やっぱりサイバーパンクからしか摂取できない栄養ってあると思うんですよね。「あー最近なんだか栄養が足りてない気がするな~」と思っていたところにガツンと効くヤツ、あります。『The Ascent』です。本作はド直球真ん中ストレートなサイバーパンク世界を描いたゲームで、そのビジュアルの良さ、グラフィックの描き込みっぷり、お約束を踏襲した設定やストーリーなど、サイバーパンク好きのDNAに素早く届く栄養素満点の内容となっております。ゲームとしてはいろいろ荒削りな部分もあるっちゃあるのですけれども、この見た目に抗えるはずもありません。さぁエッジに齧りつきましょう。
※2021/08/06追記・レビュー動画を作りました。
これぞサイバーパンクな世界
サイバーパンクな世界といえば、多国籍なネオンが彩る街とコントラストを成す裏通りの荒廃したスラム、大型のリフト、そして雨。上流階級の人々が雲の上で青空を見て暮らす一方、下級労働者は郊外の巨大な工場でゴミの山に埋もれながら働く、巨大企業に支配された一見鮮やかで混沌とした世界。そうそうこれこれ!って感じ。そんな世界が凄まじく作り込まれたグラフィックによって描き出されています。最&高です。もうこれだけで値段分の価値がありますね。
ガンガン撃ちまくれる見下ろし型シューター
ゲームはRPG要素のある見下ろし型シューターとなっています。全方位から迫りくる敵をバリバリ撃つやつですね。銃を撃つ感触が良いのでガンガン撃ちまくってカチッとリロードを決めるだけで気持ちよくなれます。弾数の制限もないので本当に撃ちまくりです。街中での銃撃戦で住人を巻き込んでも気にするな。いやちょっとは気にしろ。
前転による回避やしゃがみやカバーなどのアクションもあります。しゃがんでいれば立っている敵からの弾が当たりにくくなり、障害物の陰ならカバーになる感じ。強力ですが敵も同じことをしてくるので厄介ですね。特にしゃがんでいるかどうかはパッと見だとわかりにくいのが難点。なんか当たってないな?と思ったらしゃがみましょう。この世界ではしゃがんでるヤツが強者。
サイバーなビルドでキメよう
装備やスキルでキャラクターを強化していくビルド要素もあります。武器や防具、スキルポイントでの強化といった要素はもちろん、サイバーパンクらしくオーグメンテーション(人体拡張)による強化もあります。ゲーム的には気軽に付け替えられるクールタイム制のスキルやパッシブスキルの位置づけになっていますね。種類は多いので幅広いビルドが可能…だとは思うんですけれども、難易度的な意味でそこまでいろいろできないかなといった印象。ちなみに、武器と防具は見た目に反映されます。格好よく決めたいところですが、性能を重視するとトンチキな格好になるのもお約束。この世界では見た目など気にしないヤツが強者です。 いやちょっとは気にしろ。
難易度はやや高め
難易度はそれなり。サクサク進めていると思ったら突然ドン詰まりさせられるような難易度曲線の急勾配を感じることも少なくありません。死亡のペナルティはないに等しいですし、1度死ねばそのシーンの難易度がちょっと落ちる仕様になっているようですが、それでも厳しいところは厳しいですね。理由としては、敵のレベルが急に高まっている場所があること、それから敵が結構いい動きをしてくることなどでしょうか。あと回復手段が限られていることも原因の1つでしょう。回復アイテムが敵から余るほどドロップされることもあればまったく落ちないこともあるので、難易度にムラが出やすくなっている印象です。結果的に回復系のスキルを持たざるを得ない状況が多く、ビルドの幅を狭めてしまっているようにも思えます。
いろいろ荒い部分も…
難易度だけでなく、いろいろと荒削りな印象は否めません。たとえば、本作は日本語化されていますが装備の説明やミッションの説明などの一部が英語のままになっていたりします。UIもいくつか難アリでマップも使い勝手が悪い。特に困るのが画面左上に小さく表示されるセリフ。戦っている最中に何か言われてもまず読んでいられません。あと時間制限いっぱいまで戦うシーンで残りゼロ秒になっているにも関わらず追加で出てきた敵、ボクはお前たちを許さないよ。ともあれ、いろいろと改善の余地アリといった印象です。
サイバーパンク愛好家ならオススメ
そんなわけで『The Ascent』は荒い部分もありつつもサイバーでパンクな世界の表現は一級品のゲームとなっています。街を歩いているだけでモリモリ元気が湧いてきます。クリアまでの時間は12時間くらいでしたが、かなり死んだので上手い人ならもっと短縮できるかも。サイドミッションなどの寄り道をしまくればもっと時間がかかるでしょう。オンライン協力プレイにも対応していますがフレンド招待のみなのでお友達は大切にしましょうね。難易度は急激に跳ね上がる場面がいくつかあるものの、ソロでもクリアできるようにはなっています。でもお友達は大切にしましょうね。
いろいろと難点もあるものの、グラフィックやサウンドから描き出されるサイバーパンク世界が最高であることに変わりはなく、見下ろし型シューターとしての手触りも良好なので、このビジュアルにキュンと来るような人にはオススメです。困ったらしゃがんで引き撃ち、そして回復スキル盛り盛りにすれば大抵なんとかなると覚えておきましょう。