【星のカービィ ディスカバリー】レビュー

『星のカービィ ディスカバリー』をクリアしたのでレビュー。ラスボスとの死闘を終えて真エンドまで辿り着き、「やっぱカービィさんはすげえや! 宇宙最強だぜ!」みたいな気分になっていたのですが、実は「カービィ」シリーズは数か月前に『星の泉の物語』(ファミコン)をプレイしたのが初めてだったりします。なので、シリーズのことはよくわかっていません。本作『ディスカバリー』がシリーズ初の3Dアクションだったということもクリア後に本稿を書こうという段になって初めて知りました。えっ、初めて3Dアクションになったのにこの出来…? いきなり完成度高すぎやしませんか。

星のカービィ ディスカバリー | Nintendo Switch | 任天堂

探索しながら進む3Dアクション

『星のカービィ ディスカバリー』はステージクリア型の3Dアクションゲームです。”ディスカバリー”(発見)と名打たれているとおり、各ステージにはいろいろ隠されていて、探索しながら進んでいく感じになっています。といっても、カメラ視点はほぼ固定でプレイヤーが操作できるわけではないので(ちょっとだけなら動かせるけど)、キョロキョロしながら進むのではなく、飛んだり跳ねたりしながら駆け回るゲームとなっています。

▲カメラ視点はほぼ固定。場面ごとにいろんなアングルになっています。

失われた文明の跡… いいよね

草木に覆われた廃墟のようなステージが印象的ですが、今回のストーリーは次元の裂け目みたいなやつに吸い込まれるところから始まるので、どうやらカービィさんの暮らしている世界とは違うようです。文明が滅びた後のような雰囲気もありますが、鮮やかな色彩で描かれているので荒廃した感じでもないですね。かつてそこで生きていた人たちの”死の残り香”みたいなものもないですし。楽しい廃墟探検!って感じです。

▲各ステージの開幕はキメキメの構図で見せてくれるのでワクワクできます。

なんでも吸い込む

カービィさんといえば敵を吸い込んで能力をコピーするアクションですが、3Dになってもそこは変わっていません。剣を振っている敵を吸い込めば剣で戦えるようになるし、火を吐いている敵を吸い込めば火を吐けるようになります。その場その場で吸い込んだ能力を活用して臨機応変に戦うことが求められます。1つ1つの能力に複数のアクションが詰め込まれているので、シンプルに見えて幅広い動きができるようになっていますね。さすがカービィさんだぜ。

コピー能力はバトルだけでなく、ギミックの解除にも活躍します。必要な能力は必要な場所に落ちているのですぐに気付けますし、見た瞬間「あー、そういうことね」ってなれるので、サクサク進めて非常に小気味よいです。そういう気持ちよさが最初から最後まで続くんだからすごいですよね。

▲場面に合わせた能力で臨機応変に進めるのが小気味よく楽しい。

なんでもほおばる

もう1つ、今回は特徴となるアクションがあります。それは「ほおばりヘンケイ」です。吸い込んで取り込むのではなく、ほおばって被さるような見た目をしています。車をほおばれば車の形になるし、三角コーンをほおばれば三角になります。もちろん見た目だけでなくアクションもほおばったモノに応じたアクションに変化します。車のように走れたり三角コーンで頭突き(?)ができたり。その状況のみで使える限定的なパワーアップという感じでしょうか。

ゲーム的にはアクセントとしていい感じに機能しているわけですが、何より見た目が面白いのがいいですよね。わりとトンでもないものをほおばるので「カービィさんそれいっちゃう?マジ!?」みたいになれます。さすがカービィさんだぜ。

▲なんでもほおばるカービィさん。カラダ張ってます。

ワドルディを探せ

吸い込みやほおばりを活用してステージを進めていくわけですが、ゴールにたどり着くだけでなく、探索してあれやこれやを見つける必要もあります。”ディスカバリー”(発見)ですからね。具体的にはワドルディたちです。今回はストーリーの冒頭でワドルディたちが捕らえられており、彼らを助け出しながら進むのが目的になっています。近くまでいけば声が聞こえるので見つけやすいものの、だからといってすべてを見つけるのはなかなか大変、といった塩梅になっています。

▲救出対象のワドルディたち。でもキミたちザコ敵じゃなかったっけ…?

助けたワドルディたちの数はボスステージへ進むための条件になっている他、拠点の町を発展させることにも繋がっています。町が発展すればさまざまなミニゲームが遊べるようになり、コピー能力の強化や回復アイテムの購入などもできるようになってきます。なので、単にステージをクリアするだけでなく、くまなく探索することが求められます。さらにいえば、ワドルディは直接見つける以外にも、ステージ中でさまざまな条件を満たすことでも増えるので、どのみち怪しい場所はどんどん調べることになりますね。探索しろ!ってことです。

ほどよい難易度

難易度は2種類から選べます。今回はムズかしい方の難易度を選択しましたが、ムズかしすぎずカンタンすぎず、ちょうどいいくらいに感じました。序盤こそステージ道中もボスもサクサクで簡単でしたけど、終盤はなかなか歯応えのあるアクションになっていて、特にボス戦などは結構なムズかしさになっています。といっても、そんなに何回も死ぬようなことはなかったですけども。

ちなみに同じ場所で2回で死ぬと「どうする? 難易度下げるか?」って聞かれるんですけど、大きなお世話だぜ! しっかりパターンを覚えて対策していくおもしろさを捨ててたまるかってんだい! そもそもステージ進行中でなければ難易度はいつでも変えられますしね。

▲ほどよい難易度で楽しいボスバトル。でも終盤はしっかり歯応えアリ。

やっぱカービィさんはすごいぜ

そんなわけで『星のカービィ ディスカバリー』、めちゃ出来の良いアクションゲームでした。コピーにほおばりヘンケイといった個性豊かな能力の数々、それらの能力をバトルにも探索にも活かせるステージの作り、歯ごたえのあるボス戦。どこをとってもおもしろく、最初から最後まで気持ちよく遊べるゲームとなっていました。

「そんなのカービィなんだから当たり前だろ?」と思われるかもしれませんけども、いうても3Dアクションになるのは初めてだそうですし、それでこの完成度は凄まじいんじゃないでしょうか。たぶんこれまでシリーズをやってきた人にとっても今回の3次元アクションを繰り出すカービィさんに違和感なく入っていけると思うんですよね。もちろんシリーズのことをよく知らないボクのような人間でも楽しめるので、何かアクションゲームを求めているときに間違いのない1本です。階段をほおばって階段になれるピンクの宇宙最強生命体に酔いしれましょう。

▲やっぱりカービィさんはすごいぜ。