【ピクセル】感想 80年代のビデオゲームで宇宙からの侵略者と戦うおバカ映画

宇宙人がクラシカルなゲームのキャラクターとなって地球を侵略してくる映画『ピクセル』を観てきたので感想など。ハッキリ言ってB級なのですが、予告PVのイメージどおり、軽い気持ちで楽しむには最適なバカ映画でした。宇宙人侵略モノのお約束を踏襲しつつ、80年代の空気を詰め込んだ愛すべきバカ映画です。

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『ピクセル』を一言で評価するのであれば、「B級」という言葉が相応しいでしょう。アカデミー賞にノミネートされるわけでもなければ、全米が震撼するわけでも涙するわけでもない。そのかわり、肩肘はらずにスナック感覚で楽しめる映画となっています。このトレイラーを観て、全米No.1大ヒットな感動巨編を期待する人はいないでしょうけど、念のため。

ちなみに、トレイラーで登場している「パックマン」の生みの親・岩谷徹氏を演じているのは役者さんですが、実はご本人が別のところで出演されていて、なんともややこしいことに。

『ピクセル』は2010年に制作された短編を元にスケールアップされた映画です。短編では、捨てられたTVから這い出た謎のピクセルによって地球がピクセル化してしまう作品でしたが、今回は宇宙からの侵略者と戦う内容に。1982年に打ち上げたロケットに載せていた宇宙人へのメッセージとして送られたビデオゲームの動画が、挑戦状と勘違いされてしまって地球が大ピンチに!という大変くだらない…もとい、恐るべきストーリーになっています。

レトロゲームを題材にしているため、パッと見は奇抜ですが、その実、宇宙人と戦うハリウッド映画のお約束を踏襲した安定感ある内容となっています。突然の侵略、かつてのヒーロー現・落ちこぼれによるドリームチーム結成、快進撃からの大ピンチ、あとは敵の中枢を叩くしか…など、ド直球な宇宙人侵略バトルモノなのです。なので、安心して観ていられますね。軽いジョークとともに頭を空っぽにして楽しめるノリは、非常に正しくB級しています。

登場するビデオゲームは80年代アメリカのアーケードゲームが中心。メッセージを載せたロケットを飛ばしたのは1982年ですから、ファミコン以前の時代となります。個人的にストライク世代ではないのですが、「ギャラガ」や「ドンキーコング」など、誰でも知っているゲームばかりで安心。ゲーム以外にも、音楽や登場人物など、80年代の空気が詰め込まれているため、当時を知る人なら楽しさも倍増しそう。でも「テトリス」や「アルカノイド」など、82年にはなかったはずのゲームまで出てくるので、細かいことを気にしてはいけないのかも。

レトロなアーケードゲームを題材にしているとはいえ、「昔はよかった」系の懐古主義で終わらせないのが本作のよいところ。PS4で現代のゲームを楽しむ少年も、主人公の「アステロイド」のスーパープレイに目を輝かせていますし、最近のゲームが苦手な主人公もまた、少年のプレイスタイルから学ぶべきことがありました。80年代への愛情をあふれさせながらも、レトロゲーム賛歌だけじゃないのは非常に好感がもてます。

気になったところといえば、吹き替えのキャスティング。主人公の声が柳沢慎吾で、芸人さんにしてはかなり上手いとは思うのですが、プロの声優さんの中にあってはどうしても浮いている感は否めず。また、大ベテランの神谷明ボイスはすばらしいのですけど、いくつかのシーンで「それ言わせたいだけですよね?」ってセリフがやや鼻についた印象。翻訳担当が悪ノリしちゃったのでしょうか。アレも80年代ネタといえばそうなのかもしれませんけど…。

エンディングの曲も日本版は専用のモノに変更されているのですが、こちらは映像とバッチリ合っていて、むしろこっちの方が合っているのでは?と思うほど。何気に、個人的に1番印象に残ったのがスタッフロールでした。宇宙人侵略モノのお約束どおりの結末に少しのオチを付け加えて、あのスタッフロールで〆てくれるので後味は壮快。気持ちよく劇場を出られるでしょう。あー、ボクもゲームで世界が救いたい。