作れる「シップビルダー」です。もっと自由に組み立てられるのかと思っていたのですが、案外そうでもなく…。各パーツは左右反転のみで自由に角度を変えることはできず、接着できる部位も限られているので、思った以上に制限されていました。もうちょっといろいろ作れるやつだと期待してたんだけどなぁ。でもボクの工夫が足りないだけかも。
クリア後のやり込みもたっぷり
いろいろと残念なところはあるものの、クリア後のやり込みは楽しかったりします。スキルレベルが上がったりや研究が進んだりすれば、いろんな制限がなくなってきますからね。裏を返せば、それだけ制限が多いということなんですけども…。
ミッションとは関係のない星へフラッと赴いて宇宙海賊どもを懲らしめてアイテムとクレジットを漁る生活なのですが、武器や装備についている効果がランダムなこともあってハクスラ的な面白さがあります。いい感じの武器を拾えたら持って帰ってカスタムして、その武器の試し撃ちとばかりにまた次の星へ向かう…など、もはやどっちが海賊なのかわかりませんが、ダラダラ遊べていい感じでした。
とはいえ、周回プレイとなると話は変わってきます。強くてニューゲーム的なやつはあるんですけれども、レベルやスキルなどは引き継げるものの、装備や財産などは引き継げないんですよね。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ストーリー的な意味をもたせてある2周目なので仕方ないところもあります。とはいえ、せっかく手に入れたとっておきのレジェンダリー武器とかお金を貯めてやっと買えた宇宙船を引き継げないのはなかなかおつらい…。
待望の宇宙SF大作だったが…
そんなわけで『Starfield』、ベセスダ製の完全新作として注目の1本でしたが、いろいろ残念なゲームでした。もちろんすべてがダメというわけではないんですけれども、正直オススメしかねる内容です。今後のアップデートに期待…と言いたいところですが、すでに発売から1年経ってるんですよねぇ…。そもそもアップデートでどうにかなるんかって気がしないでもない。”いつものベセスダ”の部分を変えなきゃいけないわけですからね。
ともあれ、ガッカリしたということは、裏を返せば期待が大きかったということでもあります。確かに期待しすぎた感はあるかもしれません。でもさぁ、ベセスダが!宇宙で!完全新作!とか言われてさぁ、こんな動画とかこんなPVとか見せられたらアガっちゃうじゃん? 仕方ないですよね。というわけで期待に応えてくれる次回作、お待ちしております!