80年代後半から90年代前半のゲームに向けたラブレターという本作。繊細なドット絵にチップチューンなBGMという外観だけでなく、プレイ感も90年代そのもの。あのころの気分に浸らせてくれるアクション&シューティングゲームになっています。
DarkFalzX dev journal: Ultionus: A Tale of Petty Revenge
Steam:Ultionus: A Tale of Petty Revenge
レトロな雰囲気をもったゲームがいろいろと登場する昨今ですが、見た目だけではなく、中身までレトロなものは多くありません。一見すると昔風であっても、うまいこと調整されているのが最近のレトロ風ゲームなのです。
が、『Ultionus: A Tale of Petty Revenge』は見た目だけでなく、中身までレトロ。もちろんこれは、良くも悪くも、ということではあるのですが、あの頃の感触を再現しようというコンセプトにおいては、かなりうまくいっているわけです。
平たくいってしまえば、そんなに出来のいいゲームではありません。80年代後半から90年代前半を体験していない若い人たちにとっては、ただのクソゲーと感じてしまっても仕方ないと思います。
しかし、その年代を通り過ぎてきたおじさんたちにとってはたまらない一品です。グラフィックも、BGMも、プレイ感も、すべてがあの頃のゲームなのです。
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プレイ感も攻略もレトロスタイルなアクション
全7ステージのうち、飛行機に乗ってシューティングが2つ、恐竜に乗る強制スクロールが1つ、残りの4つがジャンプとショットのアクションステージになっています。
まっすぐクリアできれば1時間程度で終わります。といっても、そんなにすんなりクリアできるような難易度ではありませんけど。
アクションはジャンプとショットのシンプルなもの。ただし、主人公の銀河ヒーロー・Serena Sさんは歩きながら銃を撃てない上に、最初のうちは連射もできないため、なかなかつらいものになっています。女の子ですものね。
敵が増えてさばききれなくなることもありますが、画面外にスクロールして消す、なんていう古風な攻略が通じるあたりがちょっとうれしいところでもあります。
残機制で体力もありますが、それでもかなり死ねます。初期状態では3回食らうと死亡なのですが、2回まではセーフというより、2回しか食らえない、といった感じ。女の子ですものね。
残機があるといっても、チェックポイントからの復活になるのでゴリ押しはできません。ボス戦でもボスの体力が全快の状態から再戦なので、力押しでの突破は許されないのです。
こう聞くとムズかしく思われるかもしれませんが、実際ムズかしいです。あの頃のゲームがカンタンだったか?と問われたら、多くの人がノーと答えるように、難易度においても、あの年代を再現しているわけです。
といっても、難易度Easyも用意されているので、最初はそこでステージ構成やボスのパターンなどを覚えていくのがいいかと。残機が無制限になるため、ゴリ押しができないといっても、ちゃんと覚えていけば何とかなるようになっています。
特に、ボス戦はガチガチなパターンゲーになっています。ランダムな動きはほとんどないので、1つ1つ対処法を覚えていけばなんとかなる感じですね。こういう攻略をしているときの感覚は本当にレトロゲームそのもの。
隠し要素の探索もレトロスタイル
アクションステージは一本道ではなく、いくつか分岐している場所があります。隠しルートがあるとか、いかにもレトロゲームですが、それほど隠れてはいません。大抵の場合、脇道にそれたルートの方に、おいしいことが待っています。
おいしいことの1つが、コインとショップ。コインを手に入れた先には、コインで開く扉が設置されています。
扉の向こうにはショップがあり、スコアを消費して装備のアップグレードができます。
武器と防具はそれぞれ3段階のアップグレードができます。しかし、全ステージを通してショップは4回なので、両方を最高にはできません。個人的には、武器のアップグレードを優先して連射機能を手に入れるのがオススメ。
脇道ルートのおいしいポイントは、実はもう1つあります。相棒のBalzakさんの救出です。
どこかで困っているBalzakさんをすべてのステージで救出しておくと、最終ステージへ行くことができるようになり、エンディングも変化します。こっちがハッピーエンドな感じですね。
そんなわけで、どのステージでも隠しルートを進んだ方がパワーアップもできてお得。面倒くさがらずに脇道ルートを進んでみましょう。
というか、最初は1つもパワーアップできないまま最後まで進めてしまい、なんてムズかしいゲームなんだ!と思っていましたが、ショップでアップグレードを重ねていけば、難易度は相当変わります。アップグレードを一切しないままクリアする実績もあるのですが、こっちを先に達成してしまうプレイヤーが多くなりそうな気もします。
90年代は終わらない
きめ細やかなドット絵とチップチューンなBGMでいかにも90年代前半な雰囲気を出しつつ、プレイ感まで90年代な本作。
もちろん、思い出の中の90年代、ってところもあるので、実際のあの頃よりもずっとキレイで美しいものになっているとは思います。銃を撃つとちゃんと薬莢が飛ぶくらいの細かさですし。(レイノスとかヴァルケンでも薬莢が飛んでた記憶はありますけど。)
ちなみにトレイラーで使われている曲はエンディングのクレジットで流れます。フルテイクが聴きたい人はぜひクリアしてみましょう。
Ultionus: A Tale of Petty Revenge Game Trailer – YouTube
純粋なおもしろさでいえば、それは決して高いものではないかもしれませんが、「そうそう、こんな感じだったよね」とレトロな空気に浸ることができるという意味では、非常に魅力的なタイトルでもあります。
90年代に宛てたこのラブレターで、あの頃に戻ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
DarkFalzX dev journal: Ultionus: A Tale of Petty Revenge
Steam:Ultionus: A Tale of Petty Revenge