ビジュアルも音楽もキャラクターも、すべてにおいてメキシカンなテイスト。主人公はルチャリブレのレスラーでアクションもプロレス技。なんとも異色な外観ですが、内容はめっちゃ正統派かつ壮快な2Dアクションです。
guacamelee.com
Steam:Guacamelee! Gold Edition
パンチパンチから肘で浮かせてエリアルして掴んだらパイルドライバー。いえ格ゲーじゃありません、でもルチャなんでこれ。
さらわれたヒロインを助けるために立ち上がったのはルチャドールの主人公Juan。なぜルチャなのか?などという細かいことはいいのです。メキシコではそういうものなんでしょう、たぶん。
動かして楽しい2Dプロレスアクション
メキシカンな雰囲気はイロモノっぽいですが、中身は超がつくほど正統派。しかも、完成度もかなり高いですこれ。
『Guacamelee』はいわゆるMetroid-Vania系※の2Dプラットフォーマーです。※メトロイドとキャッスルヴァニア(悪魔城ドラキュラ)をあわせた造語。
主人公がルチャドールで、バトルスタイルはもちろんプロレス。殴ってダメージを与えてから掴んで投げる。
ちぎっては投げ、投げてはちぎる感触が素直に楽しく、キモチイイです。テキトーに動かしているだけでも楽しいのです。それはもう、敵の登場が待ち遠しくなってしまうくらいには。
ゲームが進めば技も増えていき、動きの自由度も増していきます。まるで格ゲーのような複雑なコンボも可能。もちろん決まればめっちゃキモチイイ。
別にこんなコンボはできなくても何の問題もありませんのでご安心を。でも決まったらキモチイイので練習しちゃう。くやしい!
適当に暴れているだけでも楽しいのですが、後半の難易度はなかなかの歯応え。といっても、理不尽なことはなく、ちゃんと攻略できるようになっています。
ボス戦など、簡単には勝たせてくれないシーンも多々あります。でも、「ここは無理せず避けた方がいいな」とか「これは回避じゃなくてジャンプの方がいいかな」とか、やっていれば自然とわかってくるような作りなってるんじゃないかと。
スキルを使って状況を打開していく謎解きも
ゲームが進めば少しずつスキルが増えていきます。増えたスキルを使えば、それまで行けなかった場所にいけるようになったりします。このへんはなんというか、ゼルダっぽい文法を感じます。ダンジョンで入手したアイテムで謎を解いていく、というような。
といっても、こちらはルチャドールですから、アイテムではなく肉体で解決。ルチャですから2段ジャンプを習得したり…
壁を走れるようになったり…
空を飛んでみたり…
ルチャですからね。このくらいはね。
こういった数々のアクションを使って状況を切り抜けていきます。だんだんといける場所が増えていく感じですね。
もう1つ特殊な要素として、2つの表裏世界を行き来する、というシステムがあります。ゲーム中盤からは、ワンボタンで2つの世界を切り替え可能になります。
具体的には、これが表の世界。
で、こっちが裏の世界。
壁や床の配置が変化しているのがわかるでしょうか。この2つの世界の切り替えをうまく使わないと進めない場所が多々あります。表裏2つの世界、ってところも、なんとなくゼルダを彷彿とさせる要素ですね。
謎解きっぽい場面もでてきます。肉体だけではなく、頭脳も必要なのが現代のルチャなのでしょう。
こんな感じで、立ち止まって頭を捻るようなシーンがいくつもあります。ジャンプしてから切り替えて、壁からまたジャンプするとか、結局肉体も必要なんですけども。
楽しさの理由はストレスの少ない設計
動かしているだけでも壮快で楽しいことにはちゃんと理由があります。それは、プレイヤーにかかるストレスを極端に抑えてあるからです。
このゲーム、実は死亡によるペナルティがほぼありません。というか、いくら死んでもゲームオーバーがないような。
チェックポイントが多く存在し、ほとんどの場合、死んでもその場で即復活。
落下してしまっても、落下前のポイントに即座に戻されるだけ。2段ジャンプや壁貼りつきを利用してシビアなジャンプを要求されるシーンもありますが、そこでストレスを感じることはかなり少なくなっています。
個人的には、「即死」で難易度を調整するのは悪しき調整だと思っているので、こういう調整は非常にアリ。即死が多ければ当然難易度は高くなりますが、じゃあそれが面白いか、といえばなかなか難しいところです。綱渡りはゴールまで渡り切れればスリリングで楽しい体験なのですが、途中で落下してしまったときの落胆を考えると、つり合いがとれていない場合が多いんじゃないかと。
「なんだよヌルゲーかよ」と思われるかもしれませんが、死亡のペナルティが薄い分、ゴリ押しでの突破は許していません。
たとえば、ザコ敵のラッシュ部屋で死んだ場合、最初のザコ敵からやり直しです。1本の体力バーのみで、すべての敵を倒さなくてはなりません。
ペナルティは緩くしてあげるから、ちゃんと攻略してね、という意図が感じられますね。実際、ちゃんと攻略できるようになっているので納得もできます。
正統派2Dアクションとしてオススメの1本
クリアタイムは4時間だったのでボリュームは少なめかもしれません。サブクエストとか実績とか、クリア後に解放される高難易度などを考慮するなら、実はそこそこボリュームあるんじゃないかなとも思います。
『Guacamelee』はアクションの楽しさと壮快感、謎解きのアクセント、ストレスのなさと、どこをとってもかなり優等生な出来です。日本語化されていない点を除けば、かなり幅広くオススメしたいタイトルですね。ローカルのみですが2人COOPにも対応しているので、来客用にもいいかもしれません。
あと、個人的に気に入ったのが、他ゲームのパロディ描写。ぜひ実際に見てもらいたいので詳細は書きませんが、めっちゃ有名なゲームのパロディがそこかしこでしれっと登場して笑わせてくれます。
そんなわけで、『Guacamelee』はMetroid-Vania系としてかなりオススメの1本。Steamで$14.99になっております。すぐに開発するもよし、またいつかのセールで安値になるのを待つもよし。ルチャドールとして世界の平穏を守りましょう。
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